みんなの党と維新の会の幹事長同士の話し合いで、夏の参院選で千葉県は維新が候補を立てて、みんなの党がそれを推薦することで合意している。今夕はみんなの党の千葉県地方議員たちと維新の候補予定者の初顔合わせの会が予定されている。選挙に向けてうまくキックオフできればよいが。
- TOP >
- ブログアーカイブ
原子力ムラの闇
2013.04.26
予算委員会では昨年来、東電から多額の顧問料を貰っていた政府の原子力委員・尾本彰氏を追及してきたが、ようやく先月辞任に追い込めた。しかしまだまだ原子力村の癒着体質は根深いものがあるようだ。連休明けの予算委員会などで追及するかもしれない。
同意人事案
2013.03.27
同意人事案35人の採決が衆議院で明日、参議院で明後日行われる方向。提示案のうち人事官と検査官の候補者は不適任との見方が強い。先日の候補者ヒアリング以降「この人選は問題だ」と多くの議員が思うようになった。否決されれば安倍政権発足後初めてのことになる。週末まで目が離せない。
代表質問の原稿
2013.02.01
本日の参議院本会議で私がみんなの党の代表質問を行ない、安倍首相に論戦を挑むことになっている。
登壇は11時頃から、NHK生中継される。
一問一答の予算委員会とは違い、一方的に質問するため(質問は20分)、全文を事前通告する慣行になっている。その慣行に従って事前通告をしたが、政府に提出した文章と同じ文章を以下に掲載する。
--------------------------
みんなの党の水野賢一です。みんなの党を代表して質問いたします。
さて召集日の所信表明演説で総理は、経済再生や震災復興の重要性について強調していました。これらが極めて重要な課題だということについては何の異論もありません。しかしその解決のための具体策にはほとんど触れていませんでした。曰く「世界一を目指そう」、曰く「未来を切り拓く」と言っても、裏付けとなる政策が曖昧では経済再生も震災復興も言葉だけに終わってしまいます。また他にも重要項目でありながら所信表明では一言も言及していない課題が数多くありました。それらについては施政方針演説の時にあらためて述べるということなのかもしれませんが、正直、期待外れの感は否めません。
そこで質疑を通じて、具体的政策について質していきたいと思います。まず経済対策です。総理はデフレ脱却のために政府と日銀が緊密な連携を図る必要があるとおっしゃいました。私たちもそう考えています。考えているからこそ、今の日銀法のままではそれが実現できないとして、これまで4回にわたって国会に日銀法改正案を提出してきました。所信表明では法改正については一切触れていませんでしたが、なぜですか?現行の日銀法のまま、運用だけ改善するというのでは不十分です。法改正こそ王道と考えますがいかがですか?(問1)
まもなく任期切れを迎える日銀総裁・副総裁の人事も極めて重要です。我が党の渡辺喜美代表は「財務事務次官の天下りは認めない」ということに加え、適任者の3条件としてマクロ経済学の博士号を持っていることなどを挙げていますが、総理は日銀総裁の資質や出身母体について、どのようなことを必要条件として考えておられますか。(問2)
経済再生のために最も大切なことは景気に悪影響を与えることはしないということです。デフレ状況下で消費税を上げることほど景気に悪いことはありません。だからこそみんなの党は昨年の増税法案には徹底して反対しました。
この消費税増税法では一応、経済状況が悪い場合には増税停止もありえることになっています。こうした判断をいつまでにするという期限が法律上、決まっているわけではありませんが、安倍内閣としては増税を実施するか否かの最終判断はいつまでに行なうのですか。(問3)
また税率を10%に上げる時には、軽減税率を導入する方針を決めたとのことです。世論調査を見ても軽減税率導入への支持は高いようです。生活必需品には軽減税率を適用するというのは確かにもっともらしく聞こえます。しかし大きな懸念もあります。どの品目の税率を軽減するかは官僚や族議員の匙加減一つで決まってくるからです。軽減税率の品目に選ばれるかどうかは関係業界にとって死活問題です。それだけに、こうした匙加減をする人たちの権限拡大にもつながるわけです。こうした懸念についてはどう考えますか(問4)
