けんいちブログ

各党公開討論会(環境問題)での発言

2001.07.14

「各党公開討論会(環境問題)での発言」

◆5党の環境政策担当が揃いぶみ。水野賢一の大胆な政策提言が随所に。
6月30日に大学生が主催した各政党間の公開討論会に出席しました。テーマは「政党が『環境』をどう考えるか」で、東京都の小金井市公会堂で行われました。

出席者は、
自由民主党   水野賢一 (衆議院議員、党環境副部会長)
民主党     佐藤謙一郎(衆議院議員、党環境農林水産ネクスト大臣)
自由党     武山百合子(衆議院議員、党環境部会長)
日本共産党   岩佐恵美 (参議院議員、環境委員会理事)
社会民主党   原陽子  (衆議院議員、環境委員会委員)
コーディネーター小出五郎(NHK解説委員)

この時の私の発言内容を以下に採録しました。
全参加者の発言を載せれば、各党の比較もしやすいのですが、膨大な文量になってしまうこと、他の出席者の了承を得ていないことなどから司会者と私自身の発言のみを掲載しました。 討論は、まず始めに各党が政策を3分ずつ述べ、そのあと会場の聴衆から回収したアンケート用紙の中で多かった質問に対して、各議員が答えるという形式でした。

【討論会の発言】
〇小出五郎: みなさん、こんにちは。小出でございます。今日はコーディネーターというふうにご紹介いただきましたが、私自身のボランティアの一環といたしまして、こうしたNGOの皆さんが頑張っているのを応援したいと思いましてお引き受けいたしました。今コーディネーターということだったのですが、コーディネーターというのは大体自分の意見をかなり述べつつ、独断と偏見に基づいて進めるのがコーディネーターというものの役割でございますけれども、先ほどから結構いろいろ厳しいルールがございまして、それに従ってやらなければいけないという、ある意味ではコーディネーターというよりは今回の進行役ということで、機械的に仕切るという役割で今日は進めたいというように思っております。

昨日国会が閉会いたしまして、7月29日に参議院選挙があり、事実上スタートしたという段階になっているわけですけれども、そのなかで環境政策が大きな焦点のひとつになっていると思うんですね。世の中ほどほど豊かになったというところはいいわけですけれども、そういう中で一層その環境ということが、安全とか安心とかそれから豊かな生活とかそういったことからしますと、大変重要になってきております。そこで各党それぞれ政策を持っているわけですけれども、どれを選ぶのかというのが私たちの一票ということになるわけですよね。今日はその環境問題、いろんな論点があるわけですけれども、できるだけたくさんの論点を選びまして各党の違いが何であるか、あるいは皆さんが一票を投じるとき、判断をするとき自分の考え方にあったのはどの党か、あるいは21世紀の環境をですね、安全とか安心とか豊かな生活とかそういう面から期待できるのはどの党か、そういったことをチェックポイントにして、各党の皆さんの話を聞いていただきたいというふうに思います。先ほど話がございましたが、進め方につきましては会場の皆さんのアンケートを後ほど回収いたしまして、それに従って進めたいと思いますがその前にですね、それぞれ各党の方からご自分の党の環境政策の基本方針ということについて述べていただきます。基本方針全体を述べていただくとこれは60分とか90分とかかかるわけですけれども、今日は3分ぐらいに俳句のように凝縮をいたしまして述べていただくということをまず最初にやっていきたいと思います。そのあとに若干休憩時間があってアンケートを回収いたしますので、お話を聞きながらご自分の一番関心のあるのはこの点だということを会場の方々にぜひ記入していただきたいと思います。 まず最初に今申し上げましたけれども環境政策の基本方針、各党がもっとも大切だと考えている原理原則ということについて、それぞれ3分でお話をしていただきたいと思います。先ほどのルールに従いまして私のお隣といいますか、一番こちらの方からお願いいたします

