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けんいちブログ

羽田の国際化、ちょっと待って

2001年02月04日

「羽田の国際化、ちょっと待って」

◆成田空港は遠いから羽田を使おうという声がある。でもその前にやるべきことがあるのでは・・・

【要旨】

最近、羽田空港から国際便を飛ばそうという動きがある。その背景には成田は「遠くて不便だ」という声がある。しかしそれならばまず考えるべきことは成田を「近くて便利」なように都心とのアクセスを改善することではないか。政府もこのアクセスをかねてから約束しているのに実行が伴っていない。政府は一刻も早くこの約束を果たすべきである。

●羽田国際化とは

昭和53年に成田空港が開港して以来、首都圏では成田が国際空港、羽田が国内空港と役割分担をしてきました。ところが最近、「羽田空港から国際便を飛ばすべきだ」という声が強まってきています。いわゆる羽田国際化論です。石原東京都知事や亀井自民党政調会長はこれを熱心に主張していますし、扇国土交通大臣まで同調して千葉県側の強い反発を浴びたのは記憶に新しいところです。

こうした声の背景には「成田空港は都心から遠くて不便だ」ということがあります。確かにそうかもしれません。成田空港は都心から約66キロ離れたところにあり、世界的に見てもこれだけ都心から離れたところにある空港はすくないでしょう。

●まず成田へのアクセス改善を

しかし、だからといって「じゃあ羽田を使えばいいじゃないか」という声には「ちょっと待った」と言わなければなりません。成田空港が「遠くて不便だ」というならば、まず考えるべきことは「近くて便利」なようにすることです。そもそも成田空港が遠いということは建設する前から分かっていたことです。それを承知の上で国は成田に空港を建設したのです。       だからこそ成田への空港建設を決めた昭和41年の閣議決定には東京と成田を高速鉄道で結ぶことが謳れています。そして実際に東京駅から成田空港まで新幹線を通す計画がつくられ、一部地域では着工まで行われました。結局、この構想は挫折してしまいましたが、成田-東京間のアクセスを改善することの重要性には変わりありません。そこで運輸省はこの新幹線に代わる計画として昭和59年にB案ルートという構想を打ち出しました。これは千葉ニュータウンを走っている北総・公団鉄道をさらに東に延伸して成田にまでつなげようというものです。この鉄道が完成すれば、今の京成スカイライナーや成田エクスプレスよりもはるかに早く都心に到達できるようになります。当初の予定ではこの鉄道は昭和75年(平成12年のこと)には開通しているはずでしたが、現実には印旛日医大という駅まで開通しただけで成田市まであと10キロほどがつながっていません。

要するに国は千葉県と地域住民に約束したことをまだ果たしていないのです。新幹線にしてもB案ルートにしても掛け声ばかりで実現していません。羽田国際化とか何とか言う前に、まず国はやるべきことをきちんとやってほしいというのが私の基本的な主張です。つまり「遠くて不便だ」と言う前に「近くて便利」なように交通アクセスを整備すべきなのです。

●国は責任を持って鉄道整備を

現在、運輸省はこのB案ルートを平成27年を目途に完成させるとしています。当初の予定よりも15年ずれ込んだことになります。この鉄道の建設が遅れた理由はいろいろありますが、最大の原因としては1000億円を超すとされる建設資金の調達が大変だということがあります。そうであるならば国が責任を持って資金を投入すべきです。現在の補助制度では空港にアクセスする鉄道の建設費の36%は国と県で補助するようになっています。18%を国が、18%を県が出すということです。現に仙台空港へのアクセス鉄道や中部国際空港へのアクセス鉄道はこの補助制度を使って建設を進めています。

しかし成田は日本の表玄関です。仙台空港などの地方空港とはとは重要性が格段と違います。仙台空港のケースと同じだけしか国が負担しないというのでは明らかな悪平等です。仙台空港への鉄道の建設費の36%を国と県がまかなうのであれば、成田空港の場合は例えば70%くらいは国が負担しても全然おかしくはありません。

