けんいちブログ

千葉県にも広がる大気汚染

2001.07.02

「千葉県にも広がる大気汚染」

◆健康を損なう大気汚染について分かりやすく解説。解決策も明確に打ち 出した大気汚染問題の決定版。

◆空気を守る必要性
空気や水というのは当たり前のものと考えられています。特に日本は水道水をそのまま飲める珍しい国とされ、「日本人は水と安全はタダだと思っている」と評されたこともあります。しかし最近では水に関しては事情が変わってきました。ペットボトル入りのミネラルウォーターが普及するようになりました。つまり金を出してでもきれいで美味しい水を飲みたいという人が多くなってきたのです。しかし空気の場合はそういうわけにはいきません。金を出してきれいな空気を買うということはできないのです。人は住んでいる場所の空気を吸わざるをえません。個々人の努力では自衛できない以上、国や自治体が責任を持ってきれいな空気を守る必要があります。ところが実際の大気汚染はますます深刻になっています。裏を返せば、汚染を防止するために政治の果たすべき役割もますます大きくなっているのです。

◆汚染の主役は自動車排ガスに
大気汚染の歴史の中で最初に問題になったのは石炭から出るススでした。初めての大気汚染立法が昭和三十七年の煤煙規制法だったのはその表れです。その後、汚染の元凶は石炭から石油に変わっていきます。石油化学コンビナートから排出される亜硫酸ガスが引き起こした四日市ぜんそくはその典型でした。工場への規制が厳しくなっていくと、かわって前面に出てきたのが自動車排ガスによる大気汚染です。 そしてこれは今に至るも改善されていません。それどころか汚い排ガス を撒き散らすデイーゼル車の普及と共にさらに被害が甚大になっているくらいです。  自動車の排気ガスには窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの有害物質が含まれています。特にデイーゼル車の排ガスには多く含まれています。これらの物質は肺がん、ぜんそく、気管支炎などの呼吸器系疾患を引き起こすことが知られています。また花粉症の原因にもなると言われています。大昔からスギの木はあるのに、近年になって花粉症が激増している背景には都市部を中心とした大気汚染があると指摘する学者も多いのです。

◆深刻な千葉県の大気汚染
こうした汚染に直面して東京都では石原都知事が先頭に立って「デイーゼル車No作戦」を展開しはじめました。ただ大気汚染はなにも東京都だけの現象ではありません。千葉県の大気の状況も深刻です。国は汚染物質に対して環境基準を定めています。環境基準とは健康を保護するために望ましい基準のことで、SPM(浮遊粒子状物質)の場合は1立方メトールあたり0.1mg以下とされています。最新の調査では全国1529の測定所のうち90.1%ではこの基準を満たしています。しかし私が選挙区としている千葉県九区内の六か所の測定所では、すべて基準を達成していません。さらに衝撃的な報告もあります。国立環境研究所などの研究グループが肺がんの原因を調査した結果です。もちろん一位は喫煙ですが、デイーゼル微粒子も大きな原因であることが分かりました。特に肺がんによる死者のうちデイーゼル微粒子が原因と見られる人の割合は、千葉市が全国でトップだったのです。

◆これまでの対策とは
こうした状況に対し、今すぐ有効な対策をとらねばなりません。先に述べた通りにきれいな大気を守ることは国や自治体の責任だからです。実を言うと国もまったく手をこまねいてきたわけではありません。平成四年には自動車NOx法という法律が制定され、今年の通常国会で改正もされました。また平成六年からはデイ-ゼル排ガスに含まれるPM(粒子状物質)の規制が始まりました。 最新のデイーゼル車から出るPMの量は規制が始まる前の3分の1になっています。つまり一台一台の自動車はかなりクリーンになってきています。また政府は天然ガス車などの低公害車普及のため税制をはじめさまざまな助成措置を設けています。しかしそれでも大気の状況が厳しいのが実態なのです。

◆いますぐ抜本対策を
ではどうすれば良いのでしょうか。これまで積み重ねてきた政策をさらに推進することも必要でしょう。例えばPMの規制値は厳しくなったとはいえ、ヨーロッパに比べるとまだ二倍以上も緩いのです。国民の健康を守るために厳しくするのは当然です。低公害車の促進も積極的にやるべきです。小泉首相も三年以内に政府公用車をすべて低公害車に切り替える方針を打ち出しています。

こうした政策に加えて、私は新たに自動車メーカーに生産規制をかけることが必要だと思っています。一台一台の車からの排ガスが以前に比べてクリーンになっているにもかかわらず、それが功を奏さないのは、車の台数が大幅に増えてしまったからです。 この30年で全国の車は四倍以上に増え、近年は特にデイ-ゼル車の増加が目立ちます。これではせっかくの排ガス規制の効果も相殺されてしまいます。だからこそ低公害車以外の自動車生産には一定の規制をかけることが必要なのです。むしろこれなくしては抜本対策とは言えないと思います。現にアメリカ・カリフォルニア州では同様の規制を始めています。

これには自動車メーカーは反対するでしょう。彼らに痛みが伴うからです。しかし痛みを伴っても断行しなければならない政策もあります。自動車会社の利益よりも国民の健康の方が優先されるべきなのですから。

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