• TOP  >  
  • 月別アーカイブ: 2011年10月

けんいちブログ

「原発の事故調査委員会の動き」

2011.10.31

原発の事故調査委員会の動き
     ~みんなの党も幹事会メンバーに~

 東京電力福島第一原発の事故調査委員会を国会に置くことを定めた法律が昨日(10月30日)施行された。近々、事故調査委員会が発足することになる。

 本日もその準備のための各党協議会が開催された。事故調査委員会は国会の中でも衆参の議院運営委員会の合同協議会の下に置かれる形になるので、私も参議院の議運理事としてこの各党協議会に参加した。

 国会に置かれるといっても国会議員が調査委員になるわけではない。国会が民間有識者10名を委員として選ぶ。基本的にはその人たちが関係者から聞き取りをしたり、資料を提出させたりして事故原因や政府の事故対応などを調査・検証することになる。

 実は政府の事故調査・検証委員会というのがすでに設置されており、6月から活動を始めている。「失敗学」を提唱している畑村洋太郎・東大名誉教授を委員長として、これまでに338人からヒアリングを実施したという。
 今回、それに加えて国会にも事故調査委員会を設置したことになる。だからといって屋上屋を架すことにはならないと思う。両者にはいくつかの違いがある。例えば政府の事故調査・検証委員会は原則非公開だが、今度国会に設置される事故調査委員会は公開が原則となっている。

 そうした違いもあるが、国会に設置する最大の意味は中立性・信頼度の問題だといえる。いま政府の事故対応が問われているのである。そうした中、政府に設置され、政府が人選を行なった委員会では「本当にきちんとした調査ができるのか」という疑念が拭いきれない。
 もちろん政府の委員会も一生懸命に取り組んでいるのだろう。年末には中間報告をまとめるというが、有意義な報告書を出してくるのかもしれない。しかし中立性に疑念を持たれるだけでその報告書の価値は下がってしまう。まして今回の事故は国際社会も注視している。それだけに中立性・信頼性への疑念はできるだけ払拭しておきたい。しかもこれだけの大事故である。政府が自ら検証することを否定はしないが、違った眼で多角的に分析することも大切だと思う。

 さて“国会に設置する”といっても、先に述べた通り調査を実施するのは10名の民間有識者である。では国会の役割は何なのか。費用負担はもちろんである。かかる経費は衆参両院が分担する。それ以外にも大きく分ければ二つある。

 一つは委員の人選である。政府の委員会の場合、委員は政府が人選したが、こちらは国会が10名の民間有識者を選任する。衆参の議院運営委員会の合同協議会が、委員長と9名の委員を推薦して両院本会議の了承を得て任命される。それだけに一党一派に偏った人選は考えにくくなる。

 もう一つは資料提出を拒む者がいた時など、何らかの強制力を発動しなければならない時である。その時は調査会は上部機関である衆参の議院運営委員会合同協議会に国政調査権を発動してくれと要請することになる。そうするとこの合同協議会が強制権をもって資料の提出を求めることができる。いわゆる国政調査権の発動である。ちょうど国会が強制力をもって証人喚問できるのと同じことである。ちなみに政府の事故調査・検証委員会にはその権限はない。

 本日の各党協議会では合同協議会の構成などを決めた。衆参15名ずつの合計30名で、各党の割り当ては以下のように決まった。
      衆議院  参議院
  民主   9    8
  自民   3    5
  公明   1    1
  みんな  0    1
  共産   1    0
  社民   1    0
  合計  15   15