税制についてはもう一つ問い質さなければなりません。道路特定財源の復活問題です。与党の税制改正大綱では自動車重量税を「道路の維持管理・更新等のための財源として位置づけ」るとしています。これを見ればまさに道路特定財源の復活ではないですか。自民党税調幹部が特定財源ではないと釈明したようですが、安倍総理にも確認します。まさか道路特定財源の復活ということはありませんね。(問5)
そもそもこの制度はかつて自民党政権自身が廃止して一般財源化したはずではないですか。党内の根強い抵抗を押し切って無駄使いの温床たる特定財源を廃止したのは英断でした。それをもし復活させるというのであれば、古い自民党の復活そのものではありませんか。
私たちは何も道路を一本も作るな、補修もするなと言っているわけではありません。本当に必要ならば一般財源から充当すれば良いんです。せっかくの税金を「道路にしか使えない」「使わせない」として道路を聖域にするのがおかしいと言っているだけです。「一般財源化は必ず堅持する」と政府の公式見解として明言してもらいたいと思います。(上と併せて問5)。
身を削る改革について伺います。昨年の衆議院解散直前の党首討論を受け、国会議員定数を削減するという方向性はあるようです。問題はそこにかける情熱です。「実現すればよし、しなくてもまあ仕方がない」くらいの姿勢では、身を削る改革が進むはずはありません。総理がどのくらいの覚悟を持っておられるのか、政治生命を賭するほどの覚悟があるのかをお伺いします。(問6)
身を削る話で言えば、昨年の解散でうやむやになってしまったこともあります。解散の前日、一つの法案が衆議院を通過しました。議会雑費を廃止する法案です。議会雑費というのは衆参両院の委員長などが国会開会中に毎日6千円ずつ受け取る手当のことです。土日休日も関係なく支給されるので今国会ならば会期150日で90万円の手当が出ます。こんな意味不明な支出はやめようということで、昨年秋の国会で現在与党の公明党も含めて議員立法が出されましたが、唯一自民党だけが反対しました。それでも当時は自民党は衆議院で少数派ですから可決され参議院に送られてきましたが、審議入りする前に解散となり、法案は廃案となりました。消費税増税など国民に負担を押しつけていながら身を削る方はさっぱりというのでは通用しません。こんな制度は廃止すべきではないですか。(問7)
エネルギー・環境政策について伺います。みんなの党は脱原発という立場を明確にしています。原発は一度事故が起きた時の深刻な影響ももちろんですが、安全に操業したとしても、運転すれば必ず高レベル放射性廃棄物が出ます。しかもその廃棄物は数万年以上も高い放射線を出し続けるわけです。その処分については、地下深くに埋めるということまでは決まっています。しかしどこに埋めるのかはまったく決まっていません。だからこそ現在も溜まり続けているのです。つまり動かせば必ず後世にツケを残すわけです。
増税をする時には「次世代に借金というツケを残すな」と言いながら、放射性廃棄物というツケに対しては目を瞑るのは理解できません。いったい最終処分場を設置するメドはついたのですか(問8)。またメドがつかないままでも原発再稼働や新増設を強行する可能性もありえるのですか。(問9)
さらに「もんじゅ」をはじめとする核燃料サイクルの破綻は誰の目にも明らかです。せめて核燃料サイクル計画くらいは断念を表明したらどうですか。(問10)
昨年、原子力規制委員会が設置されました。この5名の人事は国会同意人事ですが、いまだに国会の承認を受けていません。しかも野田政権が国会閉会中に緊急任命したまま退陣したため、民主党政権が選んだ人を自民党政権が国会での事後承認を求めるという奇妙な形になっています。安倍政権は先日、衆参両院に対し事後承認を求めてきましたが、前政権が選んだ人物のことを現内閣としても自信と責任を持って適切な人選だと考えているかをお伺いします。(問11)
最近、温暖化防止への気運が弱まっている感があります。従来の原発頼みの二酸化炭素削減策が行き詰まっているのも明らかです。また京都議定書の約束期間は今年度で終了します。それだけに、これ幸いと野放図に二酸化炭素を撒き散らそうという動きに対しては歯止めをかけておく必要があります。総理は先日、排出削減25%の目標を見直すように指示しました。「手抜きを画策している」などという誤ったメッセージにならないためにもしっかりと排出削減に取り組むことをここで約束してもらいたいと思います。(問12)