〇水野賢一(自由民主党): 自由民主党の環境部会副部会長をつとめさせていただいております水野賢一でございます。自民党というのは多種多様な意見がある政党で、それこそ郵政民営化ひとつをとっても賛成の人から反対の人までいろいろあるので、それだけに党の意見というのを代表してというのもなかなか難しいんですが、環境部会副部会長としての水野賢一の意見ということで申し上げたいと思います。 最近の環境問題というのはたとえば30年ぐらい前の公害問題とはちょっと様相を異にしているのではないかと思うところがございます。かつての公害問題ということになると、いま原さんがおっしゃった水俣病の場合は特定の企業、チッソという企業が出した排水が原因でした。もしくはほかの公害の場合も、ある工場が出した排水とか排煙によって住民が被害を受けていた。そういう意味では加害者は明らかにそういう汚染物質を出した企業であり、被害者は住民ということだったんですが、最近の特に地球環境問題といわれるような環境問題というのは、我々自身のライフスタイルによって、たとえば二酸化炭素を出している。つまり我々自身が被害者であるけれども同時に加害者だという側面を強く持っている。それが最近の環境問題の特徴ではないかと思うわけです。 地球温暖化問題というのはその典型なんですが、やや似た問題としてはフロンによるオゾン層の破壊という問題、これも地球環境問題のひとつのシンボリックな問題だと思います。今国会でですね、「フロン回収破壊法」というのが成立しました。自由民主党もこの問題についてずーっと議論してきて、これは党内だけで議論したのではなくて、NGOの方々なども全部含めながら一緒に議論をしてきてこの法律の制定に力を尽くしたということは我々の誇りにすべきことかなと思います。フロンというのはですね、オゾン層を破壊するということでかつて生産が禁止されているんですけれども、生産禁止の前にすでに生産されたものが今でも使われているんですね。これが、大気中に放出されてしまったりすると最終的にはオゾン層を破壊してしまう。こういうようなことで生産禁止に加えて、すでに作られてしまったものも回収破壊をしなければいけない、こういう法律が今国会で成立したわけです。これは各党の名誉のためにも言いますと、全会一致で可決したわけですけれども、自由民主党も制定にあたって大きく寄与してきたということは、とかく自民党は環境問題に対して不熱心だといわれる中で、我ながらよく頑張ったと思うわけです。もちろんそういう地球環境問題以外にも地域のいろいろな公害問題、大気汚染をはじめとする問題なども積極的に取り組んでいきたいと、そういうふうに考えております。

〇小出五郎: お話を伺って各党似ているところもあれば違うところもあるという印象だったと思います。大きな、言ってみれば総論ということについてはそんなに大きな違いというのはないような気もいたしますが。ここで休憩をいただきまして、アンケートを回収いたしまして、休憩後再開からは各論についてお話を伺っていきたいと思います。

[休憩]

〇小出五郎: たくさんのアンケートご協力ありがとうございました。今一番多かったのは、やはり焦点の京都議定書の問題ですね。これに関心を持っている方が一番多い。日本の京都で1997年に一応合意に達した京都議定書ですね。二酸化炭素削減の問題についてですが、アメリカが離脱を表明した。で、日本が非常に世界の注目の的といいますか、日本次第でこの議定書が発効するかどうか分かれ目にきているということです。いま小泉首相がアメリカに行っておりますが、その問題も今日の議論の間に、出てくるという話も聞いておりますけれども、京都議定書について日本はどういう態度を取るべきだろうか。アメリカ抜きで発効するのか、あるいはアメリカをあくまでも説得するのか、あるいはほかの道を取るべきなのか。これはいろいろ各党違いが出てくると思います。その点について意見を述べていただきたいと思うんですけれども、先ほどは原さんからだったんですが、今度は水野さんから始まりまして原さんで終わると、そういう順序で、まず一回目の発言をお願いしたいと思います。

