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けんいちブログ

特集 北総・公団線

2001年08月17日

「特集 北総・公団線」

~運賃、成田への延伸、ダイヤ改正~

選挙公約から1年。これさえ読めば北総・公団線のすべてがわかる決定版巨編。

千葉ニュータウンと都心を結ぶ北総・公団線は大きく次の三つの問題を抱えています。

①高すぎる運賃

②成田方面への延伸

③都心への速達性の向上

私は昨年6月の総選挙の時に、これらの問題を解決することを訴え、選挙公報にも次のように記しました。

「北総・公団線の運賃問題は、国会で取り上げ、その結果、運輸省が『長期間値上げはしない』と回答しました。今後も値下げに向けて努力します。また、同線の成田までの延伸やJR成田線複線化の早期実現に取り組みます」

cf.選挙直前の5~6月には北総・公団線に関して4回にわたってビラを出し、問題解決を訴えました。これらのビラの全文はこのホームページの「水野賢一の主張」コーナーに掲載しています。どうぞ御覧ください。

cf.衆議院選直前に「北総・公団鉄道運賃値下げを実現する会」という住民団体のアンケートにも運賃問題についての考えを述べました。

しかし北総線に関する問題の解決に力を尽くすことを約束したのは私だけではありません。堂本千葉県知事をはじめ沿線の市町村長、そして県会議員らも同様の公約をしています。当選した人はもちろん、落選した候補も似たような趣旨を訴えていたことを見ても、これらの課題の解決は党派を超えたテーマといっても過言ではありません。それだけ住民にとって切実な問題だからでしょう。

公約とは選挙の時にただ訴えるためだけのものではなく、果たすためのものです。私も微力ながら、公約の実現のために力を尽くしてきたつもりです。総選挙後、1年あまりがすぎた今、その結果や最新状況をこのホームページの場を使い、皆様にご報告したいと思います。もちろんすべての問題が解決したわけではありません。前進したものもあれば、いまだ道遠しの部分もあります。それらをすべて明らかにしたいと思います。未解決の問題はどこに問題があるかも提示して、解決に向けて皆様と一緒に知恵を絞りながら、今後とも力を尽くしていければと考えています。

それぞれの問題について、順番に記載していきたいと思います。

◎都心への速達性の向上(ダイヤ改正)

◎成田方面への延伸

◎高すぎる運賃

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◎速達性の向上について ~ダイヤ改正~

北総・公団線が抱える問題のうち最近大きな進展があったのは、都心への速達性の向上です。今年9月15日のダイヤ改正で北総・公団線に初めて「特急」が運転されることになりました。ここで同線のダイヤの変遷について簡単におさらいしてみましょう。

◆開業から急行運転へ

千葉ニュータウンに初めて鉄道が開通したのは昭和54年のことです。このときは小室~北初富までしか開業していませんでした。昭和59年には千葉ニュータウン中央駅が開業します。

さらに平成3年には京成高砂まで伸び、都心に直接に乗り入れられるようになりました。しかしこのときはまだ急行もなく、“千葉ニュータウン中央~日本橋”は57分もかかっていました。

その後の動きを箇条書きにしてみます。

・平成5年4月 朝のラッシュ時間帯に上り急行列車を2本新設。 これにより千葉ニュータウン中央~日本橋”は50分に

・平成6年4月 朝のラッシュ時間帯に上り急行列車を1本増設

・平成7年4月 上り急行を1本増設、下り急行3本増設。 ちなみにこの時、印西牧の原駅が開業

・平成10年11月 上り急行を1本増設。これで上り急行は5本に。

このように急行も少しずつ増発されるようになりました。しかし、さらなる改善が求められていました。特に千葉ニュータウン住民にとって不公平感が強かったのは、京成本線から都心へ向かう急行は青砥~押上の間の駅も通過するのに、北総線から来た急行はここを各駅停車することでした。

cf. 厳密には京成本線からの急行は、「京成高砂~青砥~立石~押上」と停車し、京成本線からの特急は「京成高砂~青砥~押上」と停車します。

◆特急運転の開始

こうした問題を解決すべく今年の9月15日のダイヤ改正で北総・公団線にも初めて「特急」が運転されることになりました。この特急は従来の急行が通過していた5駅(大町、松飛台、東松戸、秋山、北国分)に加え、新たに矢切、新柴又、立石、四ツ木、八広、曳舟の6駅を通過します。

北総開発鉄道(株)の資料によると、これによって都心までの所要時間は、4分25秒の短縮になるとのことです。

区間/現行/改正

千葉NT中央→日本橋/50分00秒/45分35秒

印旛日本医大→日本橋/57分10秒/52分45秒

これまで一日5本あった上りの急行がすべて特急化されます。つまり特急の本数は5本となり、急行はなくなるわけです。一方、下りは特急運転はしませんが、急行が現在の3本から6本に増発されます。

cf. 今回のダイヤ改正が可能になったのは京成押上線内の八広駅に追い越し施設が完成したためです。

◆特急運転への抵抗勢力

しかしダイヤ改正も簡単なことではありませんでした。通過される駅周辺の人々は強く反対するからです。とりわけ問題になったのが新柴又駅です。鉄道開業前の昭和62年に北総開発鉄道(株)、京成電鉄(株)、東京都葛飾区の三者で「全列車を新柴又駅に停車させる」という協定を結んでいたのです。協定を結ばなければ鉄道建設を認めないという地元の強い姿勢を前に、結ばざるをえなかったともいえます。そのため乗降客が少ない新柴又駅にもこれまですべての列車は停車していました。逆にいえば、都心に向かう千葉ニュータウン住民はそれだけ余計な所要時間を強いられていたともいえます。

今回、初めてこの協定に縛られないダイヤを組んだわけですが、これは今後に向けても大きな意味を持ちます。いずれ北総・公団線は東に延長され、成田空港にもつながります。そして都心と空港を高速で結ぶスカイライナータイプの特急も走行する予定です。もし未来永劫この協定に縛られることになれば、こうした列車さえ新柴又だけは停車しなければならないということになってしまいます。これは誰がどう考えてもおかしなことです。こんな妙なことにならないためにも、協定にとらわれないダイヤが組まれたことは歓迎すべきでしょう。

