けんいちブログ

野党各党と一致して臨時国会の召集を要求

2015.10.21



◆臨時国会召集要求書の提出
 本日、衆参両院で野党各党は「臨時国会召集要求書」を提出した。憲法53条は臨時国会の召集について規定しているが、その中で「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めている。そこでこれに基づいて衆参両院のそれぞれで4分の1以上の議員数で要求書を出したわけである。
       総議員数 4分の1 要求書の提出議員数
  衆議院  475人 119人   125人
  参議院  242人  61人    84人
 政党別にいうと民主党、共産党、社民党、生活の党が参加している。私の属している参議院会派の無所属クラブも私を含め4人全員が召集を要求している。注釈が必要なのが維新の党で「執行部系」とされる人たちは名を連ねているが、「大阪系」とされる人たちは名前を載せていない(執行部は「大阪系」の除名処分をすでに決めているが、参議院会派の「維新の党」は大阪系メンバーが主体なので同会派メンバーは誰も要求書に名を連ねていない。ともあれ実にややこしい)。なお野党といっても安保法制に賛成をした「日本を元気にする会」「次世代の党」「新党改革」は要求書には加わっていない。

◆国会を開きたくないという政府

 こうした要求書を提出したのも政府が秋の臨時国会を開催しない方針だからである。普通は秋には臨時国会を開催することが通例となっている。まして今年は10月7日には内閣改造があり、9人もの新閣僚が誕生している(返り咲きを含むと10人)。それだけに新閣僚らがどのような政策や所信を持っているのかを国会で披瀝するのは当然のことである。しかし政府はその当然のことをしないという腹づもりのようだ。「国会を開いてもどうせ野党からの追及を受けるだけで野党の得点稼ぎに利用されるだけだ。緊急に成立させなければいけない法案もなさそうだし国会なんか開く必要はない」という発想なのだろう。

 だが国会で審議すべきなのは別に政府提出法案だけではない。国会は政府の下請け機関ではない以上、議論すべきことは他にも多々ある。議員立法もあれば、国政の他の重要課題も山積している。大筋合意したTPPなどはその典型例だろう。これらの課題があるにもかかわらず「野党の追及にさらされるから国会を開会しない」という姿勢はいただけない。

◆同意人事に空白を作るなど論外
 さらにあまり指摘されていない点だが、同意人事の問題もある。審議会その他の役職のうち重要な役職は国会同意人事といって政府が任命するだけでなく衆参両院の同意があって初めて就任できるようになっている。国会同意人事の対象は200名を超えるが、主な役職としては以下のようなものがある。
  原子力規制委員会    委員(委員長も)
  国家公安委員会     委員
  社会保険審査会     委員(委員長も)
  日本銀行        総裁・副総裁など
  日本放送協会経営委員会 委員
 
 政府が秋に臨時国会を開かずに、次期国会召集が1月にずれ込んでしまうと、これらの国会同意人事の中で任期切れしてしまう人たちが出てくる。具体的には次のような役職である。
  公正取引委員会委員 12月3日で5年の任期満了
  検査官       12月7日で7年の任期満了
 これらのポストが「国会を開かないから国会の同意を得られない」などという珍妙な理由で空席になってしまうなどというのは極めて異例のことである。確かにこうした重要なポストが一時的に空席になった例は過去にないわけではない。最近で最も話題になったのは2008年に日銀総裁が20日間空席になったことだろう。ただしこの時は政府としては任期切れ前に後任の総裁候補を国会に提示していた。しかし国会がその人事案を否決したために空席になったのである(この時は「ねじれ国会」だった)。

 このように政府としては努力はしたが、国会がその人事案を承認しなかったから空席になったというならばまだ理解できる。ところが今回は違う。任期切れすることが分かっているにもかかわらず、政府が国会を閉じたままで後任の人事案を出さないために空席が生じてしまうわけである。こんなことがあって良いはずがない(同意人事案は国会開会中に政府が国会に提示する。また開会していなければ承認することはできない)。

 そもそも同意人事というのは要職だからこそ国会の承認が必要とされているのである。そうした枢要なポストが空席になると分かっていて、それを放置するのは政府の怠慢であり、論外と言わざるを得ない。

 どうやら安倍政権は野党が本日提出した開会要求書も黙殺するようである。政権にとって損だから国会は開かないといった小さな気持ちは捨てて、自分たちの政策に自信があるのであれば、野党と大いに論戦を交わそうというくらいの気概を持ったらどうだろうか。

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