〇水野賢一: 京都議定書の問題ですけれども、まずですね、日本の取るべき方針というのは、まず最初にはアメリカを京都議定書の枠組みに戻すために全力を尽くす、いわば説得をするということだと思います。その理由のひとつはアメリカはいま全世界のCO2の排出量の約4分の1を占めている。このアメリカが抜けてしまっては京都議定書の実効性が欠けてしまうということです。もうひとつは途上国の問題です。今後は途上国のCO2削減というのもいずれは大きい課題になってくるでしょうけど、そのときにアメリカが入っていないことを理由に彼らが参加しないということが、ありえるからです。 ただおそらく今の質問は日本が説得をしてもアメリカが方針を変更しない場合、説得に応じない場合どうするかというご質問だと思うんですけれども、それに関して言えばアメリカ抜きでも日本は批准をして京都議定書の発効を目指すべきだと考えています。というのは、これはもうここで発効しなければですね、10年前に逆戻りだということだと思いますし、日本で結んだ京都議定書だというその責任があるからです。さらに言えばここで極めて大切なのはアメリカを説得するためにもですね日本が自らの約束、つまり6パーセント削減ということに対して日本自身も国内対策をきちんとしなければいけない。どうも今はこれさえ実現できそうにないといわれていますけれども、日本がまず国内対策をきちんとやるんだというその姿勢を示すということを前提として今の話があるのだということをご理解いただきたいと思います。

〇小出五郎: 今のは自民党の見解として理解してよろしいですか?

〇水野賢一: 自民党の中にはいろんな意見があります。実は細かいことになりますけど、一昨日小泉総理のところに自民党の何名かの議員と公明党の田端さんなどが行って、この問題での申し入れをしています。その人たちの中でもアメリカ抜きでも批准すべきだという人と最後までアメリカの説得に力を尽くすことに重点をおくべきだという意見に分かれています。
(佐藤謙一郎(民主党):[略] 、岩佐恵美(共産党) :[略] 、武山百合子(自由党):[略] 、原陽子(社民党) :[略])

〇小出五郎: 水野さんの自民党は内部にいろいろな意見があるということでありました。ほかの四党の方は今批准すべきだというふうに考えていると、イエスかノーかみたいな分けかたをしますとそういうことになろうかと思うんですね。それで会場の方でアンケートに質問を書いていただいた方からの質問がひとつありましてね、これを皆さんにも答えていただきたいなと思うんですが、現在の時点で温暖化防止と経済成長、これはやはりトレードオフというんでしょうか、経済成長すると温暖化防止は後回し、温暖化防止を優先すると経済成長が少し遅れると、そういう関係であると考えられていたけれどもそれをどのようにクリアするのか、その問題をどのように考えていったらいいのか、ということですね。温暖化対策には早くやらなければいけない、そういう時間的な問題があるということを考慮した上で政策の考え方を教えていただきたいという、そういう質問なんですが、これについてまた一言ずつ述べていただきたいと思います。
(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略] 、原陽子(社民党) :[略])

〇水野賢一: 環境と経済の話というと、環境面に配慮すると経済発展が阻害されるんではないかという声が確かに経済界を中心にあるんですけれども、私は環境面に配慮してなおかつ経済面にも発展をさせていくというそういう道は模索できるし、模索していかなければならないと思っています。現にヨーロッパ諸国なんかでは、確か小出さんがNHKスペシャルでかなにかで(注:正しくは教育テレビ「サイエンスアイ」)レポートしていたのにもありましたが、デンマークではですね、この10年の間に25パーセント経済成長しているけれども、CO2の排出量はほとんど増やしていない。そういう例があるわけですね。ですからそういうことを日本も研究していく必要がある。じゃあ具体的にどうやるのかというと、やはり私は石油に依存している現在のエネルギー政策というものが大きく転換する時代がきていると思います。まあ、エネルギーシフトという言葉を使えばそういうことだと思います。じゃあ具体的にどういうことかといいますと将来的には僕はやっぱり水素エネルギーのような、燃料電池をはじめとする水素エネルギーの社会が来るでしょうけれども、過渡期においては、これに対しては賛否両論ありますけれども原子力発電、さらには天然ガスの使用ということを大いに考えていかなければいけないと考えています。