ちなみに平成3年の鉄道開業時には新柴又に停車する電車は上りが一日60本でした。その後、ダイヤ改正の度に便数が増え、それがすべて同駅には停車しているので76本にまで増えました。今回の改正で特急は通過することになりましたが、その分、各駅停車が増えるので同駅に停車する電車の数は76本のままです。まして下りは5本も増えることになりました。新柴又周辺の住民にとっても悪い話ばかりではないのです。

抵抗を乗り越えてダイヤ改正がなされた背景には、鉄道の利便性を向上してくれという千葉ニュータウン住民の強い要望があったことは間違いありません。鉄道会社としても「千葉ニュータウン住民の期待に応えなければ人口は増加しない。そうなれば鉄道利用者も増えないので会社にとってもマイナスだ」という判断が働いたものと思われます。同じ理屈は運賃問題にも当てはまるはずです。この問題も値下げに向けて粘り強く働きかけていきたいと考えています。

※北総・公団線の駅別乗降人員(一日平均)~平成12年度~

駅名/単位・人

印旛日本医大/1457

印西牧の原/8022

千葉NT中央/25596

小室/5198

白井/9787

西白井/12008

新鎌ヶ谷/18634

大町/1601

松飛台/3450

東松戸/10120

秋山/3981

北国分/6075

矢切/6385

新柴又/3610

京成高砂/54750

cf. 印旛日本医大駅は12年7月に開業

◆印旛日本医大駅の利便性向上

なお今回のダイヤ改正により昨年7月に開業した印旛日本医大駅の利便性も向上します。

まず、これまでは朝の上り急行5本のうち印旛日本医大発は2本にすぎませんでしたが、改正によってすべて印旛日本医大始発になります。

また遅い時間の電車は印西牧の原止まりになっていることに対する不満の声もありました。これは車両基地の位置関係上そうなっていたのですが、今回これも改正され、印旛日本医大着の下り最終列車の到着時刻が繰り下げられました。

現行24時14分

改正24時46分(32分繰り下げ)

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◎「成田への延伸」について

北総・公団線の抱えている諸問題のうちで、全国的に注目されているのは成田延伸の問題でしょう。

成田空港は年間に2500万人もの旅客が利用します。国際空港としては、もちろん日本最大、世界でも8番目の利用者数を誇っています。しかし成田空港の最大の弱点は都心から遠いことです。現在、成田と都心を結ぶ鉄道としてはJRの成田エクスプレス、京成のスカイライナーなどがあります。しかしいずれも都心から1時間近くかかってしまいます。世界の主要空港をみると大都市との距離は30分台までが常識です。そこで成田空港のアクセス改善が長年求められてきました。

※空港から都心までの鉄道所要時間

オヘア空港(シカゴ) 40分

ヒースロー空港 (ロンドン) 30分

ガトウィック空港 (ロンドン) 30分

ドゴール空港 (パリ) 29分

フミチノ空港 (ローマ) 20分

スキポール空港 (アムステルダム) 12分

関西国際空港  (大阪) 29分

成田空港     (東京) 53分

北総・公団線の終着駅である印旛日本医大駅からさらに東に20kmほど線路を延ばすと成田空港に行き着きます。ここに鉄道を敷設すれば成田空港と都心を結ぶ最短のルートになります。この構想が“成田新高速鉄道”です。  この鉄道の建設が注目されている最大の理由は都心と成田空港のアクセス改善が図れるからです。「遠くて不便」とされた成田空港を「近くて便利」にする期待を担っています。しかしもう一つ重要な側面があります。この鉄道によって千葉ニュータウンの利便性が向上する点です。現在の千葉ニュータウンは都心には鉄道一本で簡単に行けますが(運賃は高いが)、成田方面に行くのは大変です。成田にも簡単に行けるようになれば千葉ニュータウンはより魅力的な街になるはずです。この部分は全国的にはあまり気づかれていませんが、忘れてはならない視点です。

cf. この成田新高速鉄道については、このホームページ上の「水野賢一の主張」の欄の2000年6月8日、2001年2月4日の項でも触れていますので御覧ください。

さて、この成田新高速鉄道の構想について、Q&A方式で見てみましょう。

◆Q 成田新高速鉄道のこれまでの経緯は?

A 昭和41年7月、政府は新東京国際空港を千葉県成田市に建設することを閣議決定しました。しかしこの新空港が都心から66kmも離れた場所に位置するため「東京~新空港間に高速電車を運行する」ことも同時に閣議決定されたのです。

これに基づき成田~東京間の新幹線が計画され、昭和49年からは工事も始まりました。ちなみに現在、成田エクスプレスなどが乗り入れている空港内の地下駅はもともとは新幹線用に建設されたものです。しかし騒音被害を恐れる東京都江戸川区の住民などの反対でこの新幹線の工事は中断し、結局、頓挫してしまいます。

とはいえ成田へのアクセス改善が急務であることに変わりはありません。そこで運輸省の諮問機関は昭和57年に、新幹線に代わる鉄道としてA案、B案、C案の3つのルートを提示します。

A案:東京~新砂町~西船橋~新鎌ヶ谷~小室~印旛松虫~空港

B案:上野・東京~高砂~新鎌ヶ谷~小室~印旛松虫~空港

C案:東京~錦糸町~千葉~佐倉~成田~空港

注)印旛松虫とは現在の印旛日本医大のこと

そして昭和59年に運輸省はこの中でB案が最適だとの結論を出し、推進することを約束しました。これが「成田新高速鉄道」です。今でもこの構想が関係者の間で「B案ルート」と呼ばれるのはこうした経緯からです。

