「こんなところにも東電優遇政策が・・」
2011.08.03
「こんなところにも東電優遇政策が・・」
一般に焦点があたらないような細かな政策の中に東京電力優遇策がちりばめられていることは7月26日などのブログにも書いた。今日はそうした事例をもう一つ記してみたい。
福島第一原発事故以来、電力不足が深刻になり、ついに7月1日からは関東・東北地方で電力使用制限令が発動されている。大口需要家はピーク時の電力使用量を15%削減せよ、というものである。強制力がある形で制限令が発動されるのは1974年の第一次石油危機以来のことである。
この電力使用制限令だが、対象となっているのは500kw以上の大口需要家である。その数は、東京電力管内で14800、東北電力管内で3700事業所となる。
cf.数は会社数ではなく事業所数。つまり鉄鋼業でいえば新日鉄とかJFEという会社単位でなく製鉄所単位の数になる。
これらの事業所がすべて東京電力や東北電力から電気を購入しているわけではない。7月25日のブログにも書いたが、電力自由化は遅々として進んでいないとはいえ、それでも一応大口需要家分は自由化対象なので、新規参入事業者(PPS)などから購入することも可能である。
そして経済産業省によると購入先は以下のようになっている。
電力会社から購入 PPSから購入 合計
東京電力管内 13200 1500 14800
東北電力管内 3600 100 3700
cf.電力会社から購入というのはそれぞれ東京電力、東北電力から購入したものを指す。
おかしいのは新規参入事業者から電気を買っている事業所まで15%削減の対象になっていることである。東京電力は今回の電力不足の原因者である。東北電力は事故を起こしたわけではないが原発を増設していた点で、いったん事が起きた時には高リスクの電気だったことには違いない。それだけにそうした電気の使用者が制限を受けるのはやむを得ないだろう。
だが新規参入事業者は事情が異なる。事故にも関係なければ、原発を使っていたわけでもない。原発と関係ない電気を購入している事業所まで同列に15%削減というのはどう考えてもおかしい。つまり「東電優遇、新規参入者いじめ」である。
これは経済産業省の抜きがたい体質と言わざるをえない。政官業の癒着の表れである。より具体的に言えば、族議員(自民党にも民主党にもいる)と経済産業省と既存大企業の癒着である。私たちみんなの党はそれを打破するために全力で戦っていく。
さて、こうした東電優遇策に対しては「おかしいではないか」という指摘が出るのも当然である。経済産業省側もそうした声を予想していたようである。わざわざホームページ上で“よくある質問について(Q&A)”として「なぜPPSの需要家にも使用制限が課せられるのでしょうか」という質問とそれに対する回答をのせている。
その回答の中では「PPSは、東北電力、東京電力の送配電線を利用して電気を供給しています」ということを理由としている。よく分からない理屈である。それでも、一つだけ分かることがある。現在のように発電と送配電を一体としている限り、こうした屁理屈の口実に使われるということである。だからこそ発送電の分離が必要なのである。みんなの党の掲げる発送電分離の主張をますます強く打ち出していかなければならない。
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