本日の参議院本会議で私がみんなの党の代表質問を行ない、安倍首相に論戦を挑むことになっている。
登壇は11時頃から、NHK生中継される。
一問一答の予算委員会とは違い、一方的に質問するため(質問は20分)、全文を事前通告する慣行になっている。その慣行に従って事前通告をしたが、政府に提出した文章と同じ文章を以下に掲載する。
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みんなの党の水野賢一です。みんなの党を代表して質問いたします。
さて召集日の所信表明演説で総理は、経済再生や震災復興の重要性について強調していました。これらが極めて重要な課題だということについては何の異論もありません。しかしその解決のための具体策にはほとんど触れていませんでした。曰く「世界一を目指そう」、曰く「未来を切り拓く」と言っても、裏付けとなる政策が曖昧では経済再生も震災復興も言葉だけに終わってしまいます。また他にも重要項目でありながら所信表明では一言も言及していない課題が数多くありました。それらについては施政方針演説の時にあらためて述べるということなのかもしれませんが、正直、期待外れの感は否めません。
そこで質疑を通じて、具体的政策について質していきたいと思います。まず経済対策です。総理はデフレ脱却のために政府と日銀が緊密な連携を図る必要があるとおっしゃいました。私たちもそう考えています。考えているからこそ、今の日銀法のままではそれが実現できないとして、これまで4回にわたって国会に日銀法改正案を提出してきました。所信表明では法改正については一切触れていませんでしたが、なぜですか?現行の日銀法のまま、運用だけ改善するというのでは不十分です。法改正こそ王道と考えますがいかがですか?(問1)
まもなく任期切れを迎える日銀総裁・副総裁の人事も極めて重要です。我が党の渡辺喜美代表は「財務事務次官の天下りは認めない」ということに加え、適任者の3条件としてマクロ経済学の博士号を持っていることなどを挙げていますが、総理は日銀総裁の資質や出身母体について、どのようなことを必要条件として考えておられますか。(問2)
経済再生のために最も大切なことは景気に悪影響を与えることはしないということです。デフレ状況下で消費税を上げることほど景気に悪いことはありません。だからこそみんなの党は昨年の増税法案には徹底して反対しました。
この消費税増税法では一応、経済状況が悪い場合には増税停止もありえることになっています。こうした判断をいつまでにするという期限が法律上、決まっているわけではありませんが、安倍内閣としては増税を実施するか否かの最終判断はいつまでに行なうのですか。(問3)
また税率を10%に上げる時には、軽減税率を導入する方針を決めたとのことです。世論調査を見ても軽減税率導入への支持は高いようです。生活必需品には軽減税率を適用するというのは確かにもっともらしく聞こえます。しかし大きな懸念もあります。どの品目の税率を軽減するかは官僚や族議員の匙加減一つで決まってくるからです。軽減税率の品目に選ばれるかどうかは関係業界にとって死活問題です。それだけに、こうした匙加減をする人たちの権限拡大にもつながるわけです。こうした懸念についてはどう考えますか(問4)
税制についてはもう一つ問い質さなければなりません。道路特定財源の復活問題です。与党の税制改正大綱では自動車重量税を「道路の維持管理・更新等のための財源として位置づけ」るとしています。これを見ればまさに道路特定財源の復活ではないですか。自民党税調幹部が特定財源ではないと釈明したようですが、安倍総理にも確認します。まさか道路特定財源の復活ということはありませんね。(問5)
そもそもこの制度はかつて自民党政権自身が廃止して一般財源化したはずではないですか。党内の根強い抵抗を押し切って無駄使いの温床たる特定財源を廃止したのは英断でした。それをもし復活させるというのであれば、古い自民党の復活そのものではありませんか。
私たちは何も道路を一本も作るな、補修もするなと言っているわけではありません。本当に必要ならば一般財源から充当すれば良いんです。せっかくの税金を「道路にしか使えない」「使わせない」として道路を聖域にするのがおかしいと言っているだけです。「一般財源化は必ず堅持する」と政府の公式見解として明言してもらいたいと思います。(上と併せて問5)。
身を削る改革について伺います。昨年の衆議院解散直前の党首討論を受け、国会議員定数を削減するという方向性はあるようです。問題はそこにかける情熱です。「実現すればよし、しなくてもまあ仕方がない」くらいの姿勢では、身を削る改革が進むはずはありません。総理がどのくらいの覚悟を持っておられるのか、政治生命を賭するほどの覚悟があるのかをお伺いします。(問6)
