予算委員会質疑を終えての雑感
2016.01.19
先週金曜日には参議院予算委員会が安倍総理と全閣僚が出席して開会され、私も1時間余り質疑に立った。その中で印象に残ったことをいくつか雑感のように書いておく。
(2016年1月15日(金)の予算委員会インターネット審議中継はこちら→http://goo.gl/eHnl8d)
①国会を召集しなかった問題について
まず昨秋に野党が「衆参いずれかの院の4分の1以上の議員が要求したら臨時国会を召集しなければならない」という憲法53条の規定に基づいて国会召集要求をしたにもかかわらず、政府・与党に無視・黙殺をされた問題について質問した。
政府側は「憲法には“召集しなければならない”と書いてはあるが“何日以内に”という期限は書いてない。だからすぐに召集しなくても憲法違反ではない」という論法。屁理屈のような論法だが、そこで「何日以内に召集するのが適当なのか」と聞くと「合理的な期間の範囲内」だと言う。まあ確かに要求があったら翌日に召集というわけにもいなかいだろうから、一定の日数が掛かるのは仕方ないかもしれない(だから自民党自身の憲法改正草案では20日以内にすべきだとしている)。
そこで今回のように野党の国会召集要求から実際の国会召集までが75日もかかった場合でも「合理的な期間の範囲内」といえるのですかと質問をすると、安倍総理は「そういうことでございます」と答弁・・・これには啞然。
②消費税の軽減税率問題について(その1)
消費税の軽減税率の導入によって税収が減少する分をどのように補うかという私の質問に対して麻生財務大臣が、標準税率を10%よりも高くすることでまかなうことも「論理上は十分にあり得る」と答弁した(同時に「今の段階ではそれを考えているわけではない」とも答弁しているが)。
軽減税率による減収を標準税率の増税によって補うのでは何のための軽減税率かという気がする。軽減税率問題はまだまだ議論が不十分だと思う。
③消費税の軽減税率問題について(その2)
消費税には逆進性があるので何らかの低所得者対策が必要というのは分かるが、なぜそれが軽減税率なのかは疑問がある。給付付き税額控除などの方が合理的ではないのか。仮に軽減税率を良しとしても対象品目が適切なのかという問題も残る。政府・与党側は①外食を除く食料品、②新聞を対象品目としている。特になぜ新聞が入ってくるのかはよく分からない。
質問でも「なぜ新聞なのか」「同じ新聞をキオスクで購入すると標準税率なのに週2回以上宅配の場合だとなぜ軽減税率の対象なのか」「競馬新聞や株式新聞も対象か」といったことを取り上げたが、生煮えの答弁だった印象がある。
④原発問題について
原発問題では経済産業大臣の答弁をめぐって審議が7回も中断した。普通の産業廃棄物の場合のルールは廃棄物処理法によって定められているが、処分場を持っていない場合には処分業を営むことができない。原発も稼働すれば無事故で安全に操業したとしても必ず高レベル放射性廃棄物が出るわけだが、こちらは処分先がまったく決まっていなくても再稼働が可能になっている。いわば「いま処分場を探していますから」と言えば操業可能になるわけである。
そこで「なぜそうなっているのか」と質問をするが、大臣からは「処分場を確保することが大切」といった答弁。「処分場の確保が大切」なことには異論はないが、これでは質問に対しては的外れの答弁としか言い様がない。この問題はいわゆる「トイレ無きマンション」論であり、原発問題の最も本質的な問題でもある。再稼働の是非についてはいろいろな意見があるにしても、この「そもそも論」に対する担当閣僚答弁としてはちょっと心もとない気がした。
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