前号にも書いた通り水俣病は1956年に公式確認されました。水俣病の原因はチッソ(当時の名前は新日本窒素肥料)という会社がアセトアルデヒドを製造する時に、副産物として発生する有害なメチル水銀を水俣湾に流していたことです。
しかし最初のうちは原因がはっきりとしないので、色々な説がありました。
・風土病説
・旧軍が水俣湾に投棄した爆薬説
・アミン中毒説
といった諸説です。
とはいえ1959年頃にはいくつかの研究によって、チッソの排水が原因ではないかということが、かなり有力視されるようにはなってきました。
しかし「科学的に完全には証明されていない」ということで、原因の断定には至りませんでした。そしてチッソ社は排水を流し続け、被害はさらに拡大することになります。
国がチッソの排水が原因だと断定したのが1968年です。すでにチッソも排水を流すのをやめていました。
「誰がどう見ても原因はこれに間違いない」というところまで完全な科学的な証明を待っていたのでは対策が遅れてしまいます。
同じことは現在の環境問題でも言えます。地球温暖化はその代表です。
今でも「地球は温暖化していない」とか「温暖化の原因は二酸化炭素ではない」という人がいます。私の印象ではその多くはトンデモ学者ですが、様々な説があること自体は構わないでしょう。そういう議論を封殺する必要もありません。
現に温暖化への警鐘を鳴らし続けている国際的な科学者の集まりIPCCも温暖化の原因を二酸化炭素だと断定しているわけではありません。「可能性がかなり高い」と言っているだけです。
だから温暖化の原因について様々な見解があっても何ら不思議はありません。しかしだからといって、二酸化炭素排出削減の努力を怠ってよいことにはなりません。
水俣病の教訓は、「100%確実な証明を待っていては遅い」ということだからです。可能性がかなり高い以上、手遅れにならないような対策に早めに踏み出すべきです。これが「予防原則」です。早め早めに治療しないと病気が重篤になるのと同じことです。
「温暖化していない」とか「原因は二酸化炭素ではない」ということを科学的に議論するのは結構ですが、それが対策の手抜きの口実に使われないようにも警戒する必要があります。
一方で国政に返り咲けば、よく調べてみたいこともあります(当落にかかわらず調べたいとは思っていますが・・)。
そうした説を唱える学者たちと産業界の関係です。
世の中には「タバコは健康に悪くない」という説もあります。異端の説ではありますが、そういう学者がいるのも事実です。
米国などではそういう学者にタバコ業界が多額の資金提供していたことが問題になったと聞いた覚えがあります。
産業界が自らの手抜きにとって好都合な説を唱える学者を援助しているとは思いたくありません。しかし「まさか」ということもあります。
変な形での産学の癒着が国や地球の方向を誤らせないためにも調査の必要があると思います。
10日ほど前のことになりますが、5月1日に鳩山首相が水俣市で行なわれた水俣病犠牲者慰霊式に参加し、国の責任について謝罪しました。
1956年5月1日に、水俣病が「公式確認」されたので、毎年この日に犠牲者慰霊式が実施されています。今年は54周年ということになります。
実は1956年以前にも水俣市周辺では猫の狂死や人間の被害もありましたが、この年の5月1日になって病院から保健所に「原因不明の奇病が発生している」という報告があったので、同日を公式確認の日としているわけです。
昨年には水俣病被害者救済法が自民党・公明党・民主党などの賛成で成立をしました。
法案作りの実務で一番中心になったのが地元熊本県選出の園田博之代議士(当時は自民党、現在はたちあがれ日本)でした。他党との交渉なども一手に引き受けて、法律の生みの親と言って差しつかえないでしょう。
とはいえ最終的にこの救済法は衆議院環境委員長提出という形で国会に提出され成立しました。その時の委員長は私。ですから私が提出者というわけです。
提出者でありながら、こう言うのも変ですが、私は当初この法案に対して疑問を持っていました。被害者救済にはもちろん賛成です。
ただ法案は被害者救済に加えて、加害企業であるチッソを分社化という形で救済する側面も持っていたからです。
加害企業であるチッソは多額の補償によって債務超過に陥っています。法案はその負担を軽くしてやるという面もあるわけです。
それだけに「汚染者負担の原則からみて正しいのか」「加害企業はあくまでも徹底的に追及すべきだろう」という思いも強くありました。
最終的には、「被害者の救済につながるならばやむをえないか」と総合的に判断して賛成しましたが、悩ましい問題だったのは事実でした。
さて水俣病の教訓は今なお重要なものを多く含んでいると思います。その点については次回で。
参議院の特徴の一つは任期が長いということです。「任期6年・解散なし」というのが参議院です。一方、衆議院は「任期4年・解散あり」ですが、実際には3年前後で解散することが多いので参議院議員の任期の方が実質2倍ということになります。