当初はこの鉄道は2000年(平成12年)には開業する予定でした。しかし実際には話が煮詰まらずに年月が過ぎてしまいます。むしろいったん消えたはずのC案ルートの方が、JR成田エクスプレス(昭和63年開業)という形で事実上、復活したくらいです。成田新高速鉄道の話が再び大きく進展しはじめるのは平成12年のことです。同年1月に運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会が今後15年間の首都圏の鉄道網の整備についての答申を出しました。ここでは新規に作る鉄道について、優先順位を三段階に分けました。

A1 …2015年までに開業することが適当な路線

A2 …2015年までに整備着手することが適当な路線

B …今後の整備について検討すべき路線

成田新高速鉄道はこのうち最上位のA1 、つまり2015年までの開業が目標とされたのです。 同年3月には千葉県が中心になって「成田新高速鉄道事業化推進検討委員会」が発足しました。ここでは県の担当者の他に、運輸省鉄道局、運輸省航空局、新東京国際空港公団、都市基盤整備公団、JR東日本、京成電鉄、北総開発鉄道などの担当者、さらには成田市長、白井町長、印旛村長が集まり、建設のための具体的な打ち合わせをしています。 さらに平成13年4月に千葉県知事に就任した堂本暁子氏もこの鉄道について極めて熱心な姿勢を見せています。また国会議員の間でも6月には「首都圏空港の高速鉄道アクセスを早期に実現する会」が結成され、小泉首相に申し入れをするなどの活動が行なわれました。

◆Q 時間はどれだけ短縮されるの?

A 成田新高速鉄道は、当面、成田空港と京成上野を結ぶ予定でいます。運輸省(現・国土交通省)は以前からこの成田新高速鉄道ができれば、空港と都心が30分台で結ばれると宣伝していました。現在のところ“日暮里~空港第二ビル”が36分になる予定です。

実際には、この計算法には奇異な感じもあります。そもそも「日暮里が都心か?」という疑問もあります。また電車は“京成上野~日暮里~空港第二ビル~成田空港”と走るのに、“京成上野~成田空港”でなく、日暮里を起点にしている点にも少しでも速くみせたいという作為が感じられます。

それでも現在のスカイライナーが“日暮里~空港第二ビル”を51分で走っているのに比べれば大幅な短縮になります。やはりアクセス改善のためには成田新高速鉄道が必要なのです。

◆Q いつごろ完成するの?

A 前述した通り、昨年1月の運輸政策審議会の答申では成田新高速鉄道は「2015年までに開業」という位置付けになっています。運輸省(現・国土交通省)もこれを尊重していますので、公式には現在でも2015年の開業が目標と言っています。

しかしその後、「もっと早く建設できないのか」という声が高まっていきます。昨年4月には私(水野賢一)の国会質問に対し中馬弘毅運輸政務次官は「2015年というまどろっこしいことではなく、早期に整備する必要があると思う」と答弁しました。そして現在では国土交通省も2010年には整備したいと言っています。同省は「2010年というのは約束ではなく、あくまでも順調に進めばその頃に完成するという目安だ」と予防線を張ってはいますが、いまや関係者の間では2010年が開業の目標になってきました。 今年7月からは成田市や印旛村でボーリング調査が開始されています。

ただ新線を建設する前には環境アセスを行なわなければなりません。また用地を提供してくれる地権者の同意も必要です。こうしたさまざまな不確定要素が残っているため、順調に進むかどうか不安が残るのもまた事実なのです。

◆Q 費用はどれくらいかかるの?

A 成田新高速鉄道の事業費は当初は1000億円はかからないとされていました。しかし事業が現実味を帯び、精査していくうちに工事費も膨れ上がってきました。これはこの種の工事の悪しき通弊といえるでしょう。今年の3月、千葉県が(財)運輸政策研究機構に委託した調査結果が発表されました。この調査は2つのルートを想定して事業費を試算していますが、一つが1292億円、もう一つが1280億円となっています。この数字には空港内のインフラ部が含まれていませんので、それを含むとそれぞれ1573億円、1561億円になります。

cf. 2つのルートといってもあくまでも印旛沼のどの部分を横切るかという小さな違いであり、前述のA案ルート、B案ルート、C案ルートのような根本的なルートの違いではない。あくまでもB案ルートの範疇内での違いである。

実際に高速鉄道を運行するためには単に新線を建設するだけでは不十分です。京成高砂~印旛日本医大のような既存の部分にも追い越し施設をつくるなどの改良が必要になります。先の1200億円超のうち303億円は既存部分の改修費用です。

これだけの大事業ですから当然、国や県の補助も必要になります。現行の補助制度では空港アクセス鉄道に対しては建設費の36%を国と県で補助することになっています(国が18%、県が18%)。この補助制度はこれまで仙台空港へのアクセス鉄道、中部国際空港へのアクセス鉄道の建設に適用されてきましたし、成田新高速鉄道にもこの36%の補助が適用される見込みでした。しかし36%というのは決して高い数字ではありません。現に地下鉄建設の場合は、国と県合計で70%の補助があるのです。

そこで私は繰り返し補助率の引き上げを要求してきました。成田空港は日本の表玄関です。仙台空港とはその重要性がまるで違うのです。その成田が仙台空港と同じ扱いというのは平等のように見えて、実際には悪平等と言わざるをえません。しかもこれだけ多くの人が「遠くて不便だ」と言っています。だからこそ国が責任を持って「近くて便利」な空港にすべきなのです。公共事業は、ばらまくのではなく必要性の高い部分に集中投資してこそ効果があります。 「せめて地下鉄並みの補助にすべきだ」という私の主張は次第に賛同者を得ることになりました。国土交通省もようやく補助率を引き上げる腹を固めたようです。今後、予算を握る財務省も納得させる必要がありますが、恐らくは来年度予算で補助率引上げを前提とした予算がつくのではないかと思います。 その点では、成田新高速鉄道の実現に向けて大きく一歩踏み出せたと思っています。

1000億円超の事業というのは確かに巨額の事業費です。しかし東京湾アクアラインの建設に約1兆5000億円かかり、現在建設中の常磐新線(秋葉原~つくば、平成17年度開業予定)が1兆0500億円もかかっているのに比べれば、かなり安いものという見方もできるかもしれません。

またこれまでの鉄道建設の例を見ると、工期がかかりすぎたために費用が予定よりも膨らむということが多くあります。できるだけ安く仕上げるためにも早期の完成が求められているのです。

◆Q 道路特定財源は使えないの?

