台湾は集団的自衛権の対象になるのか~政府の答弁書について~
2015.07.22
国会の審議というのは本会議や委員会での論戦だけではない。文書によって政府に対し質問する質問主意書という制度もある。私は7月10日に集団的自衛権に関して質問主意書を提出した。政府提出法案では“我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生”して武力行使の新3要件が満たされれば集団的自衛権の行使も可能としている。しかし「密接な関係にある他国」とはどの国かは具体的に明示していない。政府によれば、米国に限っているわけではないとも説明している。そこで私は質問主意書を使って、密接な関係にある「他国」というのは国交を結んでいる国に限られるのかという質問をした。より具体的に言えば、国交こそ無いが密接な関係にある台湾などは含まれるのかという趣旨の質問である。
この質問主意書への政府の答弁書が昨日来た。これによると「我が国が外交関係を有していない国も含まれ得る」としている。そのことが下記の記事になっている。
時事通信社 「国交なくても自衛権行使=政府答弁書」
ところでこの政府の答弁書だが、本質的なところで回答を逃げている。つまり台湾はどうなのだという私の質問には直接答えていない。答弁書は“我が国が外交関係を有していない国も含まれ得るが”の後に次のように続けている。“お尋ねの「国とみなされている地域」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。”
私の質問は文書で明確に“国交はないが実態として国とみなされている地域(例えば台湾やパレスチナ自治政府)を含むのか”と台湾などを具体的に例示しながら聞いているのだから、意味するところは明らかなのである。それを“意味するところが必ずしも明らかではない”などというのは逃げ口上以外の何物でもない。対中関係も微妙な中で、余計なことは答えたくないという気持ちは分かるが、重要な問題を曖昧にしたまま言を左右にすることは許されない。
安全保障法制については議論が尽くされていない点が他にもたくさんある。来週にも始まると見込まれる参議院での質疑で政府提出法案の問題点や弱点を厳しく追及していきたい。
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