「不法投棄撤去の新法が成立」
千葉県は不法投棄ワースト1位!!行政の対応が注目される中不法投棄撤去の新法が成立
緊急インタビュー 『不法投棄、今後10年間で一掃へ』
産業廃棄物の不法投棄が大きな問題になっている。とりわけ千葉県の状況は深刻である。そうした中、今年6月には不法投棄撤去を目的とした新法が成立した。環境問題に熱心に取り組む衆議院議員・水野賢一がこの法律の狙いについて語る。
Q1 千葉県は産業廃棄物の不法投棄が全国ワースト一位だそうですが。
水野 残念ながらその通りです。新たに投棄される産廃の量もここ3年連続して全国最悪ですし、投棄されたままになっている不法投棄の山の量も321万トンで全国第一位です。
Q2 近頃は不法投棄が全県に広がっていますね。
水野 不法投棄がひどかったのはこれまでは市原市と銚子方面でしたが、最近は取締りが厳しくなってきました。それ自体は良いことなのですが、その結果として小規模な不法投棄が全県に分散化してきています。
Q3 もっと罰則を厳しくすべきではないですか。
水野 不法投棄対策は大きく分けて二つあると思います。一つは罰則の強化や監視体制の充実などで不法投棄を未然に防止することです。例えば不法投棄の罰則は平成3年までは懲役6ヶ月以下だったのが、現在では5年以下とかなり厳しくなってきました。ただもう一つ重要なのはすでに投棄されてしまった産廃を撤去するための仕組みを作ることです。
Q4 撤去を促進するための議員連盟を作ったとのことですが。
水野 去年のことですが、同じ千葉県選出の松野博一衆議院議員たちと「若手議員による廃棄物不法投棄撤去を推進する会」というグループを結成しました。 環境問題に取り組んでいる議員を中心に現在33名が入会しており、この会も強く働きかけて今年6月には産廃特別措置法という新法を制定することができました。
Q5 それはどういう法律ですか。
水野 産廃に関する法律としては従来から廃棄物処理法がありました。こちらが不法投棄への罰則などを定めた法律なのに対し、新法はすでに投棄されてしまったものを片付けるための法律です。具体的には今後10年間で全国の不法投棄産廃をほぼ一掃することを目指し、そのために国もしっかりと財政面で支援するという内容です。
Q6 これまでは国の支援はなかったのですか。
水野 あるにはありましたが、限定的なものでした。本来不法投棄の撤去費用は捨てた人間が負担するのが筋です。ところが実際には投棄者が分からなかったり、分かってはいても倒産して支払い能力がないということが多いのです。だからといって放置しておくわけにもいかない。そういう場合には都道府県が代わりに撤去することができます。ところがちょっと大きめの投棄現場になると撤去に数十億円もかかります。 そこで都道府県も負担を恐れて撤去に二の足を踏みがちでした。そのため5年前に国の支援制度ができましたが、新たに投棄された産廃を撤去する時しか適用されず、不十分という指摘がありました。そこで今度の法律では古くからあるゴミを除去する時にも費用の半分までは国が支出することにして、撤去の促進を狙っています。
Q7 どのくらいの費用がかかりますか。
水野 環境省の見積もりでは、全国の不法投棄を一掃するための費用が900?1000億円で、そのうち300~400億円を国が負担します。いま求められているのはこうした環境分野への予算の重点配分だと思います。
Q8 不法投棄は景観を損ねるだけでなく、悪臭や健康被害にも直結する重大問題です。今後も取り組みを期待しています。
水野 産廃にはPCB、カドミウムなどの有害物質が含まれていることが多く、地下水汚染も心配です。今後は排出企業の責任追及も徹底して行ない、法律の狙いどおり10年で全国の不法投棄を一掃すべく力を尽くしていきたいと思っています。