A ガソリン税や自動車重量税など一部の税金は道路建設という特定の目的にのみ使われています。これが道路特定財源で、国と地方あわせて約6兆円にもなります。小泉首相が進める改革の中で、この道路特定財源の見直しも議論の俎上に上ってきました。 使途を道路に限らず、もっと広げられないかということです。これに対し既得権益を守ろうとする“道路族”などが強く抵抗しているのは報道されている通りです。

私は道路特定財源の使途を拡大すべきだと考えています。時あたかも今年1月から建設省と運輸省が合体し、国土交通省が誕生しました。それまでは道路は建設省が所管し、鉄道は運輸省が所管していましたが、今ではどちらも国土交通省の担当です。 「この予算は道路にしか使わせない」などという縦割りの時代は終わったのです。必要があれば鉄道建設など他の交通体系整備のためにも道路特定財源を回すべきです。

そして私は道路特定財源の使途拡大の手始めとして成田新高速鉄道こそが恰好の対象ではないかと思っています。しかもこの鉄道は道路とも密接な関係があります。 北総・公団線を利用される方はよくご承知の通り、線路は掘割りの中を走っています。そして掘割り内の線路の脇に空いた用地があります。これは将来、高速道路を建設する時のために用地を確保してあるのです。本来、この掘割りの中では鉄道と道路が一体として整備されるはずだったのです。ただ実際には道路建設が遅れているだけのことです。成田に鉄道を延ばす場合にも、いずれは同じルートを道路も走ることでしょう。 それだけこの鉄道は道路とも密接な関係があるのです。そうである以上、道路特定財源を投入する嚆矢としてふさわしいのではないかと思います。

実際のところ、道路特定財源を鉄道建設に回すことがそう簡単に進むかどうかは分かりません。抵抗も強いからです。しかしこの成田新高速鉄道をめぐってもう一つの「縦割り」は打破できました。航空関係予算を鉄道建設に振り向けられたのです。具体的には新東京国際空港公団が鉄道建設に負担金を出す方向になりました。これまでは「空港の資金は空港内だけに使う」という姿勢でした。ちょうど道路関係者が「この金は道路にしか使わせない」と言うのと同じようなものです。

しかし実際には、空港と都心のアクセスが改善すれば航空関係者も受益者になるのです。受益者である空港公団が一部負担をすることは当然といえば当然ですが、従来の殻を打ち破る決断をしたことは高く評価できます。

ちなみに千葉ニュータウンを通る予定の高速道路は「北千葉道路」と呼ばれています。平成3年から成田市を中心に関係市町村で建設促進のための既成同盟がつくられていますが、実際のところ建設の目途は立っていません。北千葉道路は東は東関東自動車道につながり、西は市川市で東京外環自動車道に接続する予定ですが、この外環自体が未完成なので接続のしようがないというのも遅延の理由のようです。

◆Q 千葉ニュータウンには停車するの?

A 成田新高速鉄道が完成した時には、この線路を京成電鉄のスカイライナーが走る予定でいます。現在のスカイライナーは京成本線の上を走行していますが、新しい鉄道が開通すればこちらが最短コースになるために、ルートを振り替えるわけです。

現在のスカイライナーは“京成上野?日暮里?空港第二ビル~成田空港”の4駅だけに停車していますが、成田新高速鉄道ができてもこれは変わらない予定です。つまりスカイライナーは千葉ニュータウンには停車しません。

ただ成田新高速鉄道の上はそれ以外の特急や各駅停車など多くの列車が走ります。これらのダイヤは当然のことながらまだ未確定です。しかし現在のところ一般特急の停車駅は、北総・公団線内では、“京成高砂~新鎌ヶ谷~千葉NT中央~印旛日本医大~

成田NT北 新駅?空港第二ビル?成田空港”と想定されています。 「成田NT北新駅(仮称)」というのは成田新高速鉄道と成田線(安食・我孫子方面に向かう線)と交差する部分に新設される予定の新駅のことです。現在のところ一般特急の停車駅は、北総・公団線内では、“京成高砂~新鎌ヶ谷~千葉NT中央~印旛日本医大~成田NT北新駅~空港第二ビル~成田空港”と想定されています。 「成田NT北新駅(仮称)」というのは成田新高速鉄道と成田線(安食・我孫子方面に向かう線)と交差する部分に新設される予定の新駅のことです。現在のところ印旛日本医大駅と空港第二ビルの間にできる駅はこの一駅だけの予定ですが、地元の要請や負担があれば成田市土屋などに新駅が追加される可能性もあります。

◆Q どこの会社がつくるの?

A 実はこの一番基本的なことがまだ決まっていないのです。決まっているのは上下分離方式でいくということだけです。上下分離とは列車を走行させる会社と、線路を整備する会社を別にするということです。ちょうどJR貨物とJR東日本の関係がそれにあたります。JR貨物は自分のレールを持っていないので、JR東日本などの線路を借りて走っているのです。もちろん線路使用料は払います。こういう方式を“上”を走る会社と“下”つまり線路を保有する会社が別なので上下分離といいます。

成田新高速鉄道でもこれが採用されます。“上”は京成電鉄がスカイライナーなどを走らせます。問題は“下”の線路を整備する主体が決まっていないことなのです。候補としては都市基盤整備公団、成田空港高速鉄道(株)、新しい第三セクターがありえます。 私は個人的には都市基盤整備公団がよいと思っていましたが、同公団があくまでも嫌がるのでこの可能性はほぼなくなりました。現在のところ成田空港高速鉄道(株)か新たな第三セクターが整備主体になると見られています。ただし第三セクターを新設するとなるとその出資金はどこから集めるかなどのややこしい問題も派生することになります。

cf. 小室~印旛日本医大の部分は現在でも上下分離方式になっています。この12.5kmの区間は線路は都市基盤整備公団が保有しています。上を走っているのは北総開発鉄道(株)の列車です。北総開発鉄道は線路使用料を公団に払いながら走っているのです。京成高砂~小室の19.8kmは北総開発鉄道(株)の所有となっています。「北総・公団線」という奇妙な名称が使われる背景には、こうした関係があるのです。

cf. 成田空港高速鉄道(株)とは成田市土屋~空港までの線路を保有している第三セクター。同社の線路の上を現在、成田エクスプレスや京成スカイライナーが走行しています。

◆Q 環境面は大丈夫?

