「横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)」
2011.10.28
横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)
~自ら申し出て疑惑解明に協力すべき~
10月25日のブログで横峯良郎議員(民主党)の航空機クーポン券の問題を取り上げた。実態のない「地方住所」を沖縄県に登録して、クーポン券を過大に貰っていたのではないかという疑惑である。
そこにも書いたが横峯議員は「月3往復の航空機クーポン券+JR無料パス」を貰っている。疑惑が浮上した後、鈴木政二・参議院議院運営委員長が同議員のクーポン券の使用実態を事務方から提出させた。クーポン券の使用状況は院に資料が残っているので、それを出させたわけである。こうした資料は「政治活動の自由」に関わるとして普通は非公開である。だが疑惑があるということで議運理事会の議論を受けて理事会メンバーには公開することになった。
私も理事の一人なので、それを目にしたが、横峯議員は平均すると月に8回ほど飛行機に乗っていることが分かった。月3往復ならば普通は6回までのはずである。それが約8回搭乗しているのは、遠距離に地方住所を登録して高額のクーポン券を受領しておいて、実際にはもっと短距離の区間を乗っているからである。
羽田~那覇で登録しておくと、一か月に貰えるクーポン券は24万5400円分になる。片道40900円で3往復という計算になる(金額は通常期と多客期で多少違うので、ここでは2010年4月の数字を使った)。この金額を近距離便で使えば、かなり使い勝手が良くなるという仕組みである。
cf.月3往復といってもこのクーポン券は月をまたいで繰り越すことはできる。つまり4月と5月は1往復しかせずに6月は7往復という使い方は可能である(年度をまたぐのは不可)。ただし横峯議員の場合は平均的に月8回(つまり4往復)ほど搭乗している。
そして届けのあった那覇への飛行はほとんどない。数で言えば平成22年度に横峯議員は95回クーポン券を使っている。そのうち沖縄県に関係した使用は4回である。うち明らかに同一のフライトに2枚のクーポン券を使っているものがあるので便数でいえば3便にすぎない。羽田~那覇という便に限ればわずかに2便である。
平成23年度に関しては4月から8月19日の飛行まで44回のクーポン券使用が確認されているが、沖縄関係はゼロである。これでは沖縄県が「主たる生活又は活動の本拠地」とはとても言い難い。
このことは横峯議員も認めている。疑惑が取り沙汰されだした今年の9月26日付けで「地方住所」の所在地を沖縄県から宮崎県に変更している。確かにクーポン券の使用を見ても羽田~宮崎の使用が多いのは事実である。バレたから届けを直したと勘ぐられても仕方ないだろう。
実態のない沖縄県を登録して多額のクーポン券を支給されていたのが故意なのか過失なのかを断じることは難しい。しかしそれだけに本人の説明が必要である。
疑惑を受けた政治家は院の政治倫理審査会(政倫審)に自ら申し出て弁明することができることになっている。この政倫審は実は昨年から注目されている。小沢一郎元代表が「政治とカネ」の問題で政倫審(この場合は衆議院の政倫審だが)に出席するかどうかが焦点になったからである。
みんなの党を含め多くの野党は小沢氏の証人喚問を要求している。証人喚問は公開で実施され、偽証罪もある。一方、政倫審は原則非公開で、偽証罪もない。その点、政倫審の方がハードルが低い。そこで民主党も証人喚問は受け入れなくても、せめて政倫審での弁明には応じるかもしれないとして注目されていた。民主党の姿勢は揺れ動いたが、結局「小沢氏は起訴され司法の手続きの中にあるから」という理由で政倫審への出席さえ拒んでいる。
横峯氏の場合は、刑事訴追はされていない。だが倫理を問われていることは間違いない。航空機クーポン券だけではない。秘書の勤務状況に関わる疑惑も週刊誌などで取り沙汰されている。“刑事訴追されたら駄目、今も駄目”というなら、いったいいつ政治倫理審査会が活用されるのか。まずは本人自らが政倫審での弁明を申し出て、誰にでも分かるようにしっかりと説明責任を果たすことを期待したい。
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