みんなの党は電力自由化を強く主張をしています。普通は商品というのはどの会社の製品を選ぶかは消費者が決めます。しかし電気の場合は、一般家庭の場合、住んでいる地域によって特定の電力会社を選ばざるをえない。地域独占だからです。しかもその独占企業の社長が「値上げは権利だ」などと馬鹿げたことを言っている。こんな状況を放置して良いはずがありません。地域独占を打破して競争原理を導入するのは当然のことです。以前の自民党政権の時、党内に自由化反対の声が渦巻いていたのは私も知っています。しかし大震災による原発事故以降、ようやく電力自由化の方向に踏み出しつつあります。よもや安倍政権になってこれを逆行させることはありませんね。 (問13)
外交について伺います。まず北朝鮮による拉致問題です。いうまでもなく拉致は極めて重大な主権の侵害であると同時に、極めて重大な人権の侵害です。解決のためには北朝鮮に対し「対話と圧力」の姿勢で臨むと同時に国際社会への訴えかけも必要です。その具体案としてみんなの党は昨年総選挙のアジェンダに、国連に調査委員会を設置することを提唱しています。自民党も同様の公約を掲げていましたが、政府として国連人権理事会に「北朝鮮による人権侵害の調査委員会」を設置すべく働きかけを行なうべきではないですか。(問14)
総理は外交方針として自由・民主主義・法の支配などの価値観を共有する国々との連携を模索しているようです。そういう意味では中国はこれらの価値観が一致するとは言い難い状況です。中国では共産党一党独裁の下、様々な人権侵害が続いています。3年前、民主化運動をしている劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞しましたが、政治犯として服役中のため授賞式に出席することさえできませんでした。その時、自民党議員は当時の菅首相に釈放を求めるべきだとずいぶんと詰め寄っていました。みんなの党も「劉暁波氏の釈放を求める決議案」を国会に提出しました。安倍総理は劉暁波氏を含む中国の民主活動家やチベットの独立運動家などに対する中国政府の弾圧に対してどのような姿勢でのぞむのですか。具体的には劉暁波氏の釈放は求めますか。(問15)
また自民党の公約には尖閣諸島への公務員常駐の検討が謳われていましたが、これはどうする方針ですか。(問16)
TPPについてみんなの党は速やかな交渉参加を求めています。総理は所信表明演説ではこの問題にまったく触れませんでした。一方、その翌日のテレビ番組では「参議院選前に示すべき方向性は示したい」と述べました。なぜ所信では触れなかったのですか。また態度表明の期限について国会でも明言してもらいたいと思います。(問17)
今般のアルジェリアでの事件はテロリストの卑劣さを浮き彫りにすると同時に、何の罪もない日本国民が海外で理不尽な犯罪に巻き込まれる可能性があることにもあらためて気づかされました。
国内で起こった犯罪の場合は、例えば通り魔事件のように被害者に何の落ち度もなければ、犯罪被害者等給付金という一時金を受けることが出来ます。殺人の場合であれば、最高額は 2964万円です。しかし国外で起こった犯罪の場合には、支給対象になりません。
みんなの党としては、こうした抜け穴をふさぐための法案を準備していますが、政府としては法改正についてどのように考えますか。(問18)
道州制について伺います。みんなの党は地域主権型道州制を政策の柱の一つとして掲げています。総理も第一次安倍内閣を組閣した時には道州制担当大臣を新設するなど前向きな姿勢が見られました。しかし今回の所信表明ではまったく触れないなど、最近はあまり熱意が感じられないような気もいたします。道州制の導入についてはどのようにお考えですか。(問19)
震災からの復興について所信表明では「政府の体制を大転換」すると謳っています。大転換には大賛成です。そもそも復興庁を設置する時に、みんなの党は「これは現地に置くべきだ。そして権限・財源を復興庁に与えるべきだ」と主張していました。ところができあがったのは東京都港区赤坂に本部を置く復興庁でした。しかも従来の行政の縦割りは温存されています。これでは結局、被災地の人たちは上京して各省を回って陳情しなければなりません。それどころか復興庁が出来た分、陳情先が一つ増えることになってしまいました。せっかく「体制を大転換」というならばみんなの党が主張していたように復興庁は現地に設置するようにしたらいかがですか。(問20)