A 成田新高速鉄道は印旛日本医大駅から東に線路を延ばして、成田市土屋を経由して空港に至ることになっています。このルートだと途中でどうしても印旛沼の上を通過します。 そこで「印旛沼の貴重な生態系を破壊してしまうのではないか」という懸念の声もあります。 印旛沼周辺にはオオタカ、オオセッカ、コジュリンなどの鳥類が生息することが分かっており、これらの貴重な動植物を守ることも大切です。また鉄橋が架かることにより沼の景観が損なわれると心配する人もいます。

一方、鉄道建設は大規模な埋立てとは違うので、環境への影響はそれほどないという意見もあります。その点では101ha(当初計画では740ha)も埋立てようとしていた三番瀬とは違うでしょう。ただ環境に配慮する必要があるのは当然のことです。今後、実際に建設が始まる前には環境アセスメントが行なわれます。しっかりとしたアセスのもとで環境と調和した鉄道建設が求められています。なお当初は、鉄道ルートとして印旛沼を南側に迂回して京成宗吾参道駅方面につなぐという案もありました。しかし迂回するとどうしても所用時間がかかってしまうことや京成電鉄が難色を示したことなどのために、この案は立ち消えになりました。

◆Q 東京駅には乗り入れないの?

A 現在、議論の焦点になっているの成田新高速鉄道とは印旛日本医大駅からさらに東に鉄道を延長して成田空港に乗り入れる話です。この線が完成したときには列車は“京成上野~日暮里~京成高砂~千葉ニュータウン中央~成田空港”というルートを通る予定です(停車駅については前述の部分を参照)。つまり「都心と結ぶ」といってもそれは上野や日暮里の話なのです。

当然、これでは不十分だ、という声もあります。現在の成田エクスプレスのように東京駅に乗り入れるようにすべきだという人も多いはずです。そうした声を受けて、成田空港を出た電車が京成高砂・押上を経由して都営浅草線に乗り入れることも検討されています。これは極めて重要なことです。浅草線に入ることによって東京駅乗り入れはもちろん羽田空港とのアクセスが改善されるからです。

ただこの場合、いくつかの問題があります。まず都営浅草線内に追い越し施設をつくらないと特急運転ができません。さらに東京駅に乗り入れるためには日本橋と宝町の間で東京駅までの引き込み線の工事をする必要があります。

運輸政策審議会の昨年1月の答申では、この東京駅までの引き込み線はA2 、つまり「2015年までに整備着手することが適当な路線」とされました。成田新高速鉄道がA1の「2015年までの開業」を目標としているのに比べ一段階下の位置づけになったのです。

その後、この東京駅乗り入れの問題はしばらくたなざらし状態でしたが、今年の5月、国土交通省がかなり前向きの方針を打ち出しました。「成田・羽田の両空港と都心との直結化を図る都営浅草線の東京駅接着及び浅草橋付近の追い抜き線の新設を早急に具体化するため、整備方策について概ね2年程度を目途に結論を得るべく、関係者による多角的な観点からの検討を進める」というものです。これによって計画に加速がついていくと思われます。

ただ実際にこの引き込み線の工事をするとなると安く見積もっても1500億円、高く見積もると3000億円くらいの費用がかかります。さらに追い抜き施設にも200億円ほどはかかるとされています。この巨額の費用を誰が負担するかで難航する可能性があります。 ただ印旛日本医大~空港間の建設費の一部を千葉県が補助することを考えれば、こちらの方には東京都が責任を負うのは当然だと思います。

以上、成田新高速鉄道の現状と課題について述べてきました。今後も難問山積ですが、早期開通に向けて力を尽くしていきたいと考えています。

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◎高すぎる運賃について

北総・公団線の最大の問題は、やはり高すぎる運賃です。他の鉄道に比べ2~3倍も高いというのは異常事態といわざるをえません。 「財布落としても定期落とすな」などと言われる現状からの脱却が住民の悲願なのも当然のことです。

今までは運賃が高いのは、鉄道会社が大赤字に苦しんでいるからだといわれていました。確かに従来はそうでした。しかし昨年度、ついに営業以来初めての黒字が計上されたのです。今後も黒字基調は続くと予想されています。ようやく値下げの可能性が出てきたといえるでしょう。

ここでは、次の順序でこうした最新状況の報告をしたいと思います。

・北総・公団線の運賃の高さ

・運輸省が値上げはしないと約束

・なぜ運賃が高いのか(1)

・なぜ運賃が高いのか(2)

・ついに黒字に転換!

