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けんいちブログ

地球温暖化を防止するために

2008.06.01

『地球温暖化を防止するために』

地球温暖化対策は待ったなしの状況になっている。取リ組みの第一人者 · 水野賢一衆議院議員に話を聞いた。

Q1 水野さんは地球温暖化問題に熱心に取り組んでいますがどうしてですか?

水野:人類を含む地球上の多くの生物の存続に関わる重大問題だからです。気温が1℃上昇するとマラリアなどの感染症で死亡する人が30万人増加し、水不足で苦しむ人が5000万人増えると予測されていますが、このままだと最悪の場合、今世紀末までに気温が6.4℃も上昇するとされています。もちろん経済的な打撃も深刻です。温暖化によって世界のGDPは5~20%減になると危惧されています。こうした悪影響を食い止めるためには病気と同じで早めの対策が必要だと思います。
(注)気温上昇の予測や被害の予测はIPCC第4次許価報告書やスターン · レビューによる。

◆温暖化と生物多様性
地球上には6000種の哺乳類をはじめ昆虫 · 植物 · 菌などを合計すると175万種の生物が確認されている。未確認のものを含むと500~3000万種の生物が生息していると見られるが、近年は毎年4万種も絶滅していると推定されている。そのすべての原因が温暖化だとはいえないにせよ大きな影響を与えていることは問違いない。最近では温暖化の影響でホッキョクグマの絶滅が危惧されており、現にカナダのハドソン湾では海水面積の滅少によりホッキョクグマが狩りができなくなり平均体重が295kg(1980年)から230kg(2004年)になってしまったという研究報告もある。

Q2 二酸化炭素(C02)の排出が問題になっていますね。

水野:大気の中の二酸化炭素(C02)濃度はわずか0.04%弱にすぎませんが、この微量なC02濃度が徐々に上昇していることが地球温暖化を引き起こしています。C02は石炭や石油といった化石燃料を燃やす時に発生します。それだけに化石燃料の消費をできるだけ抑制することやCO2を出さない新エネルギーを普及させることが大切です。

◆大気の成分
大気の成分は
窒素  78.08%
酸素  20.95%
アルゴン  0.93%
二酸化炭素  0.04%
※0.04%とは400ppmのこと。二酸化炭素濃度は250年ほど前に産業革命が始まる以前は280ppmだったが、現在では380ppmにまで上昇している。

◆他の温室効果ガス
温暖化を引き起こすガスとしては二酸化炭素以外にもメタン、一酸化二窒素、代替フロンなど多くあり温室効果ガスと総称される。ただ日本の場合、温室効果ガスの95%が二酸化炭素である。これに対しニュージーランドでは羊や牛のげっぶに含まれるメタンが温室効果ガスの35%を占めている。

Q3 政策として何をすべきですか?

水野:これさえやればすぐに解決という特効薬はないので総合的な取り組みが必要ですが、例えば自然エネルギーの普及はーつの柱でしょう。福田首相も国内での太陽光発電の導入量を2020年には現在の10倍、2030年には40倍にするという目標を発表しましたが、こうした政策を後押ししていきます。他にも森林はC02を吸収するので、その保全にも努めなければなりません。また東京都は2010年から大量排出源に対して排出制限を独自にかけ始める予定ですが、国としてもこうした規制策を全国的に実施する必要があります。

Q4 水野さんは環境派の急先鋒としてずいぶんと経済産業省や産業界と対決してきましたね。

水野:国内の二酸化炭素排出を見ると8割が企業からで2割が家庭からです。そこで私は大口排出企業の二酸化炭素排出量を公表すべきだとかねてから主張していました。データがなければ効果的な対策も取れませんから。ところが経済産業省やー部産業界は「企業秘密だ」として隠そうとし続けました。まったく後ろ向きの姿勢と言わざるをえません。結局、私が党の環境部会長だった時に排出量公表を義務化する法律を成立させましたが、今後も反対があっても必要な政策は毅然として推進していくつもりです。もちろん省エネに真挚に取り組んでいる企業に対しては評価を惜しみませんよ。