〇小出五郎: 温暖化の問題、今度の京都議定書の話をいたしますとね、どうしてもどういうエネルギーをもとにする経済社会にしていくのか、というところに話がいってしまうわけなんですが、ちょっとさっきの問題に戻りますと、これから大きく情勢がいろいろ変わっていくわけで、特に16日からですか、ちょうど参議院選挙をやっている真っ最中になりますが、ドイツのボンでですね、COP6という温暖化防止条約に加盟している国々の会議が開かれまして、そこで先ほどのアメリカの離脱の問題も含めてですね、今後京都議定書をどうするかということが議論の焦点になっていくわけですけれども、その中で日本がどうするかという選択が厳しく問われるわけでアメリカ抜きでもやっていくのか、あるいは日本とアメリカは共同歩調を取っていくのか、それか一部議定書を変えながらですねアメリカも入ってくれるようなものにしていくのか、あるいはもうご破算にしてですね、それぞれの国々が勝手にやるのか、まあ四つぐらいの方向がその中で見えてくるだろうと思いますね。それがやはり選挙戦の中でも各党がそれについてどういう反応をするか、どのような対策をそこで打ち出していくかということが、皆さんを注視していると見えてくるんではなかろうかなと思いますので、そのへんをひとつのチェックポイントとしてですね、見ていっていただけたらいいんじゃないかなあという気がします。 先ほどアンケートを回収いたしましたらですね、議定書に関する議論をしてくれというのが一番多かったんですが、それに関連してくるんですけれども、環境税など環境対策に経済的手法を取り入れることの是非、あるいはその条件というのは何なのかこのことについて議論してくれという方がですね、三番目に多かったんです。二番目に多かったのが環境問題の解決にはライフスタイルの変更が必要とされるけれども、ライフスタイルを変えるために必要な政策はなんだろうと、それが二番目に多かったです。でも二番目、三番目ほとんど同じぐらいの方でございまして、議論の展開から行きますとちょっと先に、環境政策のために経済的手法を取り入れる、まあ環境税などということですけれども、そのことについて少し見解を表明していただきたい。環境政策のために経済的手法を取り入れることの是非、あるいはどういう条件のもとに取り入れていったらいいだろうかという点についてお話をしていただきたいと思います。
(岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])

〇水野賢一: 自民党の中では環境税の問題というのはかなり前向きに議論されてまして、環境部会副部会長としての私個人としての意見でいえば賛成です。というのは、この環境の問題でいろいろ規制をしていくための手法としては直接的に規制をかけるということもあるでしょうけど、もうひとつは経済的に誘導をしていくという方法があって、この環境税という環境に負荷のかかるものに対しては税金が重いという税制は、その誘導に私は大きな影響を与えると思うからです。具体的な例でいうとたとえば今ディーゼル車の排ガスが問題になっていますけれども、このディーゼル車が最近普及してきてしまったという大きい原因としては軽油引取税がガソリン税に比べてかなり安いということがあるわけです。それによって軽油、それを使うディーゼル車が普及したという例があります。これは悪い例だと私は思っていますけれどもね。ですから経済的な手法というものが非常に人々の行動というもの、ライフスタイルというものにも大きな影響を与えると考えれば、環境税というのは非常に重要であるし、導入する必要があると考えます。

(佐藤謙一郎(民主党):[略])

〇小出五郎: 今まで意見をいろいろと伺ってきているのですが、いささか意見を次々と述べていただいているだけで欲求不満になるところがありましてですね、ほかの党の方の意見について何か言いたいという方もいらっしゃるのではないかと思うんですが、特にここで発言したいという方がありませんでしょうか。

(武山百合子(自由党):[略])

〇小出五郎: 確かにここで今日お話を伺っておりますと、各党ほとんど差がないという印象と私も思っております。ところが普段現実の問題になると結構これが差があって、私も以前ちょっと中央環境審議会などで手伝わせてもらったことがあるんですけれども、政策をたとえばアセスメント法の時などにも関わったんですけれども、法律を作る段階になりますとですね、まあ議論百出、立場が違うとこんなにも違うのかと。それが今日ご意見を伺っているとほとんど同じなんで、むしろ世の中はこんなに変わったんだとびっくり仰天しているくらいの感じなんですね。しかしそうは言いながらきわめて具体的な話になってくるとなかなかうまく話が進まないということになってくる。その代表としてですね、やはり公共事業のことが絡んでくると、どうも話がすんなりいかなくなる点があると思うんですね。今回のアンケートの資料ということで二番目に置いといたんですけれども、環境政策として非常に、環境政策の例として交通渋滞とか大気汚染とかこれは非常に重要な問題になっているんですけれども、今道路特定財源がですね、そのことに絡んで環境対策にも使ったほうがいいんじゃないかとかいう議論もあるわけなんですけれども、これになりますと意見が非常に分かれるところがあると思うんですね。総論としては交通渋滞をなくそうとか、大気汚染を防ぐためにいろんなことをやろうとか誰もみな賛成するわけなんですけれども、いったん財源をどうするかということになってくるとこれはもう議論百出で本当にこう変わってきてしまうわけなんですね。ですからここでこういった環境税みたいな話が出てきたんだけれども、環境対策、エネルギー問題なども大きく絡んでくるわけですけれども、どういう財源を考えていったらいいのか。新たに税金が重くなるというのは誰だっていやなわけですけれども、こういうことだったら使っていいんじゃないかと思っている有権者も結構いるわけですよね。どういう財源をもとにして、どういう環境政策を優先的に進めていくか、ということについて少し考えたいと思うんですけれども。特に大気汚染とか交通渋滞など東京の深刻な問題について、ご意見を表明していただけないかと思うんですけれども。