それだけに参議院議員(候補者も)はよくこう言います。「6年という長い任期があるので目先の選挙や利害にとらわれずに長期的な視野を持って政策を実現します」。
それが本当に実行されていれば理想的です。しかし現実にはそれと程遠い参議院議員も多く見てきました。「6年間選挙がないからじっくり課題に取り組む」というのではなく「6年間選挙がないから怠惰になる」という人もいます。選挙の洗礼を経ないですむということは国民の声に鈍感になりがちという悪い面もあります。
さて議員の任期がどれくらいが適当なのかは難しいところです。アメリカは下院は2年・上院は6年でいずれも解散はありません。イギリス下院は5年で解散があります。韓国(一院制)は4年で解散なしです。さすがに2年は短すぎるという気もしますが、国情によって様々なのでしょう。
ともあれ参議院選挙で一票を行使する時には、怠惰に陥らない人、国民の声に敏感に反応できる人を選ばないと後悔のもとになります。なにしろ一度選出すれば6年間変えられないのですから。
「みんなの党」の渡辺喜美代表は夏の参議院選挙に47人の候補者を擁立したいと言っています。47というのは全国の都道府県の数です。
参議院の選挙区は都道府県単位なのでどの県にも一人は立てたいということです。一人区など現実に擁立しがたいところでも最低でもその県ゆかりの比例候補を立てれば47人になるというわけです。
3月頃は「20人以上」と言っていましたから大幅な上方修正です。それだけ「みんなの党」への期待が高まっていることの表われだと思います。
さて47人といえば忠臣蔵です。赤穂義士・四十七士の数でもあります。官僚統制や中央集権に切り込み、討ち入る数としてはふさわしいといえます。
渡辺代表は言っています。「四十七士だと討ち入った後は切腹か、と言われるがその覚悟でやる。そうすればもしかすると天野屋利兵衛のような人がサポートしてくれるかもしれない」。
天野屋利兵衛は四十七士を支援したとされる義侠心あふれる商人で歌舞伎では「天野屋利兵衛は男でござる」の名台詞で有名です。
忠臣蔵の討ち入りは元禄15年12月14日。雪の日でした。「みんなの党」の討ち入り(選挙)は7月11日と見られています。雪が降ることはありえません。
ただ共通点は討ち入りが延期されることもある点です。大石内蔵助は当初12月5日の討ち入りを考えていましたが、14日に延期されました。
参議院選も国会日程によっては7月25日への延期の可能性もあります(理論上は8月24日までありえる。なお投票日が慣例通り日曜日だとすれば理論上一番遅いのは8月22日となる)。
忠臣蔵の討ち入りは延期されても成功しました。私たちの挑戦も延期されようがされまいが成功させるべく力を尽くします。
子供の時の記憶というのは何歳くらいの頃までさかのぼれるのでしょうか。三島由紀夫は『仮面の告白』で産湯に浸かった記憶があると書いていますが、そんな超人的なことは私には縁遠い話です(まあ『仮面の告白』は自伝的小説とはいえ小説ですからどこまで本当か分かりませんが)。
昭和41年生まれの私にとっての最初の記憶は大阪万博に行ったことです。大阪万博は昭和45年ですから4歳頃のことです。といっても「人がたくさんいた」くらいの断片的な記憶しかなく、万博の象徴だった岡本太郎「太陽の塔」は覚えているような覚えていないような・・。
いま上海で国際博覧会が開催されています。2008年の北京五輪に続き、台頭する中国の象徴的なイベントになっています。中国のGDPは今年にも日本を抜いて世界第2位になるのは確実とされています。バブル景気が崩壊した1990年時点では日本の8分の1だったことを考えるとその急成長ぶりが分かります。
問題は経済力だけでなく軍事力まで急成長しているという点です。いたずらに敵視する必要はありませんが安全保障という観点から警戒感を持つことは大切です。
それにつけても思い起こすのが昨年12月の小沢一郎幹事長率いる600名を超す大規模訪中団です。「友好、友好」と唱えているだけで、あとは記念写真ばかり取っている場合ではないと思うのですが・・。
国会質問には本会議での質問と委員会での質問があります(国会法には「質問」と「質疑」を別のものとして書いていますが、話がややこしくなるのでここでは「質問」で統一します)。
本会議の質問は言いっぱなし、答えっぱなしなのでやや演説調になりがちなのに対し、委員会は一問一答ですから鋭い追及も可能です。とりわけNHKの国会中継がされる時の予算委員会で質問することは国会議員にとっての晴舞台といえます。
一方であまり知られていませんが国会議員は書面で質問をすることもできます。これが「質問主意書」です。これを出すと政府は7日以内に書面で答弁しなければなりません。
国政に参加することができたならばこうした質問主意書も大いに活用しながら政府の見解を正していこうと思います。また提出した質問主意書やその答弁についてはホームページ上に公開していくつもりです。