●本当に必要な分野にこそ重点投資を

最近、公共事業の見直しが叫ばれていますが、その本義は無駄な投資をしないということにあると思います。車の通らないところに高速道路を建設したり、採算が取れないような地方空港を整備したりするのはやめるべきです。「隣町に音楽ホールができたからうちの町にも」という妙な横並び意識は無駄使いの元凶です。

逆に言うならば貴重な税金を投入するからには本当に必要なところにこそ重点的に投入すべきだということです。その点からしても、成田へのアクセス鉄道に重点投資することは極めて重要だと考えます。ましてこれは千葉県のためだけではありません。都民にとっても外国からの旅行者にとっても、空港利用者の誰にとってもプラスになることです。

さらに言うならば、この鉄道はまったく一から建設するのではありません。すでに成田市の西10キロの印旛日本医大まで開業しているのです。それを伸ばすというだけのことです。財政事情が厳しい現在、まず考えられるべきことはこのようにすでに存在する施設を最大限有効に活用するということではないでしょうか。

◆解説◆

◆深夜早朝の利用                                 成田空港は深夜23時から早朝6時までは開いていない。この深夜早朝の時間帯に限って、今年の2月から国際便でも羽田空港を使用することが認められた。ただし騒音被害をくいとめるためにこの時間帯は千葉県上空は飛行しない約束になっている。

◆羽田空港と騒音

羽田空港を利用する飛行機は離着陸の際に必ずと言っていいほど千葉県上空を飛行している。これに対し、東京の上空はまったく飛んでいない。これは都内の騒音被害を防ぐためにわざわざ東京上空を避けた飛行ルートを設定しているためである。つまり羽田空港の騒音被害は都民でなく千葉県民が受けているのである。国際線は機材も大型化し、燃料も大量に積むために騒音も格段に大きくなる。つまりこの飛行ル-トのままで羽田に国際便が飛べば、千葉県側の被害はさらに大きくなることが予想される。東京都などが「羽田に国際便を」と主張するならば、まず先にこうした飛行ルートの見直しに着手すべきだという声が強い。

◆B案ルートとは                                     新幹線計画を断念した運輸省は成田空港へのアクセス鉄道のルートとしてA案、B案、C案の三案を検討した。その結果、北総・公団線を成田まで延長するB案が最適という結論を下した。これがB案ルートで成田新高速鉄道とも呼ばれている。

◆平成27年の開通予定                                 運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会が平成12年1月に出した答申で、B案ル-トは平成27年までに開業すべきと位置づけられた。さらに運輸省は昨年4月の水野賢一議員の国会質問に対し「平成27年といわずにもっと早くに整備したい」旨の回答をした。こうしたこともあり最近では平成22年開業を目途に準備が進められている。ただし今後実施される環境アセスメントの結果など流動的な要素も多い。

◆水野賢一のひとりごと

この文章は私が選挙区内に配っている機関紙「水野賢一レポート」に掲載したものです。これを書いた直後の2月16日から羽田空港から国際チャーター便が飛び立つようになりなした。また3月には千葉県知事に堂本さんが当選し20年ぶりに知事が変わるなど成田をめぐる状況にも大きな変化がおきています。

しかし私の主張はまったくもって不変です。なにも私は「羽田からは一便たりとも国際便をを飛ばさせない。」と息巻いているのではありません。「成田が不便だというならばまず便利にしてくださいよ。 それが国の努めでしょ」という至極当然のことを言っているだけなのです。 それにしても国は勝手なものです。扇千景とかいう大臣も「成田は不便」みたいなことを平気で言うのですから。そもそも成田が遠いというのは建設する時から分かっていたことです。なにも最近急に遠くなったわけではありません。だからこそ「近くて便利」にするのが国の役目なんです。なにしろ成田に空港をつくるというは国が一方的に決めたわけですから。こうした努力もしないで「遠い、遠い」と担当の大臣が言うとはどういうことでしょうか。まったく不勉強とは怖いことです。羽田を使う飛行機の飛行ルートにもいろいろ言いたいことがありますが、それはまた後日あらためて、ということで。

(このひとりごとは2001年5月13日に記す)

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