天下りについて伺います。自民党の公約を見ると“「天下り」を根絶します”と明記しています。民主党も似たようなことを言っていた時期はありました。ところが政権を取ると「天下りあっせん」を禁止とトーンダウンしてしまいました。そしてあっせんがなければ構わないという妙な理屈で、結局、天下りが続いたわけです。自民党公約を普通に読めば、あっせんの有無とは関係なく天下りそのものを全面的に禁止すると読めますが、安倍内閣はそうした方針だと理解してよろしいですね。(問21)
最後に民主主義の基礎に関わる問題、一票の格差について伺います。昨年の衆議院総選挙は最高裁で違憲状態の判決を受けた区割りのままで実施されました。しかしその衆院選よりもさらに格差が大きいのが参議院選挙です。衆議院が2.43倍なのに対し、参議院は5.00倍です。5倍というのは、ある人が1票を持っているのに対し0.2票の人がいるということであり、とても許されません。国民は皆「一人一票」であるべきです。
一応、今年夏の参議院選挙では4増4減が実施され、格差は4.75倍に縮小しますが、議論の過程は非常に奇妙なものでした。民主党は格差約3倍の改正案を提示し、自民党は約4倍の改正案を主張していました。3倍、4倍というそれ自体が不十分ですが、両党が妥協した合意案は4.75倍でした。片方が3倍、もう片方が4倍を主張して3.5倍で妥協したならばまだ分かります。なんで4.75倍になるんですか。これを安倍総理の責任と言うつもりはありませんが、自民党総裁でもある総理にお伺いします。一票の格差をなくし、衆参通じて「一人一票」の実現を求めるという我が党の姿勢について見解をお伺いして、私の質問を終わります。(問22)
通常国会召集
2013.01.31
1月28日に通常国会が召集されました。
これから6月半ばまでは国会の会期中となります。
召集日に安倍首相による所信表明演説が行なわれ、衆参両院での各党の代表質問から論戦・審議が始まっていきます。
みんなの党は衆議院では渡辺喜美代表が、参議院では私・水野賢一が代表質問に立ちます。
追及すべきは追及して、提案すべきは提案するという真摯な議論を通じて政策の実現を図っていきたいと思います。
衆議院総選挙を前にして
2012.12.03
衆議院総選挙を前にして政党が離合集散している。一時期は14~15に上っていた政党が、いくつかのグループに収斂してきたような感がある。選挙目当てといえば選挙目当てには違いないが、小選挙区制度の下ではある程度必然の動きのようにも思える。
そもそも小選挙区制度というのは二大政党に圧倒的に有利な制度である。小選挙区というのは「1位になった者だけが当選」という仕組みである。中小政党が民主党、自民党の候補を押しのけて1位になることは至難の業である。
3年前の総選挙を見てみると300小選挙区のうち民主党と自民党という二大政党のいずれかが勝利した選挙区は285に上っている(注1)。逆に言うと二大政党以外の候補者が小選挙区を制したのはわずかに15選挙区にすぎない(注2)。小選挙区制度が導入される時、「政権交代可能な二大政党制を作る」ことが大義名分として喧伝されたが、幸か不幸かそうした状況が出現しているのは事実である。
ただでさえ勝ち抜くことが難しい小選挙区にいわゆる第三極が複数立候補すれば、さらに当選確率は下がる。票が割れてしまうからである。そこでなるべくお互いにぶつからないようにするというのは、選挙戦略上は理解できる。そうした協力をより一歩進めると政党同士の合流・合併につながっていく。その具体的な表われが「日本維新の会」と「太陽の党」の合併であり、嘉田新党(日本未来の党)への小沢一郎氏や河村たかし氏らの合流なのだろう。
こうした動きは選挙に勝つという一点からみれば当然のことである。しかしそれも行き過ぎると野合である。みんなの党は常に政策本位を掲げてきた。いかに選挙のためとはいえ基本政策を棚上げして合流・合併することは避けてきたつもりである。そのため今回の総選挙は単独で戦うことになった(他党と候補者を推薦する可能性はあるが)。