・国や自治体の支援

・値下げへの展望

◆北総・公団線の運賃の高さ

まず北総・公団線の運賃を他の鉄道と比べてみましょう。(単位・円)

Km /北総線/ 京成/ 西武/京王/営団/東葉

1/200/ 130/140/120/160/200

2/200/130/140/120/160/200

3/200/130/140/120/160/200

4/300/150/140/120/160/280

5/300/150/170/130/160/280

6/370/180/170/130/160/350

7/370/180/170/150/190/350

8/440/180/170/150/190/420

9/440/180/200/150/190/420

10/500/180/200/170/190/490

11/500/250/200/170/190/490

12/570/250/200/170/230/550

13/570/250/230/190/230/550

14/570/250/230/190/230/550

15/630/250/230/190/230/610

16/630/310/230/230/230/610

17/630/310/260/230/230/610

18/680/310260/230/230

19/680/310/260/230/230

20/680/310/260/270/270

21/730/360 /290/ 270/ 270

22/730/360/ 290/ 270/ 270

23/730/360/ 290/ 270/ 270

24/760/360/290/270/270

25/760 /360/330/310/270

26/760/420/330/310/270

27/790/420/330/310/270

28/790/420/330/310/300

29/790/420/360/310/300

30/820/420/360/310/300

cf. 営団は営団地下鉄、東葉は東葉高速鉄道のこと

東葉高速は全長16.2キロ。

なおキロはすべて切り上げ。例えば4.1キロならば5キロで計算される。

その他の鉄道に比べても、北総線がいかに高い運賃かが分かります。

*その他の鉄道との運賃の比較(10キロ時点)

北総開発鉄道 500円

都営地下鉄  260円

小田急電鉄  210円

東武鉄道   190円

JR東日本  160円

cf. JR東日本は電車特定区間という都市部の割安区間の運賃

cf. 北総鉄道よりも高額運賃の路線としては例えば関東電鉄(取手~下館など)があげられます。この鉄道は30キロで970円となり、北総線よりも高くなっています。ただし初乗りは120円で、18キロまでは北総線よりも安いのです。

以上、見てきたのはあくまでも普通運賃の比較です。定期になれば、他の路線との差がさらに広がり、通学者を抱える家庭にとって大きな負担になっているのは言うまでもありません。

◆運輸省が値上げはしないと約束

さらに問題なのは、ただでさえ高い運賃がこれまで2~3年ごとに値上げされてきたということです。運賃改定の経緯をまとめてみました。

初乗り運賃 /定期割引率

昭和54年3月 110円/通勤30%/通学50%

56年3月 120円/ 同上 /同上

58年3月 130円/ 同上/同上

60年3月 150円/同上/同上

62年11月 150円/同上/同上

平成2年1月 160円/同上/同上

3年3月 170円/同上/同上

7年4月 180円/同上/ 通学56%

9年4月 180円/同上/同上

10年9月 200円/同上/ 通学60%

cf. 昭和62年の改定では1~3キロの運賃は据え置かれたが、それ以上の距離は10円ずつ値上げされた。  平成9年は消費税率改定(3%から5%)に伴うもの

そこで私は平成12年4月の衆議院決算行政監視委員会での質問でこの運賃問題を取り上げました。その結果、運輸省(現・国土交通省)の安富正文・鉄道局長が「長期間値上げはしない」との旨を答弁しました。それまでの運輸省が「運賃は高いが、やむをえない」という姿勢だったのに比べれば前進だったと思います。

では、長期間とはどのくらいなのかというと、この時の国会答弁では安富局長は「ここで、10年、15年と具体的な年限をお約束することはなかなか難しゅうございますが」と言葉を濁しました。公式の場で言質を取られるのが嫌だったのでしょう。ただ私が同省の関係者から非公式に聞いている話では「十数年は値上げしない方向でいく」ということです。 運輸省が「値上げはしない」という姿勢に転じたことは大きな前進だったとは思いますが、まだ不十分です。本当に求められているのは“値下げ”なのです。

ちなみに運賃は鉄道会社が決めますが、「鉄道事業法」によって「上限運賃」は国の認可を得る必要があります。認可された以上に高い運賃を設定することはできないのです。鉄道会社は普通、上限運賃一杯に運賃を設定しています(北総鉄道もそう)。だから値上げをするためには新たに申請をして上限運賃の認可を得なければなりません。それだけに所管の運輸省が「値上げはしない」と答弁をしたことは大きな意味を持ちます。 「上限運賃が認可」ということは、逆に言えば、上限の範囲内であれば会社は鉄道運賃を自由に設定できるということです(国への届け出は必要ですが)。つまり値下げをするのは、手続き上は結構、簡単なのです。

◆なぜ運賃が高いのか(1)ー増えない沿線人口

値下げを求めるためにもまず運賃がこれだけ高くなってしまった理由を探る必要があります。その理由は、一口でいえば、鉄道を運行している北総開発鉄道株式会社が赤字だからです。実は同社は平成12年度に開業以来初めての黒字を記録したので、純然たる赤字会社ではなくなってきているのですが、今なお累積赤字は443億円にも上っています。資本金が249億円ですから完全な債務超過であることには変わりありません。昨年の黒字については後ほど詳述するとして、ここでは開業以来赤字続きだった原因について分析してみましょう。

赤字の原因は収入面と支出面に分けられます。 まず収入面を見てみると、同社は予定通りの収入をあげていません。というのも千葉ニュータウンの人口が予定通りには増えていないからです。 千葉ニュータウンは白井市、印西市、印旛村、本埜村、船橋市の5市村にまたがっています。入居が始まったのは昭和54年のことです。 当時は人口34万人の都市を計画していました。ところが入居は進まずに計画自体も下方修正され、現在の予定人口は19万4千人です。 しかし実際に入居しているのは7万8千人にすぎません。下方修正された計画の半分にも達していないのです。

*千葉ニュータウン入居者数の推移(単位・人)

平成3年度 52831

4年度 56226

5年度 59910

6年度 65629

7年度 69454

8年度 72138

9年度 74639

10年度 76154

11年度 77556

12年度 78618

・いずれも各年度末の数字

30万人以上が住むことを想定して敷かれた鉄道沿線に8万人弱しか住んでいなければ、当然、乗降客数の目算も狂います。これでは鉄道会社が思い通りに収入があがらないのも当然です。

そして今では「人口が少ない」→「鉄道の利用者も少ない」→「鉄道会社は赤字になる」→「運賃を上げる」→「ますます人口が増えない」という悪循環に陥ってしまっているのです。 悪循環を断ち切るためにも運賃値下げの決断が求められています。 しかし同時に宅地開発者である都市基盤整備公団と千葉県にも入居を促進するための努力が求められているのです。

