北総・公団線の運賃問題(3)
2000.06.01
「北総・公団線の運賃問題(3)」
◆大好評連載第3弾!運賃値下げのための具体策を提示。
北総・公団線の運賃値下げを求める住民の要望に応え、水野賢一衆議院議員は四月二十日の国会質問でこの問題を取り上げ、運輸省から「長期間、これ以上の値上げはしない」との約束を取りつけた。前号では、運賃問題の解決策として低利への借り換えを提案した水野代議士が、今回は鉄道に対する国の補助制度の問題点について語った。
Q.前号では、北総鉄道(株)が鉄道建設公団に分割払いをしている建設費 の金利が高いことが、会社を経営難に陥らせ、高額運賃の元凶になってい るとおっしゃっていましたが。
A.そうです。この鉄道会社の収入はだいたい年間百億円程度で営業利益は二十四億円くらいあがっています。しかし年間五十億円を超える金利を払っているのですから、利益などは吹っ飛んでしまって赤字になってしまうのです。だからこそ低利への借り換えが必要だと提言しています。
Q.金利負担があまりにも大きいなら、それに対して国や県は補助をしてくれないのですか。
A.実のところ現在でも補助制度は一応あります。「一応」といったのは実際には機能していないからです。現行の補助制度とは「P線補助」と呼ばれていますが、その内容は金利が五%を超えた場合には、その超えた部分を国と県が折半しながら負担するというものです。例えば七%の金利ならば、五%を超えていますからその超えた二%の部分を国と県が負担します。国が一%、県が一%というわけです。つまり鉄道会社が負担する金利は最大五%までで、それ以上は国や県が補填してくれるという仕組みです。
Q.しかし前号での水野さんのお話ですと北総鉄道(株)が払っている金利 は確か4%台でしたよね。
A.平成11年度で4.47%です。そうすると5%以下ということで補助の対象にはならないのです。先ほど、補助制度が実際には機能していないと申し上げたのはそういう意味です。制度としてはあるけれども「空振り」に終わっているのです。
Q.それでは五%以上は補助するというのではなく、例えば三%を超えたら 補助するというように改めたらいいのではないでしょうか。
A.まったく同感です。高金利時代ならともかく、この低金利時代では四%の金利でもけっこう大きな負担に感じるわけです。そこで私は国会質問でもこのことを問い質しました。いったい五%というラインはいつから決まっているのかと。そうしたら昭和四十八年からだと言うんです。二十七年間も変わっていないわけです。金利というのは日々変動しているわけですから、いつまでも五%というラインに固執していたらこの補助制度が形骸化してしまうのではないかと心配です。
Q.時代と共に補助制度が変わるのも当然じゃないかと思いますが、難しい ことなのでしょうか。
A.このことは運輸省などでも心ある人は理解してくれています。ところが大蔵省が反対しています。必要な補助金であれ何であれ、出すものは舌でも嫌なんでしょう。もっと他の無駄使いを切り詰めるべきなんですけどね。しかし官僚の抵抗がある時こそ、政治主導で活路を見出すことが求められているわけですから今後も努力していきたいと思います。 だいたいこの現行のP線補助がうまく機能しているならば私もわざわざ国会で追及したりしません。しかし実際にはこの補助制度が形骸化しているために北総鉄道をはじめ多くの鉄道が大赤字にみまわれています。千葉県をみても東葉高速鉄道もそうですし、千葉急行にいたっては経営破綻してしまいました。だからこそ制度そのものを見直すべきだと主張しているわけです。
Q.例えば補助を実施するラインを三%にまで下げれば、北総鉄道の運賃は 下がりますか。
A.すぐに値下げにまで直結するかどうかまでは断言できませんが、鉄道会社の経営を楽にするという点で値下げへの環境が整備されるとはいえるでしょう。ただ一つ問題があるのは、このP線補助の制度では補助を受ける期間というのは普通二十五年間あります。ところが北総鉄道のようなニュータウン鉄道に限って十五年しか補助を受けられません。これまた不合理で差別的な政策だと思いますね。今のところは補助の対象になっていませんから、十五年だろうと二十五年だろうと実害はありませんけど(逆に実益もないが)、もし補助が行われれば、こうした差別的な措置も改善しなければならないと思います。
Q.ところでこれまでに運賃を値下げした例というのはあるのでしょうか。
A.最近では京王電鉄や北神急行の例があります。定期代だけ値下げした例としては多摩都市モノレールなどがあります。値下げは決して夢物語ではないのです。
Q.今後もご活躍をお祈りします。
A.ありがとうございます。運輸省から「値上げはしない」という約束は取りつけましたが、今後は値下げというさらなる目標に向かって進みたいと思います。簡単ではないと思いますが、全力を尽くしていきます。
◆水野賢一のひとりごと
P線補助の見直しは残念ながらまだ実現していません。各方面に働きかけはしているのですが・・・。「P線補助の見直し」といくら主張しても、何のことやらなかなか理解してもらえないもどかしさもあります。確かに私もこの問題を調べるまではP線補助なんて言葉は聞いたこともありませんでしたから仕方ない面もあるけど・・・。 ただ北総鉄道に関しては明るい光が多少見えてきたとも言えます。5月25日の“ひとりごと”の欄にも書きましたけど、第四次支援が決まったこともその一つです。そして毎年毎年赤字を積み重ねてきた同鉄道が平成12年度には初めて黒字を計上したということもあります。単年度黒字になったからといってもこれまでの膨大な累積赤字があるので即時値下げというのはなかなか難しいでしょう。しかし値下げにむけての環境少しずつ整備されつつあるということは客観的にみて事実ではないでしょうか。
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