◆温室効果ガスの大口排出事業者(06年度)
①JFEスチール 6029万トン
②新日本製鉄 5934万トン
③住友金属工業 2214万トン
日本全国の06年度の温室効果ガス排出量が13億4千億トンなので上位3社で11%を占めていることになる。
(注)単位はいずれも二酸化炭素トン

Q5 地球環境は日本が国際的にリーダーシップをとっていくべき分野ですね。

水野:その通りです。温暖化防止は地球全体の問題ですから他国にも働きかけ力を合わせて取り組まなければなりません。そのためにもまず京都議定書で約束した6%削減という約束を確実に達成しなければなりません。日本が議長国になってまとめたこの条約を日本自身が守れないようでは発言力をなくしてしまいますから。

◆京都議定書とは
温室効果ガスの排出を削除するために1997年に京都で結ばれた国際条約。先進国の二酸化炭素排出量を1990年に比べて2008~12年に5%削減することを狙いとしている。日本は同期間で6%削減することを約束しているが、実際には06年度は90年比で6.296増加してしまっている。
 

成人年齢の引き下げをどう考えるか

2008.05.01

「成人年齢の引き下げをどう考えるか」
~国民的な合意を得ることが必要~

成人年齢を引き下げるべきかどうかの議論が浮上している。この問題についてどう考えるか水野賢一衆議院議員に聞いた。

Q1 今の法律の中には20歳で大人扱いするものと18歳で大人扱いするものが両方ありますね。

水野:20歳を基準としている代表的なものが民法と公職選挙法です。民法第4条は「年齢二十歳をもって、成年とする」としていますし、公職選挙法では20歳になると選挙権が与えられます。一方、18歳で分けている法律としては、例えば普通免許の取得を18歳以上としている道路交通法があります。また児童福祉法、労働基準法も18歳を基準としていますね。最近は民法や公職選挙法の年齢制限も20歳から18歳に引き下げるべきかどうかの議論が起きています。

◆年齢に関するその他の法律
有名な“タバコとお酒は20歳から”というのはそれぞれ未成年者喫煙禁止法、未成年者飲酒禁止法という法律で決まっている。一方、風俗営業法はパチンコ店への入店を18歳以上としている。

◆民法の成人年齢が引き下げられると・・
民法は未成年者は親権者の同意なく契約(ローンなど)や結婚はできないとしている。そのため成年が18歳に引き下げられると18歳で自分自身の意思だけで契約行為や結婚が可能となる。
 
Q2 どうして引き下げの議論が浮上してきたのですか?

水野:直接のきっかけは07年に国民投票法という法律が成立したことです。この法律は憲法改正の是非を問う国民投票を実施する時には原則18歳以上を有権者とすると定めました。そして法律の附則には成人年齢を20歳と定めた民法の規定や選挙権年齢を20歳以上とした公職選挙法の規定を3年以内に再検討すると書かれています。ここから議論が急浮上してきました。

◆国民投票法とは
日本国憲法を改正する時には「衆参両院のそれぞれで3分の2の賛成→国民投票で過半数の賛成」という手統きが必要である。実際にはこれまでこの国民投票が実施されたことはなく、投票のルールさえ决まっていなかった。これを定めたのが07年に成立した国民投票法である。有権者について与党は20歳以上を主張していたが、民主党が18歳以上(例外的には16歳以上も)を唱え、結局、原則18歳以上で与野党合意した。
 
Q3 今後3年以内に民法の成人年齢などを引き下げるということですか?

水野:引き下げると決まっているわけではありません。今の段階で決まっているのは検討するということであって、その結果必要ならぱ引下げもありえるというだけです。そこで例えば法務省も民法の成人年齢を引き下げるべきかどうか審議会に諮問して今年中に答申を得ることにしています。ただ国民生活に深く関わることですから、審議会のー部の人たちだけの意見で決めるのではなく国民の間での幅広い議論が必要だと思いますね。
 
Q4 水野さん自身はどう考えていますか?