(武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])

〇水野賢一: 東京都の大気汚染ということですけれども、昔は大気汚染というとその原因は工場からの排煙だったわけですね。かつての四大公害のうちのひとつの四日市の喘息なんかは、石油化学コンビナートの排煙だったわけです。けれども今は自動車排ガスが非常に大きい原因になってきている。ではどうすればいいのかということになると、さまざまな規制は実は行なわれているんですね。昔に比べると、たとえば問題のディーゼル車の排ガスなんかもPM規制は平成6年から始まっていますけれども、規制が始まる前よりも4分の1ぐらいにまでPMの量が減っているように一台一台はかなり規制はされている。それなのになぜ、今でも大気汚染はよくならないのかというと、車の台数とか交通量が増えているからですね。だから私は、低公害車は別として車の生産そのものを規制するぐらいのことをしないと、だめなんじゃないかと思っています。かつて日本は自動車貿易摩擦のときに海外輸出を減らすために輸出台数を制限したわけですけれども、同じような発想で自動車生産を規制するというようなことが必要です。貿易摩擦の解消も大切なことかもしれないけれど健康の確保というのはもっと大切なんですから、そういうことをやるべきだと思います。ちなみにこれは私のかなり個人的な意見でございまして、党内では少数意見になりますけれども。ですから、各党の対比をあえて求めるならばですね、自民党の中のバリバリの経済産業部会の人間とか、建設部会とかの人を呼んだら対比がかなりはっきりしたんじゃないかと思うんですが・・・。

(佐藤謙一郎(民主党):[略] 、岩佐恵美(共産党) :[略])

〇小出五郎: 皆さん大変、紳士淑女というか、環境問題についてはあまり際立った違いというのがあまり感じられないんですけれども今日会場にきていらっしゃる方の期待はですね、実はここがよそとは違うんだっていうことをもうちょっと際立たせていただきたいなあ、際立たせて違いを知りたいなあという、そういう期待というのが結構あるように思うんですね。さっき水野さんが環境に非常に関心の深い人ばかりを集めたからこうなるんだというお話でしたが、確かにそのとおりかもしれないんですけれども。 しかしその場合、環境についてはほとんどここにいらっしゃる方は同じ意見だということになってしまうんですが、本当にそれでいいのかなと、私は人事ながら少し心配をしている点があります。それからその中で出てきた問題については、ひとつは環境に関することに関心を持っている方たちは各党を超えて同じようなことを考えているんだけれども、実はなんかここで引っかかってしまう問題がある。さっき原さんは立法と行政というか、むしろ官僚ということなんでしょうか、官僚の方に問題があるとお話をしてくれましたがこれもひとつ問題がある。それからあの公共事業に、地方がそれに依存していないと地方経済が成り立たないということ、そういう構造になっちゃっているんでそれが問題だと。まあいろいろ何点か出てきたんですが、どういう点をですね、より同じ環境についてよくしようという同じ立場で考えられるとしたらですね、我が党は特にここのところを変えることによって自分達の考える環境政策を実現したいんだと、そのポイントをですね、もうちょっと他の党とは違うよという自己主張を強くして、ちょっとお話いただけないかと。何とかその違いをですね、はっきりとしていかないといけないと思うんですね。そうしないとなかなか一票を投ずる気にならないということもあると思うんで。そういう点について。この問題を我が党は一番のターゲットとしているという点を上げていただけないでしょうか。

