けんいちブログ

なぜ政府は原子力委員会の人選を提示さえしないのか

2013年10月25日

 

◆原子力委員の人選を提示せず
本日(10月25日)、12機関29人の同意人事案が衆参両院に提示された。まもなく任期切れを迎える場合や欠員がある場合に政府が人事案を提示してきたわけである。ところが任期切れや欠員があるにもかかわらず、人選の提示さえしてこなかった機関がある。それが内閣府の「原子力委員会」である。

 

◆5人の原子力委員
原子力委員会のメンバーは5人であり、いずれも国会同意人事となっている。現在の委員は以下の通りである。
委員長   近藤駿介 (任期は平成25年1月5日まで)
委員長代理 鈴木達治郎(任期は平成24年12月31日まで)
委員    秋庭悦子 (任期は平成24年12月31日まで)
残り2名は欠員となっている。
つまりすでに欠員が2名あり、在職している3名も全員、本来の任期が切れている。任期が切れているにもかかわらずなぜ在職しているのかといえば“職務継続規定”が発動されているからである。職務継続規定というのは、任期満了時に後任者が決まっていない時に、空白を置くわけにはいかないとして前任者がとりあえずその職務を続けるという仕組みである。

 

◆この場合、職務継続は認められるのか?
職務継続規定というのは本来、緊急避難措置である。一番典型的な例は、政府は人選案を提示したが国会が同意をしなかった時などである。こうした時に、空席にしておくわけにはいかないとして前任者が緊急避難的に仕事を続けることがある。これならばまだ分かる。
しかし今回はそうではない。原子力委員の任期切れ後、政府は一度も人事案を提示さえしていない。そして本日の同意人事案の29人の中にも原子力委員の候補は含まれていない。
「政府が意図的に後任者を人選しない」→「後任が決まらないから前任者がずっと職にとどまる」などということが許されてしまえば、任期は意味を持たなくなってしまう。現に原子力委員の任期は3年だが、すでに現在の委員たちは就任から3年10か月目に入っているのである。
3年数か月前に当時の政府は3年の任期として人事案を国会に示し、国会はそれに同意をしている。こんな形で勝手に任期延長されることは許されない。このまま行けば3年間として承認されたはずの人が4年以上在職することは必定である。ルールは守られるべきである。まして問題は原子力である。物事を規則通りに実施することが一番求められる機関のはずではないだろうか。

 

◆破綻している政府の理屈
では政府はこれをどのように釈明しているのだろうか。「原子力委員会についてはそのあり方を現在検討中ですから」と言っている。しかしそんな理屈が通用するわけもない。同委員会のあり方を検討するのは結構である。しかし現時点においては厳然とこの委員会は存在しているのである。そうである以上、ルールに則って人選をするのが当然であろう。
このような理屈にもならないことを言い立ててまで、なぜ政府が人選を避けるのか。実は理由は簡単である。余計な波風を立てたくないからである。原子力委員会は昭和31年の設置以来、原子力推進機関とされてきた。委員もいわゆる「原子力ムラ」の関係者が多かった(今の委員も実はそうである)。しかし後任を選ぶとなるとなかなか難題である。「原子力ムラから選ぶのも批判を招くし、かといって脱原発派も選びたくない」というあたりが政府の本音なのだろう。そこで“職務継続規定”という一番安直な選択を取ったわけである。だがそんなことが許されないのは上述した通りである。
政府に求めたいのは正々堂々とした姿勢である。自らが最善と思う人事案を堂々と国会に提示し、その上で衆参両院の承認を求めるべきではないだろうか。私たち国会議員は適任者であれば賛成し、不適任者と思えば反対するというだけのことである。そしてそれがルールである以上、それに則って進むことを改めて強く求めたい。

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