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けんいちブログ

成田新高速鉄道について

2000.06.08

「成田新高速鉄道について」

◆北総鉄道の問題は運賃だけではない。成田延伸についても取り上げた意欲作。
総・公団線を東に延ばして成田までつなごうという計画があります(成田新高速鉄道の建設)。完成すれば、千葉ニュータウンから都心にも成田にもいけるようになり利便性は倍増する。 高すぎる運賃の値下げに取り組む水野賢一は、この成田延伸についても4月20日の国会質問で取り上げ、早期完成の約束を運輸省から取り付けた。前号、前々号で運賃問題解決を誓った水野賢一が今度は成田延伸について語った。

Q.北総・公団線を成田方面に延伸するという構想がありますが、この問題についてはどのように考えていますか。
A.最近、羽田空港を再び国際空港として利用しようという動きがあります。その時に必ず言われるのが「成田は遠くて不便」ということです。しかしそれならば、まず最初にやるべきことは成田空港を「近くて便利」にすることです。そのためには北総・公団線を成田にまで延ばすことが最善策です。これが完成すれば、都心に住む人にとっても千葉ニュータウンに住む人にとっても成田空港の利便性は倍増します。私も最大限の力を注いでいきたいと思っています。

Q.成田への延伸のめどがついたと聞きましたが本当ですか。
A.運輸省の審議会が15年ごとに首都圏の鉄道網の整備計画をつくっていますが、その計画が今年の 1 月にできました。つまりこれからの15年間でどの鉄道を建設すべきかの考えをまとめたわけです。その中では、成田までの路線は2015年までに開業すべきだと位置づけられました。国としてはあと15年間でこの鉄道を開業にまでこぎつけたいという意志を表明したといえます。

Q.では2015年には成田まで開業されると考えていいのでしょうか。
A.計画上はそうです。ただ計画通りになるかどうか不安もあります。実は今から15年前の昭和60年にも鉄道網の整備計画は作られています。その時の計画にも成田までの路線を整備すべきだと書いてあるのです。ところが15年経った今になっても出来ていません。今年の7月に印旛日本医大駅までは開業しますが、そこから先はまったく工事もされていません。ですから今度こそ、計画通りに開業できるように我々も努力しなければいけません。3月には千葉県が中心になって「事業化推進検討委員会」という組織を立ち上げ、県や関係市町村、空港公団、北総開発鉄道など関係者で調整が始まりました。いい方向には進んできましたから、側面から支援したいと思います。

Q.水野さんは国会でも延伸問題を取り上げたということですが。
A.4月20日の衆議院決算行政監視委員会で質問しました。この時は北総線の高すぎる運賃問題と成田への延伸問題について運輸省の見解を問いただしました。その結果、運輸省側も運賃については「長期間、値上げはしない」ことを明言し、成田への延伸についても中馬運輸政務次官が「2015年というまどろっこしいことでなく早期に整備する必要がある」と述べました。ずいぶんと思いきった発言をしたなと思いましたが、そこまで強い決意を述べたのは大きな前進といえます。

Q.ところで、成田までの延伸計画はかなり昔からあるのに、まだ完成していないというと何かネックになっていることがあるのでしょうか。
A.最大の問題はお金、つまり建設費でしょう。ある試算によると建設には736億円ほど掛かるとされていますが、この負担をすることにどの関係者も尻込みしてしまっているのです。つまりどの会社が鉄道を作るのかという一番大事なことが決まっていないのです。鉄道事業者になる候補としては、都市基盤整備公団や新たにつくる第三セクターなどいろいろ考えられますが、今の段階では積極的にやろうという会社がないのです。

Q.建設費の負担がネックというお話ですが、鉄道を建設する時には国がある程度の補助はしてくれないのですか。
A.空港にアクセスする鉄道の場合は国と県が補助を出します。合わせて建設費の36%を補助してくれることになっています。ただ私はこの36%という補助率では不十分だと思っています。もっと50%とか60%とかを国や県が負担する覚悟でいないと、関係者が重い腰を上げてくれないでしょう。地下鉄を建設する場合には、国と県で建設費の70%を補助してくれます。地下鉄が70%で、国際空港へのアクセス鉄道が36%の補助しか受けられないというのはいくらなんでもアンバランスです。見直す必要があると思います。その他にも、空港公団などにも一定の負担をしてもらう必要もあるでしょう。

Q.ところで新しい鉄道ができると、都心と成田空港はどのくらいで結ばれるのですか。
A.30分台で結ばれる予定ですね。現在の京成スカイライナーや成田エクスプレスよりも十分以上短縮されます。北総・公団線のレールの幅は1435ミリで普通の鉄道より広く、新幹線と同じ幅になっています。ですから高速で走るのに適しているのです。