「成田新高速鉄道」の大きな意味もここにあります。印旛日本医大から成田にまで鉄道を延ばすこの構想は、都心と成田空港を30分台で結ぶことを謳い文句に推進されています。これも大切なことですが、同時に千葉ニュータウンの魅力を高めるという意味もあります。現在の北総・公団線は印旛日本医大が終点のためにいわば袋小路になってしまっています。この鉄道が完成すれば、袋小路から脱却し千葉ニュータウンの人口も増えるだろうと期待されています。

◆なぜ運賃が高いのか(2)ー重い金利負担

それでは北総開発鉄道の支出面を見てみましょう。支出面を特徴づけるのは鉄道建設公団に支払っている金利負担の重さです。なぜ同社は鉄道建設公団に金利を支払っているのでしょうか。この仕組みを理解するためには建設時に遡らなければなりません。 北総開発鉄道は大きくⅠ期工事、Ⅱ期工事に分けられます。Ⅰ期は昭和54年に開業した北初富から小室までで、Ⅱ期は京成高砂までつなぎ都心に直接乗り入れられるようにした工事です。

区間/開業/キロ程/建設費

Ⅰ期 北初富~小室/昭和54年3月/ 7.9km/224億円

Ⅱ期 京成高砂~新鎌ヶ谷/平成3年3月/11.7km/1213億円

cf. 小室~印旛日本医大は住宅都市整備公団(現・都市基盤整備公団)が所有しているためここでは除く。

この建設工事のほとんどは鉄道建設公団という特殊法人が行ないました。完成した鉄道を北総開発鉄道(株)が同公団から買い取り、その代金を分割払いしているという形になっています。こうした方式による鉄道建設は北総開発鉄道を含む全国16社が行なっており、決して珍しいものではありません。問題はこの支払い時の金利負担が重いということなのです。

例えば平成10年度を見れば、鉄道事業による営業収入が110億円で、営業利益が35億円上がっているのに対し、鉄道建設公団に対してだけで55.5億円もの利息を支払っているのです(同公団以外の支払利息も含めると59.6億円)。同社は経営難のため元本の返済が猶予されているため支払っているのは利息分だけです。それでもこれだけ大きな数字になってしまっているのだから、いかに金利負担が重圧になっているかが分かるでしょう。

収入の半分が利息の支払に消えてしまえば会社が赤字になるのは無理もありません。その結果、この年の経常損益は24.3億円の赤字となっています。

しかし最近、この支払利息も急速に減少し、同社の経営を大きく改善しています。それについては次の項目で述べます。

cf. 鉄道建設公団から北総開発鉄道への譲渡価額

Ⅰ期線(北初富~小室)      157億円

Ⅱ期線(京成高砂~新鎌ヶ谷) 1141億円

◆ついに黒字に転換!

北総開発鉄道の高額運賃の原因は、同社が赤字に苦しんでいるからだと書いてきました。確かに同社は累積で443億円の赤字を抱えています。しかしここ数年経常収支は急速に改善し、ついに平成12年度には単年度黒字を計上したのです。過去に同社は不動産売却によって黒字になったことはありますが、鉄道営業によって黒字になったのは開業以来初めてのことです。

(単位・億円)

平成9年度/平成10年度/平成11年度/平成12年度

営業収益100.4/109.8/115.9/122.8

営業費74.4/74.9/ 74.8/77.7

営業損益26.0/35.0/41.1/45.1

営業外収益2.7/2.2/2.8/3.0

営業外費用63.2/61.5/56.3/43.4

経常損益 ▲34.5/▲24.3/▲12.4/4.7

未処理損失 ▲410.4/▲434.4/▲447.1/▲443.0

cf. 支払利息は「営業外費用」に含まれている ▲は損失

上の表を見れば分かるように、このところ経常損益は毎年10億円以上、改善しています。その背景にあるのは営業収益が伸び、営業外費用が大きく減少していることです。営業収益が伸びた要因としては、沿線の人口増があります。千葉ニュータウンの人口も計画に比べはるかに少ないとはいえ、一定の伸びを示しています。本埜村滝野、印旛村いには野など新しい地区の入居が始まったことが効を奏したと考えられます。また平成10年3月から東松戸でJR武蔵野線との乗換えが可能になったり、11年11月には東武野田線新鎌ヶ谷駅が開業し、同駅での乗換えが可能になったことも利用者増に寄与したとみられます。

そしてなんといっても営業外費用が減少しています。金利が安くなったため支払利息が減少したからです。 北総開発鉄道が鉄道建設公団に支払っている金利のここ3年の推移を見てみましょう。

平成11年度首の平均金利  4.45%

平成12年度首の平均金利  3.59%

平成12年度首の平均金利  2.52%

金利が下がることは歓迎すべきことです。しかし、実を言うとこれだけ金利が下がるというのは私にとっても意外な感があります。昨年の衆議院選の時に、私は北総線の運賃値下げを訴えましたが、そのためにはこの金利軽減を図る必要があると考えました。その具体策として、資金の低利への借り換えやP線補助の見直しといった施策を提示しました。当時、鉄道建設公団は金利は長期固定のため下がらないと説明していました。それだけに上記のような特別の施策が必要だと考えたのです。

cf. 内容については本ホームページ所収の「水野賢一の主張」00年5月25日号、6月1日号を参照してください。

cf. ちなみにその時点では11年度の金利を4.47%と書いていましたが、これは国会答弁で引き出した途中経過の数値であり、確定値は4.45%です。

つまり昨年の時点では私が考えていたのは、「金利負担を下げるための施策をとる」→「会社の赤字を解消する」→「運賃値下げの実現」という手順でした。

しかし実際には特別な施策をとらなくても金利は下がったのです。この点は自らの不明を恥じる次第です。それとともに鉄道建設公団にもより一層の情報公開の必要性を求めざるを得ません。低金利時代が続けば、同公団が関係する金利がこれだけ下がるという情報をきちんと公開すべきだったのです。今回のことは行政側の情報が明らかにされないと正しい判断がしにくいという証左です。情報公開の必要性が一層求められています。

