けんいちブログ

「道路特定財源が一部復活!?(その1)」

2011.09.29

道路特定財源が一部復活!?(その1)
    ~既得権益擁護の立法を許してよいのか~

9月27日のブログで道路特定財源を一部復活させるかのような法律が先月成立したと書いた。本日は、その法律「運輸事業振興助成法」について触れたい。

まず自動車燃料には消費税以外に次のような税金がかかっている。
ガソリン・・揮発油税、地方揮発油税(二つを総称してガソリン税と呼ぶ)
軽油 ・・・軽油引取税
LPガス・・石油ガス税

cf.数は少ないが天然ガス車もあるが、この天然ガスは課税されていない。
 数年前まではこれらの税金は道路関係にしか使えなかったため道路特定財源と呼ばれていたことも前のブログで述べた。このうちガソ

リン税と石油ガス税は国税だが、軽油引取税は都道府県税である。

運輸事業振興助成法は、この軽油引取税のうち一定部分は必ず都道府県のトラック協会・バス協会に交付金として回すようにするという法律である。一定額というのは全国で年間200億円である。千葉県の場合だと7億円余りになる。千葉県トラック協会と千葉県バス協会に毎年合計7億円強が交付されることになるわけである。

この税金は必ずこれに使わなければならないというのが特定財源である。軽油引取税のうち200億円分はトラック協会・バス協会に交付しなければならないという仕組みはこれに似ている。先に特定財源が復活しつつあるとしたのはそういうことである。

特定財源はなぜ問題なのか。無駄使いの温床になるからである。予算には限りがある。それだけに本当に必要な分野から優先順位をつけながら決めるのが本来の姿である。そこで本当に必要なのかどうかを厳しく査定する。ところが特定財源はそうなっていない。査定と関係なく予算が最初から入ってくる。そうなると何が起きるか。「税収があるから使い切るまで使う」という現象である。だからこそ無駄の温床として道路特定財源が廃止されたのである。それがこうした形で部分復活するというのでは骨抜きと言わざるをえない。

もちろんトラック協会やバス協会は大喜びである。必ず一定額の交付金が保証されるのだから当然だろう。法律名は「運輸事業振興助成法」だが実態としては「業界助成法」なのである。こうした業界団体は安全対策や環境対策のために交付金を有効に使っていると主張する。私もそれが間違っているというつもりはない。しかしそれならば必要額を査定した上で、県が交付金として出せばよいだけである。最初から何億円を交付すると決めているのでは単なる既得権である。

 環境対策費なども年々変動があるのが普通である。新たな規制によって、ある年の対策費は膨れ上がるかもしれない。しかしそれが一段落すれば予算は減るはずである。にもかかわらず毎年一定額を必ず保証するという仕組みには疑問がある。せっかくの税金である以上、その時その時の必要性の高い分野に自由に融通すべきなのであり、特定分野だけを聖域化すべきではない。

こうした問題の多い運輸事業振興助成法は8月24日に成立し、明日(9月30日)施行される予定である。国会審議ではみんなの党だけが反対し、他の政党は民主・自民・公明・共産・社民・たちあがれ日本・国民新党などがいずれも賛成に回った。

 なぜこうした妙な法案が出てきたのか。

その背景などについてはまた次回のブログで。

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