(原陽子(社民党):[略])

〇水野賢一: 我が党は一言でまとめるのが非常に難しい政党でございまして、田中真紀子さんと鈴木宗男さんが同じ政党にいるくらいですから、なかなか一言でまとめにくい。他の党との違いというよりは、党内の違いのほうが大きいかもしれないという気がするぐらいなんですが・・・。また環境部会副部会長たる水野賢一としての立場で言わせていただければ、これからの環境問題というのはかなりメーカーの責任というのを問うていかなくてはいけないのではないかと思うんです。自動車の排ガスの場合で言えば最近低公害車への買い替えということがよく言われていますが、これは良いことなんだけれども、メーカーからすれば新しい需要ができるわけですからこれはうれしい話なわけですね。しかしそれと同時に痛みの伴う、メーカーにとっても痛みの伴う生産規制とかですね、そういうようなことにも踏み込んでいかなければならないでしょう。そういうことを言うと党内では自動車メーカーの敵のように思われるかもしれませんが・・・。しかしたとえばさっきのフロンの話でも、フロンという自然界には存在しない有害物質を20世紀になって人類がはじめて作った。日本でいうと5~6社が作っていたんですけれども、そういうメーカーの責任というのはフロン法のように全党一致したものでさえ十分には問われてなかったんじゃないかと私は思っています。そういうことを含めて今後研究をしていかなくてはいけないし、党内を説得していかなければいけないなと思っています。

(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略])

〇小出五郎: 環境問題で確かに利害がすごく一致しているということになると、野党は与党の応援団だということですが、水野さんどうですか。

〇水野賢一: ありがたい話でございまして、選挙もそういうふうに応援してもらえるとありがたいんですけれども、なかなかそうはいかないんでしょうけれど、お互い頑張りましょう。

(岩佐恵美(共産党):[NGOの役割について発言])

〇小出五郎: そういうグローバルなことはNGOが頑張っていますよね。国同士が国境を越えてNGOが世界中をつないでいるような時代にもなっていると思います。今のことにも少しつながっていくんですけれども、今の延長にもなるのかな、さっきのアンケートでも、やっぱりこの辺のことについて議論してほしいと希望する方が大変多かったということなんですが、環境問題の解決にはやはりライフスタイルを変えていくということが必要なんです。これは本人の意識の問題という面もありますが、やっぱりライフスタイルを変えるような政策が非常に重要ではないかと思うんですけれども、そういう点ですけれども、これについてまたご意見を述べていただきたいと思います。

〇水野賢一: 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在の環境問題というのは昔の公害問題に比べて、昔の公害問題が全部解決したといっているわけではないんですけれども、どちらかというと今の環境問題というのは、我々自身が加害者であり我々自身が被害者だという面があるわけですね。たとえばCO2なんかは我々の生活の中で排出していて、その温暖化によって人類が被害を被るという点で。そういう点で我々自身の生活を変えていかなければならないのは当然だと思います。じゃあどういうふうに変えるかということになりますと、これはたとえば教育とかいろいろな啓発活動というのもあると思いますけれど、やはり環境にやさしいことをした人間のほうが得をする、そうじゃない相反するようなことをした人間が損をするという、利益誘導というとちょっと言葉が悪いですけれども、経済的に誘導をするためにはさっきの環境税、炭素税、そういうものを考慮する必要はあると思います。 私の選挙区は千葉県の成田空港よりちょっと東京に近いあたりなんですが、そこに印旛沼という沼があります。これは日本で二番目に汚い沼なんですけれども、その汚れの約半分は生活排水なんですね。工業排水ではなくて生活排水が最大の汚染原因なわけです。こういうものに対しては啓発をする必要もあるけれども一方で、ある意味で下水道の整備とか浄化槽の整備だとか、合併浄化槽を導入するとかそこに補助をつけるとかそういうようなことをやる必要はあると思います。

〇小出五郎: これまで一人1分半でやっていましたが、時間が短いのでもう少し長くしましょう。2分半くらいがいいと思います。水野さんの前からやればよかったのですが失礼しました。ここからそうするとして、水野さんは他の方が終わった後で、1分くらい追加して話してください。

(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党):[略])

