郵政と既得権益
2010.05.13
郵便局の数は全国に2万4千、銀行の店舗数は1万3千、信用金庫が7千です。その意味では郵便局は一番身近な金融機関といっても良いでしょう。
その郵便貯金の預入限度額を「1000万円→2000万円」に引き上げる法案を鳩山政権が提出しています。
(厳密に言うと限度額は法案そのものに明記されているわけではなく政令で決める)
他の金融機関はペイオフで保護される額が1000万円までなので、国が事実上保証する郵貯に2000万円預けられるならば、郵貯に資金が流れるのは人情でしょう。
「官業による民業圧迫」「信金信組はどうなる」「集めた金は国債に流れるだけなので国の借金体質がますます強まる」という批判が出るのは当然です。
そして何より民主党自身の政策にも反しています。民主党自身が「預入限度額は500万円に引き下げる」とマニフェストに書いていたのです。
「引き下げ」と「引き上げ」では方向性がまったく逆です。だからこそ民主党の中でも心ある人たちが「おかしい」と声を上げたのです(すぐに押さえこまれましたが)。
ここで問題なのは何で民主党がそうした政策を打ち出したのかということです。理由は簡単。連立パートナーの国民新党のごり押しに押し切られただけのことです。
国民新党は郵便局長が支持基盤ですからこの問題に強いこだわりを持って横車を通しました。つまり国民新党の選挙戦略によって政策が歪められているわけです。
預入限度額の陰に隠れていますが、国民新党や郵便局長会はさらにひどい要求も出しています。
定年延長もその一つです。旧特定郵便局長の定年は65歳でしたが、民営化後は他の職員と同じ60歳まで段階的に引き下げられるはずでした。
それを逆行させようとしています。まさに既得権益擁護そのものです。
こうしたことに民主党は何も言えません。自民党の族議員を批判していたはずなのに“党そのものが郵政族”の国民新党に振り回されています。
一方、野党のはずの自民党も何も言わないというのが現状です。しっかりと物が言えるのはしがらみ・癒着のない「みんなの党」だけです。
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