身を削る話で言えば、昨年の解散でうやむやになってしまったこともあります。解散の前日、一つの法案が衆議院を通過しました。議会雑費を廃止する法案です。議会雑費というのは衆参両院の委員長などが国会開会中に毎日6千円ずつ受け取る手当のことです。土日休日も関係なく支給されるので今国会ならば会期150日で90万円の手当が出ます。こんな意味不明な支出はやめようということで、昨年秋の国会で現在与党の公明党も含めて議員立法が出されましたが、唯一自民党だけが反対しました。それでも当時は自民党は衆議院で少数派ですから可決され参議院に送られてきましたが、審議入りする前に解散となり、法案は廃案となりました。消費税増税など国民に負担を押しつけていながら身を削る方はさっぱりというのでは通用しません。こんな制度は廃止すべきではないですか。(問7)
エネルギー・環境政策について伺います。みんなの党は脱原発という立場を明確にしています。原発は一度事故が起きた時の深刻な影響ももちろんですが、安全に操業したとしても、運転すれば必ず高レベル放射性廃棄物が出ます。しかもその廃棄物は数万年以上も高い放射線を出し続けるわけです。その処分については、地下深くに埋めるということまでは決まっています。しかしどこに埋めるのかはまったく決まっていません。だからこそ現在も溜まり続けているのです。つまり動かせば必ず後世にツケを残すわけです。
増税をする時には「次世代に借金というツケを残すな」と言いながら、放射性廃棄物というツケに対しては目を瞑るのは理解できません。いったい最終処分場を設置するメドはついたのですか(問8)。またメドがつかないままでも原発再稼働や新増設を強行する可能性もありえるのですか。(問9)
さらに「もんじゅ」をはじめとする核燃料サイクルの破綻は誰の目にも明らかです。せめて核燃料サイクル計画くらいは断念を表明したらどうですか。(問10)
昨年、原子力規制委員会が設置されました。この5名の人事は国会同意人事ですが、いまだに国会の承認を受けていません。しかも野田政権が国会閉会中に緊急任命したまま退陣したため、民主党政権が選んだ人を自民党政権が国会での事後承認を求めるという奇妙な形になっています。安倍政権は先日、衆参両院に対し事後承認を求めてきましたが、前政権が選んだ人物のことを現内閣としても自信と責任を持って適切な人選だと考えているかをお伺いします。(問11)
最近、温暖化防止への気運が弱まっている感があります。従来の原発頼みの二酸化炭素削減策が行き詰まっているのも明らかです。また京都議定書の約束期間は今年度で終了します。それだけに、これ幸いと野放図に二酸化炭素を撒き散らそうという動きに対しては歯止めをかけておく必要があります。総理は先日、排出削減25%の目標を見直すように指示しました。「手抜きを画策している」などという誤ったメッセージにならないためにもしっかりと排出削減に取り組むことをここで約束してもらいたいと思います。(問12)
みんなの党は電力自由化を強く主張をしています。普通は商品というのはどの会社の製品を選ぶかは消費者が決めます。しかし電気の場合は、一般家庭の場合、住んでいる地域によって特定の電力会社を選ばざるをえない。地域独占だからです。しかもその独占企業の社長が「値上げは権利だ」などと馬鹿げたことを言っている。こんな状況を放置して良いはずがありません。地域独占を打破して競争原理を導入するのは当然のことです。以前の自民党政権の時、党内に自由化反対の声が渦巻いていたのは私も知っています。しかし大震災による原発事故以降、ようやく電力自由化の方向に踏み出しつつあります。よもや安倍政権になってこれを逆行させることはありませんね。 (問13)
外交について伺います。まず北朝鮮による拉致問題です。いうまでもなく拉致は極めて重大な主権の侵害であると同時に、極めて重大な人権の侵害です。解決のためには北朝鮮に対し「対話と圧力」の姿勢で臨むと同時に国際社会への訴えかけも必要です。その具体案としてみんなの党は昨年総選挙のアジェンダに、国連に調査委員会を設置することを提唱しています。自民党も同様の公約を掲げていましたが、政府として国連人権理事会に「北朝鮮による人権侵害の調査委員会」を設置すべく働きかけを行なうべきではないですか。(問14)
