衆議院総選挙を前にして
2012.12.03
衆議院総選挙を前にして政党が離合集散している。一時期は14~15に上っていた政党が、いくつかのグループに収斂してきたような感がある。選挙目当てといえば選挙目当てには違いないが、小選挙区制度の下ではある程度必然の動きのようにも思える。
そもそも小選挙区制度というのは二大政党に圧倒的に有利な制度である。小選挙区というのは「1位になった者だけが当選」という仕組みである。中小政党が民主党、自民党の候補を押しのけて1位になることは至難の業である。
3年前の総選挙を見てみると300小選挙区のうち民主党と自民党という二大政党のいずれかが勝利した選挙区は285に上っている(注1)。逆に言うと二大政党以外の候補者が小選挙区を制したのはわずかに15選挙区にすぎない(注2)。小選挙区制度が導入される時、「政権交代可能な二大政党制を作る」ことが大義名分として喧伝されたが、幸か不幸かそうした状況が出現しているのは事実である。
ただでさえ勝ち抜くことが難しい小選挙区にいわゆる第三極が複数立候補すれば、さらに当選確率は下がる。票が割れてしまうからである。そこでなるべくお互いにぶつからないようにするというのは、選挙戦略上は理解できる。そうした協力をより一歩進めると政党同士の合流・合併につながっていく。その具体的な表われが「日本維新の会」と「太陽の党」の合併であり、嘉田新党(日本未来の党)への小沢一郎氏や河村たかし氏らの合流なのだろう。
こうした動きは選挙に勝つという一点からみれば当然のことである。しかしそれも行き過ぎると野合である。みんなの党は常に政策本位を掲げてきた。いかに選挙のためとはいえ基本政策を棚上げして合流・合併することは避けてきたつもりである。そのため今回の総選挙は単独で戦うことになった(他党と候補者を推薦する可能性はあるが)。
小選挙区制の下で中小政党が単独で戦うことはなかなか難しいのは先に述べてきた通りである。しかし右往左往せずに筋を通す政党が一つくらいあっても良いのではないかと思っている。
心ある方々の御理解・御支援をいただければ幸いである。
注1)総選挙における300小選挙区の獲得議席は、
二大政党 うち民主党 うち自民党
2003年総選挙 273 105 168
2005年総選挙 271 52 219
2009年総選挙 285 221 64
注2)前回総選挙で二大政党の候補者以外で小選挙区で勝利した主な例は、
渡辺喜美(栃木3区・みんなの党)、江田憲司(神奈川8区・みんなの党)、中村喜四郎(茨城7区・無所属)、辻元清美(大阪10区・社民党=当時)、平沼赳夫(岡山3区・無所属=当時)、亀井静香(広島6区・国民新党=当時)
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