けんいちブログ

北総・公団線の運賃問題(2)

2000.05.25

「北総・公団線の運賃問題(2)」

◆「これ以上の運賃値上げはしない」との約束を取り付けた水野賢一。今度は値下げに向けて・・・。
値段の高さでは日本でも有数の北総・公団線の運賃をいかに引き下げるかは千葉ニュータウンの住民の悲願となっている。水野賢一代議士は地域からの強い要望を受けて、四月二十日にこの問題を国会の質問で取り上げ、運輸省から「これ以上の値上げは長期間いたしません」との約束を取り付けた。しかし水野議員は「あくまでもこれは第一歩。値下げこそが目標」と今後もこの問題に取り組んでいくことを誓っている。(4月20日の国会論戦の全文)

Q.北総・公団線の運賃問題を国会で取り上げた理由をお聞かせください。
A.運賃の高さが尋常でないからです。他の鉄道に比べ二~三割高いというならまだしも二~三倍も高い。だからこそ地域住民が行った値下げを求める署名運動も短期間に六万三千もの署名が集まったのでしょう。私もなぜ高いのかを色々と調べてみましたが、そうすると現在の国の取り組みに多くの問題点があることが分かってきました。そこで国会で取り上げるべきだと思ったのです。

Q.運輸省の答弁をどう評価しますか。
A. 十分満足がいくとは言えませんが大きな前進はあったと思います。これまでの運輸省は「運賃が高いのはやむをえない」という姿勢でしたが、今回は「これ以上の値上げは長期間しない」「仮に値上げの申請があっても十分慎重に対応したい」との答弁をしたからです。ただあくまでもこれは第一歩です。値下げこそが目標ということを忘れてはいけないと思います。

Q.鉄道会社の経営状態が悪いので高い運賃もやむをえないという声も依然 として根強いようですが。
A.確かに経営状態が悪いのは事実です。開業以来、現在にいたるまで毎年赤字を重ねており、累積赤字が四百三十四億円にも達している状態です。しかし高い運賃のために利用者が伸びずに、かえって経営状態を悪くしているという面もあります。こうした悪循環を断ち切るためにも値下げが求められています。

Q.いくら会社の経営が苦しいといってもニュータウンの居住者にとっては 唯一の鉄道です。経営破綻しないような支援策はないのでしょうか。
A.実はこれまで三次にわたって住宅都市整備公団(現・都市基盤整備公団)、千葉県、京成電鉄が融資・出資という形で支援をしてきました。ところが昨年度でこの支援が終わってしまったんです。まったくおかしな話だと思いますね。まず早急に第四次支援策をまとめるように関係者を促しています。

Q.経営難の直接の原因は高い金利負担だと聞いていますが、どういうことですか。
A.この鉄道は北総開発鉄道株式会社が運行していますが、建設をしたのは鉄道建設公団という特殊法人です。鉄建公団がつくった線路などを北総鉄道が買った形になります。その代金を分割払いしていますが、その金利が昔の契約ですから四・四七%と高いままなわけです。

Q.それでこの金を期限よりも前に繰り上げ償還して、現在の安い金利に借り換えたらどうかと提案しているわけですね。
A.おっしゃる通りです。元本が大きい額ですから、例えば二%の金利に借り換えられたら、それだけで支払い金利は年に約三十億円も減ります。そう簡単に計算通りにはいかないでしょうが実現すれば会社の経営はずっと楽になるはずです。

Q.なぜその案が今のところ実現しないのですか。
A.最大の理由は大蔵省の反対でしょう。借り換えをすると鉄道建設公団が損をする、公団の資金はもともと財投資金だから、結局財投に穴があくから駄目と言っています。その論法がまったく間違っているとはいえませんが、高額運賃に苦しむ住民をあまりにも無視した理屈ですよ。現に財投資金を原資とした他の公団では借り換えを認めた前例はあるんですから。 まあ、抵抗はあってもそれを打ち破って、国民の声を政治に反映させることこそ政治家の本来の役割ですから、今後も知恵と力を注いでいきたいと思います。

Q.他にも値下げのために国がやるべきことがいろいろとあるんじゃないかと思います。そのへんもじっくりと伺いたいところですけれど紙面の都 合もありますから、また次回によろしくお願いします。
A.そうですね。もし機会があれば、鉄道に対しての国の補助がもはや時代遅れになってしまっていることなどについて、私の考えを述べられればと思います。よろしくお願いします。

◆解説
●北総開発鉄道と国会審議 あまりにも高い北総開発鉄道の運賃問題は水野氏が取り上げる以前にも国会で審議されたことがある。誰が見てもやはり運賃が高いと思うからである。
平成11年5月 斉藤鉄夫氏(公明)衆議院建設委員会にて質問
平成11年7月 実川幸夫氏(自民)衆議院運輸委員会にて質問
●北総開発鉄道の経営状況(平成10年度)
営業収入  109億8378万円
営業費用  74億8688万円
営業利益  34億9689万円
経常損失  ▲24億3457万円
営業利益を出しているにもかかわらず大幅な経常損失になっているのは鉄道建設公団などへの支払い利息が大きいため
●鉄道運賃の認可 鉄道運賃を値下げする場合、鉄道事業者が運輸大臣に申請をする。申請を受けた運輸大臣は運輸審議会に諮問して認可するという流れになる。 ただし値下げの場合は新たに認可を受ける必要はない。
●北総開発鉄道株式会社の概要
設立年月日:昭和47年5月10日
資本金:249億円
京成電鉄:124億5千万円(50.0%)
千葉県:55億5千万円(22.3%)
都市基盤整備公団:43億0千万円(17.2%)
金融機関:15億8千万円(6.4%)
地方公共団体:7億5千万円(3.0%)
輸送人員は一日平均8万2千人
従業員は283名(平成11年3月末)
●北総鉄道への第3次支援の内容
期間は平成7年度から11年度まで
京成電鉄:出資57億円、融資81億円
千葉県:出資15.5億円、融資53億円
住都公団:出資15.5億円、融資53億円
鉄建公団:元本償還の支払い猶予

◆水野賢一のひとりごと
これも衆議院選直前に機関紙に載せた文章です。インタビューの形式をとっていますが、実際には全部自分で書きました(バラしちゃった!)。 だから本当は自問自答というべきかもしれません。そのくらいの技巧はご容赦のほどを。 ところで文中で経営の厳しい北総線への支援策について次のように書いています。「ところが昨年度でこの支援が終わってしまったんです。まったくおかしな話だと思いますね。まず早急に第四次支援策をまとめるように関係者を促しています」。 その後、紆余曲折はありましたが、結局、支援措置は復活しました。 今年の3月に支援策がまとまり現在、第四次支援が行われています。これによって恐らく今後10年は値上げはしなくてもすむと思います。その点では私が昨年、国会質問で運輸省から取り付けた「今後、長期間値上げはしない」という約束は守られるだろうという感触を持ってます。ただ「値上げをしない」というのはあくまでも第一歩です。今後とも値下げという最終目標に向けてさらに努力をしていきたいと考えています。

この運賃問題については2000年5月18日、6月1日の項もご覧ください。

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