Q.千葉ニュータウンの住民にとって鉄道の成田延伸は、運賃値下げと並ぶ悲願です。今後の取り組みに期待しています。
A.千葉ニュータウンは本来19万4000人が入居する計画だったのですが、実際には8万人くらいしか住んでいません。こうした見込み違いが様々な弊害を生み出しています。一層の入居を促進するためには鉄道をより便利なものにする必要があります。今後も最大限の努力をしていきたいと思っています。ぜひ期待してください。

◆水野賢一のひとりごと
これまた昨年の選挙の直前に出したビラに載せたものです。 成田空港が「遠くて不便だ」というならば「近くて便利」なようにアクセスを良くしろというのが私の基本的な考え方です。 最近もこのことを堂本知事に申し入れるために5月17日に実川代議士、関係県会議員、関係市町村長と県庁に行きました。堂本知事もこの問題には極めて一生懸命だという印象を受けました。特に感銘を受けたのは、ただ単に陳情を受けて官僚的に対応するというのではなく、自分の言葉で鉄道延伸の必要性を熱心に語ったことです。

この印象通り、堂本知事は5月29日に国土交通大臣と会ってかなり前向きの言質を引き出しました。この分だと最短で2010年にはこの鉄道の開業ができる見込みです。 ところで文中後半にある補助率嵩上げの問題も僕なんかは当然のことだと思うんですけどねえ。財務省が嫌がっているようです。まあ彼らからすれば出すものは舌でも嫌だということなんでしょうけど、他に無駄な投資を一杯しているのにまったくおかしい。大蔵省から財務省に名前が変わっても体質は変わらないのかなあ。 なお成田へのアクセス問題については2001年2月4日の頁もご覧ください。 (この◆水野賢一のひとりごとは2001年5月31日に記す)

◆水野賢一のひとりごと-追補
成田新高速鉄道建設に向けた気運はだいぶ高まってきました。これまで取り組んできた甲斐があったというものです。6月22日には亀井善之代議士(神奈川16区)を代表として千葉、東京、神奈川、埼玉の国会議員15人ほどで首相官邸に行き、小泉総理に対して成田へのアクセス改善の申し入れをしました。もちろん私も実川幸夫代議士も参加しました。 千葉と東京は羽田国際化の問題では対立することが多いけど、アクセス改善では一致できます。協力できることは協力してどんどん進めていくべきでしょう。 最近の大きなトピックは東京駅乗り入れの話も動きだした点です。 これまで議論になっていた成田新高速鉄道は「上野-日暮里-京成高砂-千葉ニュータウン中央-成田空港」という経路を前提としていました。これはこれで完成すれば、大きな前進です。

しかし「東京駅と成田空港のアクセスを改善しないと不十分だ」という声も説得力があります。そこで今回、東京駅八重洲側の地下を工事してこの鉄道を東京駅に乗り入れることの研究も進められることになりました。つまり「東京駅-京成高砂-千葉ニュータウン中央-成田空港」というルートも可能になるということです。東京駅周辺の地下工事は難作業になることが予想されるので、順調に進むかどうかは分かりませんけど、歓迎すべき動きです。 さらに本文でも主張した補助率の嵩上げもできそうな雰囲気になってきました。まだまだ油断は禁物ですけど・・・。 (この追補は2001年6月22日に記す)

北総・公団線の運賃問題(3)

2000.06.01

「北総・公団線の運賃問題(3)」

◆大好評連載第3弾!運賃値下げのための具体策を提示。
北総・公団線の運賃値下げを求める住民の要望に応え、水野賢一衆議院議員は四月二十日の国会質問でこの問題を取り上げ、運輸省から「長期間、これ以上の値上げはしない」との約束を取りつけた。前号では、運賃問題の解決策として低利への借り換えを提案した水野代議士が、今回は鉄道に対する国の補助制度の問題点について語った。

Q.前号では、北総鉄道(株)が鉄道建設公団に分割払いをしている建設費 の金利が高いことが、会社を経営難に陥らせ、高額運賃の元凶になってい るとおっしゃっていましたが。
A.そうです。この鉄道会社の収入はだいたい年間百億円程度で営業利益は二十四億円くらいあがっています。しかし年間五十億円を超える金利を払っているのですから、利益などは吹っ飛んでしまって赤字になってしまうのです。だからこそ低利への借り換えが必要だと提言しています。