小選挙区制の下で中小政党が単独で戦うことはなかなか難しいのは先に述べてきた通りである。しかし右往左往せずに筋を通す政党が一つくらいあっても良いのではないかと思っている。
心ある方々の御理解・御支援をいただければ幸いである。
注1)総選挙における300小選挙区の獲得議席は、
二大政党 うち民主党 うち自民党
2003年総選挙 273 105 168
2005年総選挙 271 52 219
2009年総選挙 285 221 64
注2)前回総選挙で二大政党の候補者以外で小選挙区で勝利した主な例は、
渡辺喜美(栃木3区・みんなの党)、江田憲司(神奈川8区・みんなの党)、中村喜四郎(茨城7区・無所属)、辻元清美(大阪10区・社民党=当時)、平沼赳夫(岡山3区・無所属=当時)、亀井静香(広島6区・国民新党=当時)
BS朝日『ごごいち!ニュースキャッチ』出演
2012.10.22
水野賢一事務所です。
水野賢一がテレビに生出演いたしますので、
ご案内申し上げます。
2012年10月23日(火)13:00-14:00
BS朝日『ごごいち!ニュースキャッチ』
※13:10~13:30(目処)のコーナーに出演します。
《主な内容》
○『“近いうち”解散はいつ?臨時国会召集は・・・』をテーマに、民主、自民、公明、みんなの党、それぞれ参議院論客者が集まり討論形式でじっくり話を進めていく予定です。
是非ご覧下さい!
千葉テレビ『NEWSチバ930』出演
2012.10.17
水野賢一事務所です。
水野賢一が千葉テレビ『NEWSチバ930』に出演
いたしますので、ご案内申し上げます。
2012年10月19日(金) 21:30-
千葉テレビ 「NEWSチバ930」
《主な内容》
○国政の現状認識
○解散時期について
○総選挙に向けた活動
ぜひご覧下さい!
消費税増税法案の成立について
2012.08.17
消費税増税法案の成立について
~民自公三党による国会運営に抗議!~
◆増税法案の成立
「社会保障と税の一体改革関連8法案」が成立した。簡単に言えば消費税増税法案が成立したということである。これで消費税率は2014年4月から8%に、翌2015年10月には10%に上がることが確定した。
みんなの党はこの増税法案には一貫して反対だったが、賛成派の民主党、自民党、公明党の三党の数に押し切られた形になる。とはいえ増税賛成の三党の中にも思惑の違いがあった。早期解散を求める自民党は「解散の言質を取り付けるまでは簡単に賛成とはいえない」という姿勢を取ったので、採決直前の野田・谷垣会談まで法案の成否は不透明だった。
◆各党の立場
この間の各党の立場を整理してみると次のようになる。みんなの党は増税には反対、解散は要求するというものだったので「増税なし・解散あり」の立場だった。与党・民主党は「増税あり・解散なし」という姿勢だった。解散すれば惨敗の恐れがある以上、当然のことだろう。
他方、自民党は「増税あり・解散あり」であり、小沢一郎氏の新党(国民の生活が第一)は選挙基盤の弱い新人議員が多いため「増税なし・解散なし」の立場だったと推察される。表にすれば以下の通りである。
増税法案 衆議院解散
民主党 賛成 なし
自民党 賛成 あり
生活(小沢新党) 反対 なし
みんなの党 反対 あり
民主党としては増税法案だけ成立させて、解散は先送りというのが理想だっただろうが、ねじれ国会の中では自分たちの主張だけでは法案が通らない。そこで同じ増税派の谷垣自民党総裁と話し合った末、「近いうちに」解散することで折り合ったわけである。しかし国民生活に密着する重要法案を成立させてから「近いうちに」解散するという方針自体が間違っている。先に解散をして国民に信を問うてから重要法案を審議するというのが筋だろう。まして前回総選挙の時の民主党マニフェストでは増税を約束していないのだからなおさらである。
◆みんなの党の立場
みんなの党はなぜ増税に反対したのか。手続きと内容に大きな問題があるからである。手続き上の最大の問題は、マニフェスト違反ということである。ただこれについては多くの人が論じ尽くしているので、ここではそれ以上触れない。
それ以外にも増税の前にやるべきことをやっていないということも指摘しなければならない。無駄遣いの温床とされる特別会計、特定財源、独立行政法人などにメスを入れることも不十分である。