話が少し逸れましたが、いずれにしても金利負担が軽減されたことは良いことです。しかもこの黒字は今後も続くと予測されています。国土交通省の予測によれば、今後は毎年、経常黒字が増え続け、平成20年には12億、25年には22億、30年には45億円となるとされています。そして平成38年度には累積欠損も解消するとみられています。

先の論法でいえば、「金利負担は下がった」→「会社の赤字は解消した」というところまではきたのです。あと残されたのは肝腎の「運賃値下げの実現」だけですが、その条件は整いつつあるといえるでしょう。

◆国や自治体の支援

北総鉄道の高額運賃の背景には、鉄道会社の経営難があるという構図は繰り返し説明してきました。その経営難の大きな原因が千葉ニュータウンの入居の遅れだということも述べてきました。そもそも千葉ニュータウンというのは都市基盤整備公団と千葉県が一緒になって推進してきた事業です。いわば国策のようなものです。この国策の進み具合が遅れているつけが鉄道会社、そして最終的には沿線住民にまわってきているのです。 それだけに国や県にはその責任をとる必要があります。必要な支援措置を講ずるべきなのです。そこで国や県はこれまで3回にわたって北総開発鉄道の支援をしてきました。

*第1次支援(昭和60~平成2年度)

京成電鉄…元本(対象元本7億円)支払猶予及び利息棚上げ

千葉県 …10.5億円の出資

住都公団…7.5億円の出資

鉄建公団…Ⅰ期線の元利均等償還額の支払猶予(総額61億円)

金融機関…元本支払猶予及び利息棚上げ(対象元本50億円)

*第2次支援(平成3~6年度)

京成電鉄…25億円の出資、所要資金の貸付(総額65億円)

千葉県  …20億円の出資、80億円の負担金

住都公団…千葉県と同じ

*第3次支援(平成7~11年度)

京成電鉄…出資57億円、融資81億円(10年間元本支払猶予)

千葉県  …出資15.5億円、融資53億円(10年間無利子)

住都公団…千葉県と同じ

鉄建公団…元本償還の支払猶予(総額187億円)

これらの支援は直接的に金利負担を軽減したりするわけではありませんが、苦しい経営の北総鉄道の息継ぎには必要なものでした。ところがこの支援策は平成11年度で切れてしまったのです。もちろん支援策が切れれば、北総鉄道の経営(特に資金繰り)を直撃し、ひいてはさらなる負担という形で住民に跳ね返ってくる可能性がありました。

そこで私は昨年5月に出したビラの中で次のように発言しました。 「実はこれまで三次にわたって住宅都市整備公団(現・都市基盤整備公団)、千葉県、京成電鉄が融資・出資という形で支援をしてきました。ところが昨年度でこの支援が終わってしまったんです。まったくおかしな話だと思いますね。まず早急に第四次支援策をまとめるように関係者を促しています」

cf.このホームページの「水野賢一の主張」00年5月25日の項を参照

そして今年3月ついに「第4次支援」がまとまったのです。 内容は、

・鉄建公団…償還期間を10年間延長、さらに13年度から3年間は元金償還猶予。

・千葉県 …第3次支援での融資額の無利子据置期間を10年延長

・都市公団…千葉県と同じ

・京成電鉄…第3次支援での融資額の金利を3.0%から0.5%に軽減

北総鉄道は支援が切れていた12年度でさえ初めての黒字を計上したくらいです。この第4次支援の決定によって、今後の経営はさらに安定し、黒字の基調も続いていくことが予想されます。その点で、この支援策がまとまったことは運賃値下げに向けての環境整備として大きい意味を持つものと思われます。

◆値下げへの展望

これまで詳述してきた通り、北総開発鉄道(株)は昨年度、開業以来初の単年度黒字を記録しました。さらに国や県による第4次支援もまとまりました。つまり値下げへの条件は整いつつあるのです。あとは同社の決断に懸かっています。私の印象では同社は「支援を受けている身だから」という遠慮の姿勢が目につきます。支援している側に「値下げするくらい余裕があるならば、支援はしない」と言われるのを恐れているかのようです。しかし支援というものが単に会社救済のためだけであっては意味がないのです。住民に還元されてこそその支援が生きてくるのです。しかも同社の生命線はやはり千葉ニュータウン地区の乗降客です。この地域が住みよい街になることは長期的にみれば同社にとってもよいことのはずです。いまこそ北総開発鉄道側の勇気ある決断が求められている時だと思います。

最後に、運賃値下げを実現した他社の例を掲げておきます。

・平成9年12月 京王電鉄 全線の運賃額、初乗りは130円から120円に

・平成10年4月 広島高速交通 2~3キロの区間の通学定期運賃額6730円から6060円に

・平成10年4月 ゆりかもめ 全線での定期運賃額 最短区間の例でみれば7020円が5400円に

・平成10年7月 遠州鉄道 2キロまでの区間の運賃額 120円から100円に

・平成11年4月 北神急行 全線(といってもこの鉄道は1駅の区間しかない)の運賃額の引下げ430円が350円に

・平成12年1月 多摩都市モノレール 全線の通学定期 最短区間の例でみれば6000円から3600円に

以上のように、値下げにもいろいろな方法がありえます。もちろん最善なのは全線での値下げです。しかし仮にそれがいますぐには無理でも例えば定期券の割引率を上げるということも当面の策としてはありえるはずです。ちょうど今年の4月から「学期定期」が導入されました。これも一歩ではありますが、住民の利便性向上につながりました。このようにできるところからでも値下げをしてほしいと思います。私もそのために今後とも国政の立場から力と知恵を尽くしていきたいと考えています。

ご支援、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

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