Q.金利負担があまりにも大きいなら、それに対して国や県は補助をしてくれないのですか。
A.実のところ現在でも補助制度は一応あります。「一応」といったのは実際には機能していないからです。現行の補助制度とは「P線補助」と呼ばれていますが、その内容は金利が五%を超えた場合には、その超えた部分を国と県が折半しながら負担するというものです。例えば七%の金利ならば、五%を超えていますからその超えた二%の部分を国と県が負担します。国が一%、県が一%というわけです。つまり鉄道会社が負担する金利は最大五%までで、それ以上は国や県が補填してくれるという仕組みです。

Q.しかし前号での水野さんのお話ですと北総鉄道(株)が払っている金利 は確か4%台でしたよね。
A.平成11年度で4.47%です。そうすると5%以下ということで補助の対象にはならないのです。先ほど、補助制度が実際には機能していないと申し上げたのはそういう意味です。制度としてはあるけれども「空振り」に終わっているのです。

Q.それでは五%以上は補助するというのではなく、例えば三%を超えたら 補助するというように改めたらいいのではないでしょうか。
A.まったく同感です。高金利時代ならともかく、この低金利時代では四%の金利でもけっこう大きな負担に感じるわけです。そこで私は国会質問でもこのことを問い質しました。いったい五%というラインはいつから決まっているのかと。そうしたら昭和四十八年からだと言うんです。二十七年間も変わっていないわけです。金利というのは日々変動しているわけですから、いつまでも五%というラインに固執していたらこの補助制度が形骸化してしまうのではないかと心配です。

Q.時代と共に補助制度が変わるのも当然じゃないかと思いますが、難しい ことなのでしょうか。
A.このことは運輸省などでも心ある人は理解してくれています。ところが大蔵省が反対しています。必要な補助金であれ何であれ、出すものは舌でも嫌なんでしょう。もっと他の無駄使いを切り詰めるべきなんですけどね。しかし官僚の抵抗がある時こそ、政治主導で活路を見出すことが求められているわけですから今後も努力していきたいと思います。 だいたいこの現行のP線補助がうまく機能しているならば私もわざわざ国会で追及したりしません。しかし実際にはこの補助制度が形骸化しているために北総鉄道をはじめ多くの鉄道が大赤字にみまわれています。千葉県をみても東葉高速鉄道もそうですし、千葉急行にいたっては経営破綻してしまいました。だからこそ制度そのものを見直すべきだと主張しているわけです。

Q.例えば補助を実施するラインを三%にまで下げれば、北総鉄道の運賃は 下がりますか。
A.すぐに値下げにまで直結するかどうかまでは断言できませんが、鉄道会社の経営を楽にするという点で値下げへの環境が整備されるとはいえるでしょう。ただ一つ問題があるのは、このP線補助の制度では補助を受ける期間というのは普通二十五年間あります。ところが北総鉄道のようなニュータウン鉄道に限って十五年しか補助を受けられません。これまた不合理で差別的な政策だと思いますね。今のところは補助の対象になっていませんから、十五年だろうと二十五年だろうと実害はありませんけど(逆に実益もないが)、もし補助が行われれば、こうした差別的な措置も改善しなければならないと思います。

Q.ところでこれまでに運賃を値下げした例というのはあるのでしょうか。
A.最近では京王電鉄や北神急行の例があります。定期代だけ値下げした例としては多摩都市モノレールなどがあります。値下げは決して夢物語ではないのです。

Q.今後もご活躍をお祈りします。
A.ありがとうございます。運輸省から「値上げはしない」という約束は取りつけましたが、今後は値下げというさらなる目標に向かって進みたいと思います。簡単ではないと思いますが、全力を尽くしていきます。

◆水野賢一のひとりごと
P線補助の見直しは残念ながらまだ実現していません。各方面に働きかけはしているのですが・・・。「P線補助の見直し」といくら主張しても、何のことやらなかなか理解してもらえないもどかしさもあります。確かに私もこの問題を調べるまではP線補助なんて言葉は聞いたこともありませんでしたから仕方ない面もあるけど・・・。 ただ北総鉄道に関しては明るい光が多少見えてきたとも言えます。5月25日の“ひとりごと”の欄にも書きましたけど、第四次支援が決まったこともその一つです。そして毎年毎年赤字を積み重ねてきた同鉄道が平成12年度には初めて黒字を計上したということもあります。単年度黒字になったからといってもこれまでの膨大な累積赤字があるので即時値下げというのはなかなか難しいでしょう。しかし値下げにむけての環境少しずつ整備されつつあるということは客観的にみて事実ではないでしょうか。

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