 なお合同協議会の会長には衆議院議院運営委員長(現在、民主党)が、会長代理には参議院議院運営委員長(現在、自民党)がつく。
 さらに30名全員で合同協議会の運営を決めるのは難しいので、その中に幹事会を設けることにして、構成を次のようにすることも決めた。
      衆議院  参議院
  民主   4    3
  自民   2    2
  公明   1    1
  みんな  0    1
  合計   7    7

 cf.幹事会にはこの衆参7名ずつ以外に会長と会長代理が加わることになる。

 cf.なお合同協議会も幹事会も正規の委員や幹事以外のオブザーバー参加の余地も残している。

 今後、大きな焦点になるのが事故調査委員の人選である。こうした点でもみんなの党の意見を反映させられるように努めていきたい。
 とりわけ事故調査委員会はベントの遅れなど直接的な事故対応を調査するだけでなく事故の遠因になった原子力村の馴れ合い体質などにもメスを入れると考えられる。こうした部分にも鋭く切り込めるような適任者を選んでいくことがまず第一である。

「袖ヶ浦市長選で党推薦候補が惜敗」

2011.10.31

袖ヶ浦市長選で党推薦候補が惜敗
    ~新人の渡辺薫さん、残念ながら届かず~

 昨日、千葉県袖ヶ浦市長選挙の投開票があり、みんなの党が単独推薦した渡辺薫氏は次点に終わった。開票結果は以下の通りである。
  当  出口清  10067 現 無
      渡辺薫   8937 新 無(みんなの党推薦)
      大森正行  6589  新 無

 渡辺氏が当選すれば千葉県内で初のみんなの党推薦の市長が誕生するところだった。まして他党と相乗りでなく単独で推薦した候補の勝利となると全国でも珍しいことになる。

 連日、袖ヶ浦入りして自ら自転車をこいで選挙応援した佐藤浩・党千葉県議団長をはじめとする党所属県議・市議や党関係者には頭が下がる。

 言うまでもないが、渡辺氏の選挙運動に力を尽くしたのはみんなの党の関係者ばかりではない。地元の浜田靖一衆議院議員(自民党)をはじめとする自民党系市議の方々、党派にかかわらず渡辺氏を応援した心ある袖ヶ浦市民の方々の力は絶大だった。もちろん候補者本人や周りの人たちも必死の努力を積み重ねてきた。

 cf.自民党系議員は大森候補の支持にまわった人たちもいたので、いわゆる保守分裂選挙の形になっていた。なお現職の出口候補は政党推薦は受けていなかったが東電労組出身で民主党系と目されていた。

 残念ながら選挙結果はこうした努力を実らせるものにはならなかったが、渡辺氏に票を投じた方々の思いが、袖ヶ浦市のより良い未来のためにつながっていけばと思う。ともあれ候補者も奥様も本当にお疲れ様でした。

電力使用量のデータを隠すな(その1)

2011.10.30

電力使用量のデータを隠すな(その1)
      ~経済産業省は全面開示せよ~

 10月27日の参議院環境委員会で質疑に立った。ここで追及した大きな柱が「経済産業省は各企業の電力使用量のデータを開示しろ」ということである。実は経済産業省は、どの会社のどの事業所が年間どれだけの電気を使ったかというデータを持っている。省エネ法という法律によって一定以上のエネルギーを使った事業所には、その使用量を報告する義務がかかっているからである。

 問題はそのデータが十分に開示されていないことである。そこで開示せよと迫ったわけである。どのような答弁だったかを記す前に、なぜこのデータを公開すべきなのかについて触れておく。

 今年8月に再生可能エネルギー買取り法が成立した。党内外の退陣圧力で瀬戸際に追い詰められていた菅直人首相が「退陣させたいならこの法案を成立させろ」と条件に挙げていたあの法律である。

 この法律は政府が提出したが、国会審議の中で修正が加えられた。自民党が「この法律が成立すると電気料金が上がる。上がると電気を多量に使う会社は困る。だから多量に使う会社の電気代には配慮すべきだ」と主張したためである。

 そこで「製造業で平均よりも8倍以上電気を使う企業の電気代は大幅に割り引く」ということになった。私は再生可能エネルギーの買取り制度には賛成だが、この修正は法案の改悪だと考えており、このブログでも7月28日に「後ろ向き修正」だと強く批判した。

 cf.この法律については本ブログの7月28日、8月2日、8月30日の項でも触れている。
 電気を多量に使う業界というのは電炉、化学、鋳造といった業界である。私はこうした特定業界を優遇する修正は不要だと考えるが、百歩譲って一定の配慮は必要だとしても「何で8倍なんだ」という疑問は出てくる。5倍でも10倍でもなく、なんで8倍で線を引くのかその根拠がさっぱり分からない。