総理は外交方針として自由・民主主義・法の支配などの価値観を共有する国々との連携を模索しているようです。そういう意味では中国はこれらの価値観が一致するとは言い難い状況です。中国では共産党一党独裁の下、様々な人権侵害が続いています。3年前、民主化運動をしている劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞しましたが、政治犯として服役中のため授賞式に出席することさえできませんでした。その時、自民党議員は当時の菅首相に釈放を求めるべきだとずいぶんと詰め寄っていました。みんなの党も「劉暁波氏の釈放を求める決議案」を国会に提出しました。安倍総理は劉暁波氏を含む中国の民主活動家やチベットの独立運動家などに対する中国政府の弾圧に対してどのような姿勢でのぞむのですか。具体的には劉暁波氏の釈放は求めますか。(問15)
また自民党の公約には尖閣諸島への公務員常駐の検討が謳われていましたが、これはどうする方針ですか。(問16)
TPPについてみんなの党は速やかな交渉参加を求めています。総理は所信表明演説ではこの問題にまったく触れませんでした。一方、その翌日のテレビ番組では「参議院選前に示すべき方向性は示したい」と述べました。なぜ所信では触れなかったのですか。また態度表明の期限について国会でも明言してもらいたいと思います。(問17)
今般のアルジェリアでの事件はテロリストの卑劣さを浮き彫りにすると同時に、何の罪もない日本国民が海外で理不尽な犯罪に巻き込まれる可能性があることにもあらためて気づかされました。
国内で起こった犯罪の場合は、例えば通り魔事件のように被害者に何の落ち度もなければ、犯罪被害者等給付金という一時金を受けることが出来ます。殺人の場合であれば、最高額は 2964万円です。しかし国外で起こった犯罪の場合には、支給対象になりません。
みんなの党としては、こうした抜け穴をふさぐための法案を準備していますが、政府としては法改正についてどのように考えますか。(問18)
道州制について伺います。みんなの党は地域主権型道州制を政策の柱の一つとして掲げています。総理も第一次安倍内閣を組閣した時には道州制担当大臣を新設するなど前向きな姿勢が見られました。しかし今回の所信表明ではまったく触れないなど、最近はあまり熱意が感じられないような気もいたします。道州制の導入についてはどのようにお考えですか。(問19)
震災からの復興について所信表明では「政府の体制を大転換」すると謳っています。大転換には大賛成です。そもそも復興庁を設置する時に、みんなの党は「これは現地に置くべきだ。そして権限・財源を復興庁に与えるべきだ」と主張していました。ところができあがったのは東京都港区赤坂に本部を置く復興庁でした。しかも従来の行政の縦割りは温存されています。これでは結局、被災地の人たちは上京して各省を回って陳情しなければなりません。それどころか復興庁が出来た分、陳情先が一つ増えることになってしまいました。せっかく「体制を大転換」というならばみんなの党が主張していたように復興庁は現地に設置するようにしたらいかがですか。(問20)
天下りについて伺います。自民党の公約を見ると“「天下り」を根絶します”と明記しています。民主党も似たようなことを言っていた時期はありました。ところが政権を取ると「天下りあっせん」を禁止とトーンダウンしてしまいました。そしてあっせんがなければ構わないという妙な理屈で、結局、天下りが続いたわけです。自民党公約を普通に読めば、あっせんの有無とは関係なく天下りそのものを全面的に禁止すると読めますが、安倍内閣はそうした方針だと理解してよろしいですね。(問21)
最後に民主主義の基礎に関わる問題、一票の格差について伺います。昨年の衆議院総選挙は最高裁で違憲状態の判決を受けた区割りのままで実施されました。しかしその衆院選よりもさらに格差が大きいのが参議院選挙です。衆議院が2.43倍なのに対し、参議院は5.00倍です。5倍というのは、ある人が1票を持っているのに対し0.2票の人がいるということであり、とても許されません。国民は皆「一人一票」であるべきです。
一応、今年夏の参議院選挙では4増4減が実施され、格差は4.75倍に縮小しますが、議論の過程は非常に奇妙なものでした。民主党は格差約3倍の改正案を提示し、自民党は約4倍の改正案を主張していました。3倍、4倍というそれ自体が不十分ですが、両党が妥協した合意案は4.75倍でした。片方が3倍、もう片方が4倍を主張して3.5倍で妥協したならばまだ分かります。なんで4.75倍になるんですか。これを安倍総理の責任と言うつもりはありませんが、自民党総裁でもある総理にお伺いします。一票の格差をなくし、衆参通じて「一人一票」の実現を求めるという我が党の姿勢について見解をお伺いして、私の質問を終わります。(問22)
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2013.02.01
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