けんいちブログ

犯罪被害者の権利を守るために尽力

2009.01.15

『犯罪被害者の権利を守るために尽力』

法務副大臣をつとめた水野賢一衆議院議員に犯罪被害者支援と治安対策について聞いた。

Q1 水野さんは犯罪被害者の権利のために力を入れてきましたね。

水野:これまでは加害者の権利 · 人権ばかりが強調されて、被害者の権利がないがしろにされる傾向がありました。それが山口県光市の母子殺害事件など凶悪な事件の続発によって「もっと被害者の視点に立つべきだ」という気運が高まり、04年には犯罪被害者等基本法が制定され、その後様々な具体策が講じられていきます。これらの施策の取りまとめには私も法務副大臣などとして関わってきました。

【光市の母子殺害事件】
1999年に山口県光市で23歳の主婦と生後11か月の娘が自宅で殺害された事件,妻と娘を奪われた遺族の本村洋さんが被害者の立場を訴える姿勢が司法制度のあり方に大きなー石を投じた。犯人の18歳(事件当時)の少年はー審 · 二審では無期懲役の判決になるが、最高裁がこれを差し戻し08年に広島高裁で死刑判決が出る。被告人が上告したため現在再び最高裁で争われている。

【法テラスによる被害者支援】
04年に成立した総合法律支援法に基づいて、06年に日本司法支援センター(愛称;法テラス)という公的機関が設立された。法テラスのコールセンターでは法律相談窓口の紹介と犯罪被害者への情報提供のサービスを無料で行なっている(電話の通話は有料)。
法律相談の窓口紹介は#0570-078374
犯罪被害者支援は#0570-079714

Q2 具体策のーっとして、犯罪被害者が裁判にも参加できるようになったみたいですね。

水野:従来、被害者が刑事裁判でできることといえば傍聴席に座ることくらいでした(注)。しかし裁判は公開が原則である以上、傍聴というのは誰であっても可能です。つまり誰であっても可能なことくらいしか被害者の権利として認められていなかったのです。傍聴席に座っているだけでは被告人が「勝手な弁明や嘘八百を言ったとしても何の反論もできません。それはあまりにもおかしいということで07年に刑事訴訟法を改正して、重大犯罪の場合には被害者やその家族も希望すれば法廷の栅の中に入って、被告人に対して質問をしたり、「被告人を懲役15年にして下さい」というような求刑に類する意見も述べられるようにしました。この被害者の裁判参加は08年12月から施行されることになっています。 (注)ただし00年の刑事訴訟法の改正によって被害者意見陳述という制度はー応あった。

Q3 被害者の裁判参加には反対論もありましたね。

水野:日弁連や野党の中には被害者が裁判に参加すると法廷が仇討ち · 復讐の場になるとして反対する声もずいぶんとありました。しかし裁判で被害者が蚊帳の外に置かれている方がよっぽど問題です。血の通った司法を実現するためにも新制度は意義深いと思います。また犯人の更生のためにも被害者と向き合わせ、罪の重さを自覚させることが必要です。

Q4 被害者への見舞金も増額されたそうですが。

水野:故意の犯罪によって身体に危害を受けた人やその遺族には障害の程度に応じて公費でー時金が支給されます。この制度は1981年から始まりましたが、死亡した場に遺族が受け取る最高額は1573万円でした。これに対しては「交通事故の死亡事故の自賠責保険でも3千万円なのに、その半額とは少なすぎる」という指摘も強く、08年から2964万円に増額しました。予算の総額で見ると、この被害者や遺族への支給金は07年の場合、年間9億3千万円でした。一方、加害者である被疑者や被告人のために支払われた金額は国選弁護費だけでも年間75億円なのですから今回の増額は当然だったと思います。

Q5 犯罪の被害をなくすためには、まず治安を改善することも大切だと思いますが。

水野:まったくその通りです。犯罪の発生件数は普通、一般刑法犯の認知件数という数値で表わしますが、昭和期には年間140万720万件くらいだったのが02年には過去最高の285万件にまで増えてしまいました。その後、滅少傾向に転じて07年は10年ぶりに200万件を割り込みましたが、その背景には警察官を2万4千人増員したことがあります。更なる治安改善のためには警察官、検察官、入国管理官といった治安に密接に関係する人たちの更なる増員が不可欠です。まして被害者に対してきめ細かな対応が求められる時代です。今までと同じ人数で冶安の確保にも当たり、一方で被害者に対しても丁寧に封応し説明することは困難です。その点からも警察官などの増員が求められるところです。

【検挙率】
犯罪の検挙率とは普通、一般刑法犯の検挙率を指す。昭和期には約6割だったが、その後急落し01年には19.8%にまで下がった。その後回復の兆しを見せ07年には31.7%となる(千葉県は33.2%)。殺人の検挙率に限れば全国の検挙率は96.5%となっている。

【警察官一人あたりの各国の人口】
日本は警察官一人あたりが負担している人口が多い。逆にいえぱ人口に比べて警察官の数が少ない。治安が良かった時代はそれでも構わなかったが、近年は警察官の増員を求める声が強まっている。
日本511人
イギリス366人
アメリカ353人
フランス286人
 

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