続いて出てくる懸念は「いま平均よりも7倍使っている会社は、わざと電気を浪費して8倍まで使って大幅な軽減の適用を受けようとするのではないか」ということである。一方で国民に節電を呼びかけながら、一方で電力浪費につながる施策を許すわけにはいかない。
 8倍が妥当なのかどうかを議論するためには現状のデータが必要である。例えば平均の7倍使用している会社がたくさんあるならば上の懸念はかなり深刻になる。逆にほとんどないならば杞憂に終わるかもしれない。そこで法案審議の時に私は次のように主張した。「こうした疑問や懸念を払拭するためには、どの企業がどれだけの電気を使っているのかのデータがないと議論できないではないか。少なくとも経済産業省が現在持っている電力使用量のデータは公開すべきではないか」。

 それに対し海江田万里経済産業大臣(当時)は8月25日の委員会で「議論を深めるために資するものであれば、それはできるだけ出すようにということを役所に対して申し上げましたし、そういう姿勢で臨むということは今私から委員に対してお答えを申し上げます」と答弁した。

その言や良しである。ところが驚くことにそれから2か月経った今でも新たな公開はゼロである。これは何も新たに調査するという話ではない。それならばある程度時間がかかっても仕方がないだろう。しかしすでに持っている資料を公開するだけのことである。やろうと思えばすぐにでもできるはずだが、まったく前進がない。

 そこで先日の環境委員会であらためて早期公開を迫った。その追及内容や、現在何社のデータが非公開になっているかなどについては、次回以降のブログで報告させていただきたい。

「横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)」

2011.10.28

横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)
    ~自ら申し出て疑惑解明に協力すべき~

 10月25日のブログで横峯良郎議員(民主党)の航空機クーポン券の問題を取り上げた。実態のない「地方住所」を沖縄県に登録して、クーポン券を過大に貰っていたのではないかという疑惑である。

 そこにも書いたが横峯議員は「月3往復の航空機クーポン券+JR無料パス」を貰っている。疑惑が浮上した後、鈴木政二・参議院議院運営委員長が同議員のクーポン券の使用実態を事務方から提出させた。クーポン券の使用状況は院に資料が残っているので、それを出させたわけである。こうした資料は「政治活動の自由」に関わるとして普通は非公開である。だが疑惑があるということで議運理事会の議論を受けて理事会メンバーには公開することになった。

 私も理事の一人なので、それを目にしたが、横峯議員は平均すると月に8回ほど飛行機に乗っていることが分かった。月3往復ならば普通は6回までのはずである。それが約8回搭乗しているのは、遠距離に地方住所を登録して高額のクーポン券を受領しておいて、実際にはもっと短距離の区間を乗っているからである。

 羽田~那覇で登録しておくと、一か月に貰えるクーポン券は24万5400円分になる。片道40900円で3往復という計算になる(金額は通常期と多客期で多少違うので、ここでは2010年4月の数字を使った)。この金額を近距離便で使えば、かなり使い勝手が良くなるという仕組みである。

 cf.月3往復といってもこのクーポン券は月をまたいで繰り越すことはできる。つまり4月と5月は1往復しかせずに6月は7往復という使い方は可能である(年度をまたぐのは不可)。ただし横峯議員の場合は平均的に月8回(つまり4往復)ほど搭乗している。
 そして届けのあった那覇への飛行はほとんどない。数で言えば平成22年度に横峯議員は95回クーポン券を使っている。そのうち沖縄県に関係した使用は4回である。うち明らかに同一のフライトに2枚のクーポン券を使っているものがあるので便数でいえば3便にすぎない。羽田~那覇という便に限ればわずかに2便である。