〇水野賢一: 1分の追加ですね。さっきちょっと申し上げたのはですね、私が申し上げたいのは昔の環境問題というのは、たとえばイタイイタイ病であればカドミウムを出していた三井金属鉱山とかそういうところを取り締まれば汚染は収まったんでしょうけど、今の場合はですね、そういうわけではなくて私の選挙区内の印旛沼が典型なように、生活排水が汚染の原因になっている。じゃあどうするかというと教育も必要だと思います。よく市役所なんかは味噌汁をそのまま台所に流さないようにとか、牛乳を流さないようにとかやっています。けれどもそういう啓発活動だけじゃなくてやっぱりですね、そういうところにこそ公共事業が必要なんじゃないかなと。たとえば下水道の整備ということなんかも、まだまだ遅れている地域があります。東京なんかは完璧であっても千葉県などはまだまだ遅れている。下水道が非効率的なところであれば合併浄化槽を導入するとか、これは非常にお金もかかるけれどもそういうところにこそ重点的に投資をしていくことが必要なんじゃないかなと。教育、啓発活動とあわせてそういう部分への公共事業費の投入というのが必要だと思います。

〇小出五郎: そういうことを通じてライフスタイルを変えていくことができるだろうというお話でした。まあ、今日は環境、地球環境問題ということから話が始まったわけですけれども、アンケートの中でその他自由記入というのがあって、自由に記入していただいたものの中に、やっぱり結構大きな話なんですけれども代表的な質問がありましてちょっとそれについてお答えいただきたいなと思います。これはやはり環境問題はグローバル化していると、特に日本と外国との関係なんですが、ひとつは日本と途上国との関係、途上国の環境支援ということについて、どう考えているか、そしてもうひとつは日本が環境外交ということで、世界をリードしていってほしいなあという期待があるわけですが、どういうふうにですね、日本が環境外交を進めていったらいいだろうか、かなり大きな問題、まさに国政の場にある意味でふさわしい話だと思うんですが、そのことについて意見を表明していただきたいなあと思います。

(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党):[略])

〇水野賢一: 今の地球環境の問題というのは、やはり先進国に大きい責任がある。だからこそ京都議定書も、CO2の排出に縛りがかかっているのは先進国だけなんですね。そういう意味において先進国が大きな役割を果たしていかなければならないというのは当然ですけれども、じゃあ途上国に対して甘いことを言うのが我々の立場なのかというと、途上国に対してもやはり言うべきことは言う。たとえば温暖化問題のことでもアメリカに対しても言うべきことは言う必要があるだろうけれども、途上国に対してもただ単に甘やかすだけじゃなくて、ちゃんと言うべきことは言うということが必要だと思います。先進国の責任というのは今まで我々がやってきたような20世紀型のエネルギー多消費型の社会じゃなくても、発展できるんだよということを、身をもって示していく必要が途上国に対してあるんじゃないかなと、思うわけです。 あと、技術移転というのは確かに大切だと思います。いま原さんがおっしゃったフロンの場合ですね、日本で一年間に廃車される自動車というのが約500万台ある。その500万台のうちの約100万台が中古車輸出で主に途上国中心に回っているわけですね。で、自動車のカーエアコンというので大体一台あたり、ばらつきがありますが700グラムぐらいフロンが入ってて、それがそのまま車をつぶしちゃうとフロンが空気中に抜けちゃうわけですから、最後に廃車するときに回収する必要があるんだけれども、そのときの回収・破壊コストに大体一台あたり3000円ぐらいかかるということです。そういうようなものにたいして日本国内ではちゃんと回収・破壊するシステムができたけれども、途上国ではおそらくしないわけですね。金がかかるわけですから。一台約3000円ぐらい。こういうことに対してやはり費用面だとか、もしくは技術開発だとかいろんなことを途上国に対しても移転する必要があるだろうし、そういうことをやってこそ日本も国際社会の中で本当の意味で名誉ある地位を占めることができるんじゃないでしょうか

〇小出五郎: 今それぞれの方からご発言いただいたわけですが、どなたか他の党の方にご質問ありますか?

