「印旛沼浄化計画がついに始動」
印旛沼の水質は全国の湖沼の中で悪い方から二番目です。しかもこの水は飲料水にも使われています。
全国ワースト1位の佐鳴湖の水は飲料用にはなっていませんから、飲用の水源としては印旛沼は全国最悪の水質なのです。もちろん各家庭の水道管に送られる前には浄水場(千葉市花見川区柏井にある)で浄化するので、直接健康を害することはありませんが、元の水が奇麗なことに越したことはありません。
その印旛沼浄化のための計画がようやく動き始めました。今年度から国の予算に印旛沼の河川環境整備事業費が付くようになったのです。事業をするのは県ですが、国が半額補助をします。これまでの対策は下水道の整備や“水をきれいに”という啓発活動・ポスター作りなどに限られていましたので、沼そのものを浄化しようという本格的な試みは今回が初めてとなります。
事業は平成22年度まで7年の年月と約150億円をかける見込みです。今後の調査によって何をやるかの詳細が決まる予定ですが、沼底に溜まっているヘドロの除去 水生植物を繁殖させることによる自然浄化が大きな柱となりそうです。具体策の決定にあたっては国や県が一方的に決めるのではなく、住民やNPOの意見も聞きながら進めることが大切です。私も議員として行政をチェックしながら建設的な提言をして、全国に誇れる環境保全事業にしていきたいと思っています。
*湖沼の汚濁は一般的にCOD(化学的酸素要求量)という値で表わす。印旛沼に対しては行政側が目標値として3mg以下という環境基準を昭和45年に定めたが、一度も達成されたことはない。
◆全国湖沼水質ワースト5(02年度・COD年平均値)
佐鳴湖(静岡県) 11
印旛沼(千葉県) 9.1
長 沼(宮城県) 9.0
児島湖(岡山県) 8.9
春採湖(北海道) 8.7
単位はmg/リットル
〔追補〕
印旛沼についてはこれまでこの「けんいちの主張」欄に00年5月、01年11月、03年10月の3回にわたって小論を書いています。そこでは自然再生法に基づく協議会の設立を提唱しました。これはいまだに実現はしていません。ただその代わりに国・県・市町村・学識者・NPO・土地改良区など関係者が集まった「印旛沼流域水循環健全化会議」で水質浄化と治水についての討議がかなり進展してきました。そこで現時点ではこの枠組を充実させることが現実的と考えています。
今回、「印旛沼河川環境整備事業費」という国の予算がついたことにより、今後水質浄化の最大の柱はこの計画になっていきます。計画の詳細は、水循環健全化会議の中に置かれた“水質改善技術検討会”で策定されることになりますが、こうした具体的計画を作るにあたっても住民・NPOなどの声を十分に聞くことが求められています。