 平成23年度に関しては4月から8月19日の飛行まで44回のクーポン券使用が確認されているが、沖縄関係はゼロである。これでは沖縄県が「主たる生活又は活動の本拠地」とはとても言い難い。

 このことは横峯議員も認めている。疑惑が取り沙汰されだした今年の9月26日付けで「地方住所」の所在地を沖縄県から宮崎県に変更している。確かにクーポン券の使用を見ても羽田~宮崎の使用が多いのは事実である。バレたから届けを直したと勘ぐられても仕方ないだろう。

 実態のない沖縄県を登録して多額のクーポン券を支給されていたのが故意なのか過失なのかを断じることは難しい。しかしそれだけに本人の説明が必要である。

 疑惑を受けた政治家は院の政治倫理審査会(政倫審)に自ら申し出て弁明することができることになっている。この政倫審は実は昨年から注目されている。小沢一郎元代表が「政治とカネ」の問題で政倫審(この場合は衆議院の政倫審だが)に出席するかどうかが焦点になったからである。

 みんなの党を含め多くの野党は小沢氏の証人喚問を要求している。証人喚問は公開で実施され、偽証罪もある。一方、政倫審は原則非公開で、偽証罪もない。その点、政倫審の方がハードルが低い。そこで民主党も証人喚問は受け入れなくても、せめて政倫審での弁明には応じるかもしれないとして注目されていた。民主党の姿勢は揺れ動いたが、結局「小沢氏は起訴され司法の手続きの中にあるから」という理由で政倫審への出席さえ拒んでいる。

 横峯氏の場合は、刑事訴追はされていない。だが倫理を問われていることは間違いない。航空機クーポン券だけではない。秘書の勤務状況に関わる疑惑も週刊誌などで取り沙汰されている。“刑事訴追されたら駄目、今も駄目”というなら、いったいいつ政治倫理審査会が活用されるのか。まずは本人自らが政倫審での弁明を申し出て、誰にでも分かるようにしっかりと説明責任を果たすことを期待したい。

「歳費カット法案などを再提出」

2011.10.28

歳費カット法案などを再提出
 みんなの党は本日午前10時、参議院に国会議員歳費カット法案と国家公務員総人件費2割カット法案を提出した。前者の提出者は上野ひろし議員、後者の提出者は小野次郎議員である。

 同様の法案はみんなの党として過去に何度も提出している。国会議員歳費カット法案は5回目の提出、国家公務員総人件費2割カット法案は3回目の提出となる。

 国会は会期制をとっているので、会期内に成立しなかった法案は原則として廃案となる(継続審査という特別な手続きをとると次国会に持ち越されるが・・)。みんなの党は、これまでにもこうした法案を提出してきたのだが、他党が審議入りの意欲を見せないため、会期が終わると審議未了廃案というのを繰り返してきた。廃案になっても次国会が始まれば、同内容のものを再提出することは可能なので、回数が積み上がってきたわけである


以下、これらの法案の提出の記録を掲載する。

*国会議員歳費カット法案
           提出日          提出者
第175回国会 平成22年7月30日  水野賢一
第176回国会 平成22年11月12日 松田公太
第177回国会 平成23年3月11日  上野ひろし
第178回国会 平成23年9月26日  上野ひろし
第179回国会 平成23年10月28日 上野ひろし
 cf.法案の正式な名称は「国会議員の歳費、旅費及び手当等
に関する法律の一部を改正する法律案」

*国家公務員総人件費2割カット法案
           提出日          提出者
第177回国会 平成23年8月5日   小野次郎
第178回国会 平成23年9月27日  小野次郎
第179回国会 平成23年10月28日 小野次郎

 cf.法案の正式な名称は「国家公務員の給与の減額措置等に
よる国家公務員の人件費の総額の削減に関する法律案」
提出→廃案→再提出を繰り返すのは一見無駄な努力のようだが、「雨垂れ石を穿つ」という言葉もある。一歩でも前進すべく何度でも繰り返していきたい。