〇水野賢一: 原議員にお伺いしたいと思いますけれども、さきほどらい「脱原発」とおっしゃっていますが、私も原発に対してはいくつかの疑問点は持っています。理由は事故が起きるということだけではなくて、安全に操業していても高レベルの放射性廃棄物が出てきてしまい、そして捨て場も決まっていない、そういう問題があることは十分認識しています。しかし一方、現在発電量のうちの3割強から4割ぐらい、原発が占めているという現実もあるわけです。その中で非常に素朴な疑問ですが、脱原発をした場合のエネルギー源はどのようにお考えですか。

〇原陽子(要約): 生活を変えて私たち自身も省エネに向かっていくべきだと思います。これから省エネということをしっかりやっていけば原発を増やすほど電力を必要とするでしょうか。太陽光発電などの自然エネルギー発電の普及を進めていくべき。そうすれば原発はなくていいと思うし、今は東京で使うための電気を田舎で発電して送ってきているが、それもエネルギーの無駄だと思います。そんなに安全だというのならば東京にも原発を建てていいのでは。

〇小出五郎: この問題は環境よりも原発の話をしたほうが今日は沸いたんじゃないかと思うほどの大テーマでして、エネルギー問題で次やったらいいんじゃないかと思いますけれども、簡単に結論が出る話じゃなくて、まさにこれは意見を表明するよりもディスカッションをして意見の違いをもっと際立たせていって、それで何を選ぶのかっていうことを考えるという方向でやらなければならない、日本の将来に関わる本当に大きなテーマだというふうに思うんです。そろそろおしまいに近づいてきたわけですけれども、今までのことも踏まえて、さらに今まで触れなかったことも踏まえて総括的に最後のまとめの一言というのを皆様に一言お願いいたします。選挙も近いことですから、それも意識をしながらお話いただければと思います。

(岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])

〇水野賢一: 私も昭和41年の生まれですので、国会の中では比較的若いつもりでいたのですが、今日は原さんとかですね、さらに会場の若い皆さん方と会うことができて非常に楽しい時間を過ごすことができました。人間にとって生活に欠かすことのできない大気とか水というものが今非常に汚染されてしまっているという実態があるわけですね。水は日本では「湯水のごとく使う」という言い回しがあるように、あたりまえのように使う感じもあったんですが、非常に今貴重なものになっている。それでも水の場合はペットボトルみたいに飲料水を自分で選ぶことがまだできるかもしれないけれども、大気の場合は人間は選ぶことができないわけですね。人は自分が住んでいるところの空気を吸わざるをえない、その大気が汚染されてしまっているという実態があるわけです。個々人の努力では自衛できないわけですから、そうである以上、国、行政というものが、地方自治体というのも含めてきちっときれいな空気を守っていく必要があると思います。そのためには先ほど申し上げたように昔の大気汚染は工場排煙が原因だったかもしれないけれど、今は自動車排ガスが大きな原因になっている。そういう点で自動車に対しても一台一台の自動車を規制することも必要かもしれないけれども、あわせて総量を規制する、そして生産も規制していくことも必要なんじゃないかと思っているわけです。 そういうことを言うと私も党内で異端児になってしまうかもしれないけれど、しかし必要なことは必要だと主張していきたいと思います。党内でいろんなディスカッションしていける点も自由民主党のいい点でありまして、どこの党とは申しませんが画一的にみんな同じことを言うよりは、党内で右もあれば左もあるというのが自民党のいい点だと思っています。

(佐藤謙一郎(民主党):[略])

〇小出五郎: だいぶ長時間にわたってさまざまなところから発言をしていただきました。今後、今日のここで出ましたことを参考にして皆さんにそれぞれ考えていただきたいと思います。京都議定書問題、途上国の問題、道路特定財源など財源をどういうふうに環境に振り向けていくのかということ、さらに自然保護とか廃棄物の問題とかいろんなことが次々現れてくると思うんですね。そういうときにいったいどこの党が、あるいは誰が環境に対して熱心な対策を打ち出していくのか、そして抵抗勢力というものは各党それぞれの中にあったり、国会の中にあったり、官僚の世界にあったり、財界にあったりするわけですけれども、そういうものにどういうふうに対応していくだろうか、ということを割とクールに冷めた目で見極めて、投票の時には一票の権利を行使することを考えてみたいと思います。非常に長時間、ありがとうございました。

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