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けんいちブログ

低公害車について(1)

2001.05.13

「低公害車について(1)」

小泉総理が打ち出した低公害車の普及には大賛成。でももう一歩踏み込まないと・・・
小泉首相が政府の公用車をすべて低公害車に替える方針を打ち出した。それも来年度から3年以内に替えるというのだからかなり大胆な提案である。実のところ政府は平成7年にも「平成12年度末に公用車の概ね10%を低公害車にする」ことを閣議決定している。平成12年度末といえば今年の3月末である。しかしこの10%という低い目標さえ達成されていないのが現状である。現状の低公害車の割合は約6%にすぎない。それを一気に100%にまでもっていこうというのだから、小泉首相らしい思い切った政策だと思う。

私もこの方針には大いに賛成である。しかし自動車による大気汚染の現状を考えた場合に、抜本的な解決策にはなっていないとも思う。政府が保有する公用車は約7000台とされる。これに対し、日本全国で保有されている自動車は7200万台である。つまり政府公用車の割合は1万分の1にすぎないのである。もちろん、だからといって政府公用車を低公害車に替えることは無意味ではない。「まず隗より始めよ」という言葉もある通り、政府自らが率先垂範することは極めて重要である。しかし1万分の1の部分だけを低公害車に替えただけで満足するわけにはいかない。9999の部分に手を付けなければ根本的な解決にはならないのである。

では根本的な解決策とは何か。私は自動車の生産に一定の制限を設けるしかないと思っている。政府はこれまでも自動車排ガスに関して様々な規制を行なってきてはいる。ガソリン車から出る窒素酸化物(NOx)も30年前に比べると30分の1以下になっている。デイーゼル車でも約4分の1である。しかしそれでも十分な効果は上がっていない。これはなぜか。一言でいえば車の台数が増えたからである。デイーゼル車の急増がそれに輪をかけている。このことは環境省なども認めている事実である。そうである以上、車の生産になんらかの規制を設けるしかないのではないか。車の増加にこそ大気汚染の主原因があれば、その部分に対策を立てることがむしろ当然だろう。

残念ながら現在のところ、こうした声は政府内でも自民党内でもほとんど上がっていない。むしろ私の主張は突飛な考えとして扱われるだろう。しかし決して突飛ではない。過去にも自動車生産を規制した例はあるのだ。80年代の日米貿易摩擦の時に自動車輸出の自主規制が行われている。当然、自動車生産も抑制したわけである。貿易摩擦の回避も確かに重要だろう。しかし国民の健康はもっと大切な問題である。貿易摩擦でできたことが国民の健康を守るためにできないはずがない。今こそ自動車の生産規制を含めて、抜本的・本質的な自動車公害対策が望まれている。

”水野賢一のひとりごと”
でもこういう主張をすると自動車メーカーからは嫌われるだろうなあ。自動車工業会や商工族議員からは目の敵にされるかもしれないけど、国民の健康の方が大切だと思うんですけど。自動車排ガスは肺ガン、気管支炎、喘息などはもちろん、花粉症の原因にもなるというんですから。 (この”ひとりごと”は2001年5月13日に記す)

低公害車について(2)

2001.05.13

「低公害車について(2)」

低公害車って何だろう。矛盾を抱える現在の低公害車の定義とは。
小泉首相は政府の公用車をすべて低公害車に替えると宣言した。 環境重視の小泉内閣の目玉政策の一つである。さて低公害車とはいったいどういうものだろうか。現在、政府は電気自動車・メタノール車・天然ガス自動車・ハイブリット車の4種類を低公害車だと認定しており、これらの車種は「低公害車4兄弟」と呼ばれている。

しかし奇妙なことがある。排ガスを実際に測定した上で低公害車かどうかを認定するわけではないのだ。別に私はこれら4種類の車の排ガスが汚いと言っているわけではない。確かにこれらの排ガスはガソリン車やデイーゼル車に比べてクリーンだとされている。問題はこの「4兄弟」以外の車はどんなに排ガスの性能がよくても低公害車とは認められないということである。最近はガソリン車でも排ガスが相当クリーンなものも出てきている。またLPガス車の排ガスも天然ガス車とそれほど遜色ないとされている。ところがこれらの車が低公害車と見なされることはない。

低公害車かどうかというのはあくまでも排ガスがクリーンかどうかによって判断されるべきである。燃料によって判断されるべきではない。ましてこの4車種への限定も時代遅れになっている。例えばメタノール自動車は以前は期待を集めていたが、実際にはほとんど普及することなくいわば死に体である。制度というのは時代に合わせて柔軟に変えるべきである。しかもこの制度を変えるのは簡単である。というのも、これら4車種のみを低公害車と認めることは法律で決まっているわけではないからだ。政府が独自にそう決めているだけである。つまり認定基準を変えるために法律改正は必要ない。政府が判断基準を変えるだけですむのだ。低公害車が注目の的になっている今、こうしたことにも政府は柔軟にのぞむべきであろう。

”水野賢一のひとりごと”
行政府たる政府の公用車もさることながら、立法府たる国会にも公用車があります。衆議院だけを見ても議長車・副議長車・各委員長車、さらには各政党会派に割り当てられる車など166台があります。そのうち低公害車は天然ガス車が2台だけとお寒い限り・・・。 ただし普及が進まなかったことにも訳があります。例えば天然ガス車ならば一番のネックはスタンドが少ないことでしょう。ガソリンスタンドが全国に5万か所以上あるのに対し、天然ガススタンドは130か所しかありません。こうしたインフラ整備にも力を注ぐ必要があるでしょう。
(この“ひとりごと”は2001年5月26日に記す)

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