「税金の無駄遣いをなくす」。これは私にとって最重要課題の一つです。もっとも無駄遣いをなくすというのはどの政党もどの候補者も口では言います。まさか「無駄遣いすべきです」などという政党や候補者がいるはずがありません。
ですから口で無駄撲滅を言うかどうかにそれほど意味があるとは思いません。実際に実行するだけの専門知識や覚悟があるかどうかが問題です。
さて民主党ご自慢の事業仕分けについてです。これについては私も一定の評価はしています。他党がやっていることであっても、けなすだけでなく評価すべき点は評価してもかまわないでしょう(一方で民主党が政治ショーとして利用している面があるのも事実ですが)。
ただこの事業仕分けでやっているのは個々別々の無駄の洗い出しです。確かに一つ一つの事業について無駄があるかどうかを精査することも重要ですが、無駄の温床となっている制度や構造に切り込むことも重要です。無駄の温床といえば何といっても特定財源や特別会計です。
だからこそ私自身もそこに切り込むために力を尽くし、最大の特定財源だった道路特定財源の廃止に至りました。今後ともこうした課題には力を尽くしていきます。
*道路特定財源の廃止についてはこのホームページの「賢一の主張」2009年6月、2008年2月などに詳しく述べています。ご参照ください。
普通、政党というのは選挙で自党の議席拡大を目指します。「みんなの党」もその例外ではありません。とりわけ来るべき参議院選である程度の議席を確保すればキャスチングボートを握れるからです。
そうすれば小党といえども私たちのアジェンダ(日本国と国民にとって良い政策だと考えています)を大政党に飲ませることも可能です。さらには政界再編によって今の二大政党による閉塞状況を打破することにもつながります。
ただ「みんなの党」が他の政党と違う点もあります。将来にわたって党勢拡張をし続けようという政党ではないのです。いま「みんなの党」は衆議院に5議席持っています。それを次の総選挙では30議席、その次は100議席、さらに次は200議席と増やしていって政権を取ろうという政党ではありません。
そんなことを狙っているのではなく政界再編の触媒・起爆剤になるための捨て石になろうとしている政党です。だから逆にいえば再編が起きずに10年後にまだ「みんなの党」という政党が存在し続けていれば、私たちの挑戦は失敗ということになるのかもしれません。
政界は一寸先は闇です。再編が起こるかどうかは断言はできません。ただ「みんなの党」は小さくとも覚悟を持った集団です。その心意気で動けば必ず政治を動かせると信じて行動していきます。
これまで衆議院選に5回立候補しましたが、小選挙区に立候補するのは一選挙区当たりだいたい3~5名くらいですから、相手候補というのは5回でのべ15人いました。
その中で、私よりも若い相手というのは今までいませんでした。自分の選挙区の中では、候補者中最年少だったわけです。
今回、参議院選への立候補を表明しましたが、同じ千葉選挙区で出馬表明している中で、民主党や共産党の方で私よりも若い人がいるので初めて年下の方とも戦うことになります。
表明済みの候補者の平均年齢は47歳なので、43歳の私(7月21日が誕生日なので投票日が遅れると44歳になる)はまだ平均よりは若い方です。
ともあれ人は若年だろうと老年だろうと日々必ず年をとっていきます。そしていずれの日か次の世代へと国や社会を引き渡していくわけです。その時に次の世代の人たちから「水野賢一は立派な仕事をしてくれたなあ、国や社会のために真摯に尽くしてくれたなあ」と言われるように働いていきたい、それが私の信条です。
普天間問題が迷走しています。火をつけたのは鳩山首相自身です。昨年の総選挙時に何の成算もないまま「国外、最低でも県外移設」と約束したからです。
選挙目当てにその場限りの甘いことを言って、後で取り繕うために右往左往するというのが民主党政権で何度も繰り返されている図式ですが、その典型例でしょう。
政権獲得後も皆に甘いことを言う体質は変わっていません。沖縄には「沖縄の思いを大切にし」と言い、米国には「トラスト・ミー」と言い、社民党にも配慮してという八方美人ぶりです。これでは問題が解決するわけがありません。
何かを為すということは何かを犠牲にする勇気を持つということです。政治では「税金は下げ、福祉は手厚くし、財政危機も解消すれば、景気も良くする。官僚にも喜ばれれば、労組にも歓迎されて、国民のためにもなる」などという都合のよい政策はありえないのです。そういうことを言う人は詐欺師か、結局何もしない人かどちらかです。
「みんなの党」は厳しいことであってもはっきりと主張します。苦い薬でも飲まなければいけない時もあるからです。例えばマニフェストに「公務員組合のヤミ協定、ヤミ専従などを根絶。違反者は即免職。刑事罰や個人賠償も導入」や「国家公務員の総人件費を3割以上カット」と唱っています。
必要な改革を推進する時は「断じて行なえば鬼神も之を避く」という気概で断行すべきだと思います。