一票の格差をめぐる小手先の改革
2015.07.24
参議院の選挙制度のいわゆる「10増10減」案が本日の本会議で自民党や中小4野党の賛成多数によって可決された。国民は皆、法の下に平等である以上、あくまでも「一人一票」の大原則を目指すべきであり、この程度の改革案は小手先の弥縫策にすぎないと私は思っている。自民党はこれにより一票の格差は2倍台にまで改善されたと主張するが、正しくは2.97倍であり、しかも来年の選挙時には3倍超えは確実視されているのだから、それを「2倍台」と主張するのは強弁以外の何物でもない。
だからこそ私たち無所属クラブは民主党、公明党、生活の党と共同して、より抜本的な改革案を国会に提出していたのだが、残念ながらこちらは採決に至らなかった(自民党などの案が先に採決され可決されたため、一事不再議の原則によって他の改革案は採決されなかった。もし自民党などの案が否決されていれば、次は私たちの案が採決されることになっていた)。
さすがに自民党なども約3倍の格差を正当化するのは難しいと思っているらしく、このように言っている。「参院選がもう来年に迫っているので、今回はとりあえず2倍台にまで格差を抑えて(といっても選挙時には3倍を超える見込みなのだが)、その次の2019年参院選からは抜本改革して臨もう」という主張だ。一見もっともらしいが、このような「次回はちゃんとやるから今回はとりあえずの手直しだけで止める」という約束などは守られた例がない。
現に3年前にも「とりあえず今回は4増4減だけやりましょう。次の2016年の選挙からは抜本改革をしましょう」という約束を各党間で交わしているのだ。しかもそれは口約束ではなく法律の附則にまで盛り込んだのである。それでこの結果なのだから「2019年からは」などという約束が守られる保証などどこにもない。
それだけに今回一気に抜本改革を進めるべきだったのだが・・。残念なことである。こうした小手先だけの弥縫案が可決されてしまった本日の本会議で、あらためて一強多弱の政治状況を打破しなくてはと思った。
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