しかも国会議員や官僚が身を削ることにも腰が引けている。「国民に負担を求める前にまず身を削るべきではないか」という批判の前に、確かに今年5月から国会議員歳費は12.8%カットされた。しかしこれは2年限定の措置である。消費税増税が恒久措置であるのに、なぜ身を切る方は2年限定なのかさっぱり分からない。ちなみにみんなの党は国会議員の歳費3割、ボーナス5割カットを主張し、そうした法案を過去6回にわたって提出しているが、残念ながら他党に黙殺される形で採決に付されることもないままたなざらしにされている。
増税法案は内容面でも問題がある。そもそもデフレ下での増税自体が経済学の理論に反している。さらに問題なのが税の使途である。当初、政府はこのように説明していた。「年々、社会保障費は伸びている。この社会保障費の伸びをまかなうには消費税増税しかない」。
ところが民自公三党の協議の中で、国土強靭化を名目に公共事業に使う余地まで出てくるようになった。「増税で財政にゆとりができた分をそちらに回すので、消費税そのものを公共事業に充てるのではない」という説明もあるが、結局は同じことである。当初の説明との整合性を問われるためにそうした苦し紛れの説明をせざるを得ないのだろう。
◆三党による国会運営を打破
最近の国会運営を見ると民自公の三党が合意をすればあとは何でもありという姿勢が多くみられる。道理が通らなかろうが何であろうが、あとは問答無用で押し切るという姿勢である。衆参両院のいずれでも民自公三党を合計すると議席の占有率は約8割を占めている(最近、民主党から離党者が相次いでいるため占有率は下がったとはいえいまだに8割はある)。それだけにこの数の力で何でも可能になってしまう。
ただこれを嘆いているだけでは始まらない。近いうちに予想される総選挙においてみんなの党として躍進することで、三党による国会運営を打破すべく力を尽くさなければならないと感じている。
原子力発電について
2012.05.24
原子力発電について
~トイレなきマンションとは?~
◆経営責任はどうなる?
昨年に続いて2年連続で電力不足の夏になりそうだ。とはいえ昨年と今年では違いもある。昨年の供給力不足の原因は東日本大震災で発電所が甚大な被害を受けたことだった。そのため電力使用制限令が出されたのは東京電力と東北電力の管内だった。それに対して今年最も深刻な電力不足が叫ばれているのは直接の被災地ではない関西電力管内である。原子力発電所がすべて停止したためである。原発は関西地域だけでなく全国すべてで停止しているが、関西電力はとりわけ原発依存度が高かった。そのため電力需給が特に逼迫しているわけである。
「だからこそ原発再稼働が必要だ」という声も上がっている。しかし「ちょっと待った」と言いたい。そもそも原子力発電というのはリスクが高い電源である。それを知りながら積極的に導入していたのが関西電力である。今回、それが裏目に出たことになる。そうである以上、経営者の判断が正しかったのかどうかが問われるのは当然だろう。東電幹部が事故の責任を問われるべきならば、関電幹部は経営責任を問われるべきなのである。現に原発を一基も設置していない沖縄電力は昨年も今年も電力不足とは無縁である。そうした中、安価な電源だから(本当に安価かどうかはかなり疑問があるが)と多くの原発を立地したのが関電だった。この責任を明確にしないまま再稼働の必要性だけを力説しても説得力に欠けると言わざるを得ない。
◆原発からの廃棄物
さて関電の話から離れて今後の原発政策全体を考えてみたい。みんなの党は脱原発を打ち出している。もちろんその背景には事故の危険性ということもある。だが事故だけが原発の問題ではない。仮に安全に操業したとしても原発の稼働は確実に将来に大きなツケを残すことになる。放射性廃棄物というツケである。私自身はむしろこの点こそ原子力発電の最大の弱点だと考えている。
原子力発電の燃料は基本的にはウランである。しかし燃料である以上、当然のことながら使えば減る。そこで約1年ごとの定期検査の時に順次取り換えている。問題はここで取り出した使用済みの燃料をどうするかである。使用済み燃料の中にはまだ利用できる有用な物質も含まれているので、それを抽出するということもありえる(これを再処理という)。それでもすべての部分が再利用できるわけでないため、いずれにしても捨てざるを得ない部分は出てくる。つまり捨て場所を確保しなければならない。