 まして国会議員の歳費は、今月から事実上、月額50万円アップになっている。国会議員の中にも“身を削る覚悟”を口にする人は多い。しかし実際にはこのように逆行することが起きている。それだけに私たちが「歳費3割、ボーナス5割カット」の法案をあらためて提出した意味はあると思う


 なお今月から50万円アップすることの仕組みについては9月28日のブログに詳しく述べているので、そちらを参照されたい。

「環境委員会で質問予定と渡辺代表の千葉県入り」

2011.10.27

環境委員会で質問予定と渡辺代表の千葉県入り

 本日、参議院環境委員会で質問する。時間は午後1時半から30分の予定である。細野豪志大臣が就任してから最初の質疑となる。
 取り上げる中心議題は、以下のようなことにする予定だ。

*環境税

環境税の発想には賛成するが、なぜ特定財源でなければならないのか。これは税金の無駄使いの温床になってしまうではないかという観点からの質問。

*各企業の電気使用量データの開示

経済産業省が保有している各企業の電気使用量のデータを開示すべきではないか。再生可能エネルギーの固定価格買取法の審議の時に海江田経済産業大臣(当時)が公開を約束したのに、それが実現していないのはおかしいではないか。データがないと再生可能エネルギー問題などでまともな議論さえできないではないかという観点からの質問。

 いずれも長期間にわたって私が取り組んでいるテーマでもあるのでしっかりとした質疑を行ないたい。
 なお本日、袖ヶ浦市長選の応援のため渡辺喜美代表が千葉県袖ヶ浦市に入り街頭演説をする。午後3時頃から長浦駅南口の予定である。一人でも多くの方々に足を運んでもらい、耳を傾けていただければ幸いである。

 そう書きながら、私自身は上記の環境委員会と、午後4時から議院運営委員会理事会に出席しなければならないので本日、袖ヶ浦市に入れないことをお詫び申し上げたい。

「横峯良郎議員の航空機クーポン券(その1)」

2011.10.25

横峯良郎議員の航空機クーポン券(その1)
    ~これは税金の詐取ではないのか?~

 国会議員にはJR無料パスが与えられる。同様に航空機を利用しなければならない議員には無料の航空機クーポン券も与えられている。この制度を悪用して税金を詐取した疑いが深まっている。具体名をいえば横峯良郎参議院議員(民主党)である。
 まず無料航空券の仕組みを説明しておこう。国会議員の無料パスというのは以下の3種類から1つを選ぶことになっている。

①JR無料パスのみ
②航空機クーポン券(月4往復)のみ
③航空機クーポン券(月3往復)+JR無料パス

 なんで国会議員にはそんな特権が許されるのかと思う人も多いだろう。ただ私は制度自体は一理あると思っている。国会議員は各選挙区から代表者として選ばれている。その地域の有権者の声を国政に反映するのも大きな役割である。その時に、東京選出の人はほとんど費用もかからずに選挙区と往復できるのに、鹿児島選出の人は往復するだけで多大な出費がかかるというのでは不公平である。金銭的負担のため議員が往復に躊躇して地域の声が国政に反映されにくくなっては元も子もない。だからこそ交通手段の費用負担の不公平をなくすことに意味はあると思う(もっとも、そのために文書通信交通滞在費が支給されているではないかという反論も十分道理があるとは思うが・・)。

 航空機クーポン券は、当然のことながら首都圏近郊選出の議員が貰うことはできない。例えば私は千葉県選出だがその場合は上の①のJRパスしか選択できない。参議院のルールでは選挙区選出の場合、西は愛知県・三重県・岐阜県・滋賀県までの人は航空券を選択できない。京都府・大阪府・奈良県の人から貰うことができるようになっている(東北地方ならば、福島県・宮城県まではJRパスのみ。岩手県・秋田県・山形県は航空機も選択可能)。

