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8千ベクレル超の廃棄物処分場:東電敷地という結論先にありきだったのでは?

2015.06.19


環境省は千葉県内にある8000ベクレル超の指定廃棄物約4千トンの埋設場所として千葉市中央区の東京電力敷地を選定した。東京湾に面しているこの場所に対しては「埋立て地なのに地盤は大丈夫なのか」「液状化の恐れがあるのではないか」といった懸念が上がるのは当然だろう。

環境省は安全面を検討してここが一番の適地だったと説明するが果たして本当なのだろうか。実際には「放射性廃棄物など誰も受け入れる人はいない。しかし東京電力は責任者だから嫌とは言えないはずだ。だからその土地に埋めてもらおう」と考えたのではないかとの疑念が浮かんでくる。

私も東京電力が加害企業であり責任者だという思いには変わりはないが、放射性廃棄物の埋設地というのは「そこがゴミを受け入れてくれるからそこに埋める」というのではなく「そこが一番安全だからそこに埋める」というのでなければいけないと思っている。安全面をないがしろにして埋めやすいからそこに埋めるというのでは本末転倒である。

もちろん環境省も場所の選定にあたっては安全第一で考慮したとは言っている。同省の説明は以下のようなものだ。
「千葉県内で最初に約5千か所を検討して、それを683か所に絞りました。この683か所については水源地から離れているかなど4つの指標で採点をしました。それぞれ5点満点で点数化したので合計20点満点ですが、たまたま中央区の東電敷地が16点で最高点でした。ですから東電敷地という結論が先にあったのではなく、たまたまそこが一番安全面で優れているというだけのことです」。

しかし疑念は拭いきれない。そもそも4つの指標という時に液状化などの尺度は入っていないのである。しかも東電敷地以外の682か所がどこだったのかといった情報も開示されていない。そこで私は6月11日や16日の参議院環境委員会でこの問題を追及した(詳細は会議録を参照)。

指定廃棄物の処分場建設というのは、要は他人の土地に「ゴミ捨て場を建設させて下さい。そこに放射能が含まれているゴミを埋めたいと思いますので」とお願いするということである。普通だったら地権者には「ふざけるな」と怒られるのがオチであろう。地元住民や地元議会・首長の理解を得る以前に地権者の了解を得るだけでも一苦労になってしまう(だから千葉県以外では国有地に建設する方針になっている)。

ところが「ふざけるな」とは口が裂けても言えないのが東京電力である。言うまでもなく放射能汚染の原因となった原発事故の責任企業だからである。それだけにここに頼めば地権者の了解という大きな壁は突破できる。そうした考えの下に東電先にありきで話が進んだというあたりが真相ではないのか。

そうした疑念が誤解だというのであれば、環境省にはしっかりと選考過程の情報を公開してもらう必要がある。それが無い限り、この問題は引き続き追及せざるをえない。

放射能を帯びた廃棄物(主に焼却灰)がすでに存在しているのは事実である。これらをどこかに処分しなければいけないのは間違いない。原発への賛否は別として処分地の選定は喫緊の課題ではある。しかしそれだけに処分場の選考過程においてはきちんとした説明責任を果たすことが国には求められている。

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