捨てるといっても簡単な話ではない。高レベル放射性廃棄物と呼ばれる極めて強い放射性物質だからである。再処理した場合でいうと、廃棄物は液体なのでそのままにしておくのは危険である。そこでまずはガラスで固める。ちょうどステンドグラスの中の染料が何百年も色落ちせずに、外に漏れ出さないのと同じ状態にするわけである。そしてガラスで固めた放射性物質はキャニスターと呼ばれる高さ1.3mくらいのステンレス製の容器に入れて廃棄することになっている。
◆決まらない捨て場所
問題はこの捨て場所である。キャニスターの表面近くにいると約20秒で致死量の放射線を浴びるため、とても普通に捨てるわけにはいかない。結局、地下深くに埋めて隔離することまでは決まっている。2000年に成立した「特定放射性廃棄物最終処分法」では深さ300mよりも深いところに埋めることを定めている。
ところが肝心のどこに埋めるかが決まっていないのである。近い将来に決まる見込みもまったくついていない。普通のゴミ処理場でも建設反対運動があるのだから、放射性廃棄物となれば当然だろう。この最後の行き場にまったく目途がついていないという点こそ原発の最大の泣き所である。このことはちょうど「トイレなきマンション」のようなものだと指摘されている。安全に操業していても必ず出てくるにもかかわらず、その捨て場が決まっていないのだから言い得て妙である。
しかも廃棄物の危険は極めて長期にわたって続く。代表的な放射性物質であるプルトニウムの半減期は2万4千年である。子や孫の世代どころか何百世代後の人たちにまでツケを残すわけである。野田政権は「子どもたちにツケを残さない」といって消費税増税を企図している。しかしその一方で放射性廃棄物というツケを残すことへの反省はないようである。
実は“捨て場所探し”は仮に原発をいますぐ全廃したとしてもやらなければならないことではある。日本で原発が稼働し始めてから今年で46年である。その間に溜まってきた放射性廃棄物があるからである。今はこの分は捨て場が決まらないまま溜めている状態である(放射性廃棄物は発熱するため埋める前に数十年は冷ます期間が必要だという面もあるが)。
再稼働するということはこの核のゴミをさらに増やすということと同義である。しかし原発事故から1年余り、この処理については何の前進もない。この問題に何の目途もつけないまま「電気が足りないので再稼働させてください」というのはいかにも拙速ではないだろうか。
月別アーカイブ
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年3月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年10月
- 2012年8月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2010年10月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年1月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年3月
- 2009年1月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年9月
- 2007年5月
- 2007年2月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年4月
- 2005年8月
- 2005年6月
- 2004年10月
- 2004年8月
- 2004年7月
- 2004年4月
- 2004年2月
- 2003年10月
- 2003年9月
- 2003年8月
- 2003年7月
- 2003年6月
- 2003年5月
- 2002年12月
- 2002年11月
- 2002年10月
- 2002年9月
- 2002年8月
- 2002年5月
- 2002年4月
- 2002年3月
- 2002年2月
- 2002年1月
- 2001年12月
- 2001年11月
- 2001年10月
- 2001年8月
- 2001年7月
- 2001年6月
- 2001年5月
- 2001年4月
- 2001年2月
- 2000年6月
- 2000年5月
- 1999年4月