 選挙区選出の場合は分かりやすいが、参議院議員242名のうち96名は比例区選出である。この場合は、何県選出というわけではないので「地方住所」を自己申告することになる。ここでいう地方住所というのは“主たる生活又は活動の本拠地”とされている。この「地方住所」が京都府・大阪府・奈良県以遠の人だけが航空機クーポン券の選択権を持つ。

 そして横峯議員は沖縄県を「地方住所」として届け、上の③、つまり“航空機クーポン券(月3往復)+JR無料パス”を選んだ。
 問題は“3往復”といっても、制度上、その路線の3往復(つまり6回の搭乗)だけに限定されるわけではないことである。羽田空港と地方住所との3往復に見合う金額のクーポン券が支給されるので、実際には他の路線でも使えるのである。

 それだと「わざと遠距離で申告した方がたくさん使えて有利じゃないか」と思う人もいるだろう。実はその通りなのである。
羽田~那覇の3往復の料金で、羽田~伊丹ならば5往復半もできる。

 だからといって普通の人はそんなことはしない。それをやったのが横峯議員である。横峯議員は沖縄で申告していた。もちろん本当に沖縄に「主たる生活又は活動の本拠地」があり、その路線を頻繁に利用しているならば何の問題もない。

 ところが参議院議院運営委員会理事会メンバーで調べた結果、そうではない事実が判明した。羽田~那覇便はほとんど使っていないのである。これでは詐取ではないかと疑問を持たれるのも当然だろう。

 航空機無料パスは何も航空会社の好意でただ乗りさせてもらっているわけではない。その分の費用が国会から各航空会社に支払われている。そのために今年度予算に計上された額は、衆議院がその額、衆議院が4億4200万円、参議院が2億7700万円、合計7億円超である。もちろん原資は税金である。

 cf.JR各社に支払うための予算額は、今年度、衆議院が3億7600万円、参議院が1億7000万円となっている。
 一番遠い沖縄で届けておいて、その路線は利用せずに、別の場所にばかり行っていたとすれば、これは税金の詐取と言われても仕方ない。制度の悪用であり、もっとはっきり言えば犯罪行為の疑いが濃厚である。もし他の場所に行くのがゴルフ目的だったとすればなおさらである(ゴルフ目的だったかどうかは断定できないので、憶測であることをお断りしておく)。

 横峯議員の航空機クーポン券の使い方などについては、またあらためてブログに掲載する予定である。

「袖ケ浦市長選での推薦」

2011.10.22

袖ケ浦市長選での推薦
      ~渡辺薫氏を単独推薦~

 明日から千葉県袖ケ浦市で市長選が始まり今月30日が投票日になります。
みんなの党は新人の渡辺薫(62歳)氏を推薦しました。

渡辺氏は他党からの公認・推薦は貰わないとのことなのでみんなの党のみによる単独推薦の形になりそうです。
 千葉県内の首長選での単独推薦は昨年7月の鎌ヶ谷市長選以来のことですが、渡辺氏の必勝のため力を尽くしていきたいと思っています。
 なお袖ケ浦市の市長選の他の候補予定者は現職の出口清、新人の大森正行の両氏の見込みです。

「臨時国会召集」

2011.10.20

臨時国会召集

 本日、臨時国会が召集された。昨年、参議院議員に当選してから1年あまりが過ぎたので、みんなの党の参議院議員の委員会所属も一部変わることとなった。私自身は引き続き議院運営委員会の理事と環境委員会の委員をつとめることになる。環境委員会では来週にも質問の機会があるので、実り多い質疑をしたいと思っている。

 さて議院運営委員会で今問題になっているのが、横峯良郎議員と平山誠議員(いずれも民主党会派所属)のことである。両議員は実体のない住所届けをして無料航空券を受け取っていたのではないか等の疑惑が指摘されている。

 こうした疑いのある議員はまずは自ら政治倫理審査会などの場で弁明を申し出るべきだろう。もっとも政治倫理審査会は原則非公開なので、公開の場が望ましいとも思うが・・。

 この問題は単なる過失ではない。税金を騙し取っていたのではないかという疑念を私は強く持っている。無料航空券の仕組みや事件の構図などについては次回のブログから詳しく述べてみたい。

