「シンポジウムに行ったら菅首相が・・」
2011.08.02
「シンポジウムに行ったら菅首相が・・」
7月31日の日曜日、長野県茅野市で開催をされた「みんなのエネルギー・環境会議」という会に出席してきた。「みんなの・・」という名称がついているからといって「みんなの党」関係の会ではない。自然エネルギー普及促進についての第一人者で最近テレビなどでも引っ張りだこの飯田哲也(NPO法人・環境エネルギー政策研究所)氏らが発起人となって開催されたシンポジウムである。
飯田氏にはかねてから再生可能エネルギーについての様々な情報を教えてもらっており、先日はみんなの党の勉強会でもこの問題について講義してくれた。その飯田さんからのお誘いなので出席した。この茅野市での会議には、他にも旧知の平田仁子(気候ネットワーク)氏や澤昭裕(国際環境経済研究所)氏なども出席していたので、多彩な意見を聞くことができ、行くだけの甲斐があるものだった(もっとも澤さんとはかなり意見は違うが・・)。
また茅野市を含む長野4区を地盤とする現在落選中の後藤茂之前衆議院議員(自民党)も聴衆として参加していた。以前、私が衆議院議員だった時に本会議場で隣の席だったこともある。久しぶりに会ったが、元気そうでなりよりだった。
しかし一番驚いたのはサプライズゲストとして菅直人内閣総理大臣が来場したことである。菅首相が再生可能エネルギーの普及に最近情熱を傾けていることは知っている。それにしても東京から遠く離れたこうした会議にわざわざ足を運んだのは驚きである。現職国会議員の参加者は私と福島みずほ参議院議員(社民党党首)と他1~2名くらいだったので、内閣総理大臣自らの出席というのはまさにサプライズといえた。
総理は挨拶をしたあと1時間くらいはパネルディスカッションに耳を傾けていた。私もパネラーとして登壇していたので、ちょうど7月28日のブログに書いたようなことをかいつまんで発言した。「再生可能エネルギーの買取り法案については、後ろ向き修正でなく前向き修正をすべきだ」ということである。その項にも書いたが、こうした声に耳を傾ける度量があるかどうかに菅首相のこの問題にかける本気度が問われているとあらためて思う。
さてこの会場では時間の関係上、言わなかったが、再生可能エネルギー買取り法案については修正すべき点が7月28日のブログに書いた以外にもある。接続義務をもっと明確化にしなければならない。
再生可能エネルギーによって発電するのは電力会社に限らない。それ以外の企業が太陽光発電や風力発電に新規参入することは十分考えられる。ところがこうした会社は送電線を持っていない。かといって新たに送電線を引くのは莫大な金がかかる。また各社の送電線が入り乱れてもあまり意味がない。
そこでA社が太陽光発電で発電した電気は(関東地方ならば)東京電力に買い取ってもらいその送電線網を使って消費者に届くことになる。逆にいえば東電側が送電線の使用を拒めばいくら発電しても売ることはできなくなってしまうわけである。
ところが政府が提出している再生可能エネルギー買取り法案には使用を拒む条項が存在するのである。法案の第5条1項2号では「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」には送電線につながなくてよいことになっている。これではこの条項が乱用される危険性がある。
確かに法案では正当な理由がないままに接続を拒否した場合には経済産業大臣が電力会社に勧告・措置命令をかけることができるようになっている。7月6日に渡辺喜美代表がこの問題を衆議院予算委員会で追及した時も海江田経済産業大臣はこう答弁している。「おかしいと思った場合は、これは経済産業大臣が勧告ないしは命令をして接続をさせることができるようになってございます」。
しかしその経済産業省の幹部が各電力会社に天下っているのである。こうした天下りを通じた癒着構造の中、経済産業省が公平な立場で勧告・命令をするのかどうか、はなはだ心もとない。要はこうした条項は撤廃して、例外なく(もしくは例外は極小化した形で)接続を義務化するように修正すべきである。
このような問題はそもそも既存電力会社が発電所だけでなく送電網も持っていることに起因する。だからこそ発送電の分離が必要なのだ。発送電が一体になっていることも問題点についてはあらためて別項で書きたいと思う。
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