電力使用量のデータを隠すな(その1)
2011.10.30
電力使用量のデータを隠すな(その1)
~経済産業省は全面開示せよ~
10月27日の参議院環境委員会で質疑に立った。ここで追及した大きな柱が「経済産業省は各企業の電力使用量のデータを開示しろ」ということである。実は経済産業省は、どの会社のどの事業所が年間どれだけの電気を使ったかというデータを持っている。省エネ法という法律によって一定以上のエネルギーを使った事業所には、その使用量を報告する義務がかかっているからである。
問題はそのデータが十分に開示されていないことである。そこで開示せよと迫ったわけである。どのような答弁だったかを記す前に、なぜこのデータを公開すべきなのかについて触れておく。
今年8月に再生可能エネルギー買取り法が成立した。党内外の退陣圧力で瀬戸際に追い詰められていた菅直人首相が「退陣させたいならこの法案を成立させろ」と条件に挙げていたあの法律である。
この法律は政府が提出したが、国会審議の中で修正が加えられた。自民党が「この法律が成立すると電気料金が上がる。上がると電気を多量に使う会社は困る。だから多量に使う会社の電気代には配慮すべきだ」と主張したためである。
そこで「製造業で平均よりも8倍以上電気を使う企業の電気代は大幅に割り引く」ということになった。私は再生可能エネルギーの買取り制度には賛成だが、この修正は法案の改悪だと考えており、このブログでも7月28日に「後ろ向き修正」だと強く批判した。
cf.この法律については本ブログの7月28日、8月2日、8月30日の項でも触れている。
電気を多量に使う業界というのは電炉、化学、鋳造といった業界である。私はこうした特定業界を優遇する修正は不要だと考えるが、百歩譲って一定の配慮は必要だとしても「何で8倍なんだ」という疑問は出てくる。5倍でも10倍でもなく、なんで8倍で線を引くのかその根拠がさっぱり分からない。
続いて出てくる懸念は「いま平均よりも7倍使っている会社は、わざと電気を浪費して8倍まで使って大幅な軽減の適用を受けようとするのではないか」ということである。一方で国民に節電を呼びかけながら、一方で電力浪費につながる施策を許すわけにはいかない。
8倍が妥当なのかどうかを議論するためには現状のデータが必要である。例えば平均の7倍使用している会社がたくさんあるならば上の懸念はかなり深刻になる。逆にほとんどないならば杞憂に終わるかもしれない。そこで法案審議の時に私は次のように主張した。「こうした疑問や懸念を払拭するためには、どの企業がどれだけの電気を使っているのかのデータがないと議論できないではないか。少なくとも経済産業省が現在持っている電力使用量のデータは公開すべきではないか」。
それに対し海江田万里経済産業大臣(当時)は8月25日の委員会で「議論を深めるために資するものであれば、それはできるだけ出すようにということを役所に対して申し上げましたし、そういう姿勢で臨むということは今私から委員に対してお答えを申し上げます」と答弁した。
その言や良しである。ところが驚くことにそれから2か月経った今でも新たな公開はゼロである。これは何も新たに調査するという話ではない。それならばある程度時間がかかっても仕方がないだろう。しかしすでに持っている資料を公開するだけのことである。やろうと思えばすぐにでもできるはずだが、まったく前進がない。
そこで先日の環境委員会であらためて早期公開を迫った。その追及内容や、現在何社のデータが非公開になっているかなどについては、次回以降のブログで報告させていただきたい。
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