「オーストラリア訪問(その2)」

2011.10.18

オーストラリア訪問(その2)
      ~小選挙区でも優先順位付き~

 各国の議員間で交流をするとよく選挙制度の話になる。自らの死命を制することだけにお互い関心が高い。それと同時に民主主義の根幹に関わる大切なことでもある。
 

 オーストラリアの場合、下院の定数は150。これはすべて小選挙区で選出される。上院の定数は76。こちらは州単位の比例代表制である。
 

下院は小選挙区といっても日本のものとはちょっと違う。一つの選挙区から一人だけが当選する点は確かに小選挙区制だが、投票用紙に一人の名前を書くというわけではない。ある選挙区で4人が立候補していたとすれば、投票用紙には4人の名前が印刷されており、そこに1位から4位までの順位をつける形で投票する。

 ある候補を“1位”とした人の数が最初から過半数に達していれば何の問題もなくその候補の当選が決まるが、そうでない場合に順位付けに意味が出てくる。

 この制度は優先順位付連記投票制と呼ばれるが、具体的なケースで説明した方が分かりやすいだろう。以下、オーストラリア議会内でもらった資料を参考にしながら述べてみる。

 ある小選挙区の有権者が9万人だったとする(ちなみに小選挙区当たりの有権者数の平均は9万4千人だという。日本は約35万人)。そして立候補したのがA、B、C、Dの4候補だとする。有権者は候補者たちに1~4位の順位を付けるが、過半数の45001人が、ある候補を“1位”とすればすんなりと決まる。
しかしそうでなく、“1位”とした票が、

 A候補 33000
 B候補 32000
 C候補 20000
 D候補  5000
だったとする。

 そうすると誰も過半数には達していないので、次の段階に進む。まず最下位のD候補は除外する。その時、D候補に投票した5000人が“2位”に選んだ人を残りのA~C候補に配分する。すると、

 A候補 33000+1000=34000
 B候補 32000+3000=35000
 C候補 20000+1000=21000
となる。

しかしこれでも誰も過半数に達していない。すると今度は最下位のC候補を除外する。今度はC候補の21000票の人たちが“3位”に誰を書いていたかを配分する。すると、
 A候補 33000+1000+9000=43000
 B候補 32000+3000+12000=47000
となる。

 これでB候補が過半数の45001票を超えた。こうして当選者はB候補と決まる。“1位”にした人はA候補の方が多かったが、“2位”以下の順位付けによって逆転することもありえるわけである。

 誰も過半数に達しない時は上位2名の決戦投票ということも理論上はありえるが、現実には候補者の負担も大きくなり、国民も二度も投票所に足を運ばなければならなくなる。そこで最初から順位を付けて、過半数に達するまでそれを配分するという仕組みになっているようである。

 日本の総選挙でも300小選挙区のうち50%超の票を獲得して当選した選挙区というのは、2009年総選挙では213選挙区だった。共産党がほとんどの選挙区に擁立した2005年総選挙では179選挙区にすぎない。もし優先順位付連記投票制ならば最終結果がどうなっていたのかというのは興味深い問題である。

 このような選挙制度の下では、選挙キャンペーンの仕方も変わってくるようだ。あえて日本に当てはめて言うと、自民党候補ならば「1位はもちろん自民党にしてください。2位はみんなの党でも共産党でも良いけど、民主党候補にだけは最下位を付けてください」という運動になるらしい。要は主要なライバル候補を低いランク付けにしてもらわないと困るわけである。

 選挙制度に絶対のものはない。一長一短である。そうした中でもみんなの党は比例代表を軸にした制度こそ望ましいと考えている。ただ制度設計の時には諸外国の例もいろいろ研究すべきだろう。オーストラリアの例も興味深いものであり、今後の選挙制度議論の中で参考にしていきたい。

ページ上部へ