水野:議論は大いに結構だと思いますね。「18歳は精神的にまだ未熟だ」として引き下げに反対の意見もあるでしょうし、逆に「自覚や責任を促すためにも引き下げるべきだ」という声もあるでしょう。こうしたことを広く国民の間で議論すべきだと思います。ただ20歳が成人年齢というのは民法が1896年に制定されて以来、ずっと続いていることですから定着しているのも事実です。それを変えるというのであれば、社会的な合意も必要だと思います。大多数の国民が知らないうちにいつの間にか決められてしまった、などということは避けるべきでしょう。

◆諸外国の成人年齢
諸外国の成人年齢は以下の通りである。
15歳・・・イラン
18歲・・・イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ(大半の州)、中国
20歳・・・韓国、タイ、ニュージーランド
21歳・・・マレーシア
 
◆昔の日本は・・・
昔の成人式ともいうべき「元服」の慣習は奈良時代に始まったが15歳前後で元服するというのがー般的だった。なお選挙権年齢は1890年の第1回衆議院選挙は25歳だった(ただし当時は高額納税の男子のみだった)。20歲に引き下げられたのは戦後である。
 
Q5 この話は民法以外にも波及する可能性がありますよね。

水野:大いにあります。年齢条項を含んだ法律は民法、公職選挙法をはじめとして191本もあります。それだけに法律ごとに丁寧に見ていく必要もありますね。例えば少年法では20歳未満は「少年」として犯罪を犯してもかなり保護されていますが、これは18歳に引き下げてもよいのではないかと思います。逆に健康を考えれば飲酒喫煙年齢は引き上げることもありえるでしょう。いずれにせよ国民生活に深く関わる問題ですから幅広く検討することが必要ですね。

◆少年法とは
少年法は少年が非行を犯した時のことについて規定している。例えば少年犯罪は一般の刑事裁判ではなく非公開の少年審判によって処分を決めることなどを定めている。なお犯罪少年を実名報道しないことは少年法61条に定められている。

ガソリン税をどう考えるか

2008.02.01

「ガソリン税をどう考えるか」
~道路にしか使えない現状を打破すべき~

ガソリン税をめぐる議論が活発になっている。この問題についてどう考えるか水野賢一衆議院議員に聞いた。

Q1:ガソリン税が話題になっていますが、どういう税金なのですか?

水野:ガソリンには消費税以外にも1あたり53.8円の税金がかかっています。これがガソリン税です。同様に軽油には軽油引取税という税金が32.1円かかっています。ガソリンスタンドで軽油の価格の方が安いのはかかっている税金が安いからなのです。ちなみにタクシーなどで使われるLPガスに石油ガス税が課されています。消費税以外はいずれも道路整備のためだけに使われてきたので道路特定財源と呼ばれています。

Q2:民主党はこのガソリン税を下げるべきだと主張していますね。

水野:ガソリンは約25円、軽油は約17円引き下げるべきだと言っています。一方、自民党の道路族や国土交通省は「まだまだ地方では道路が必要だ。都市部でも開かずの踏切対策や渋滞対策に道路整備が必要だ」として税率の維持を主張しています。私はそのどちらともちょっと違う考えですね。

Q3:民主党案には問題があるということですか。

水野:税率を下げると国と地方合計で年間2.7兆円もの減収になります。財政赤字を膨らませるのは無責任なことですし、そのツケは結局消費税アップで回ってくるだけです。一方、道路にしか使えないというこれまでの仕組みも改めるべきです。せっかくの税金である以上、福祉・教育・環境・治安などその時々で国民が求めている分野にも回せるようにすべきです。もちろん必要な道路建設に使うことは否定はしませんが、「道路にしか使えない」として道路を聖域にすることはおかしなことです。

Q4:道路にしか使えないという法律を作ったのは田中角栄元首相だったそうですね。

水野:ガソリン税は昭和24年にできましたが最初は何に使ってもよかったのです。それを昭和29年に当時まだ若手議員だった田中角栄氏が主導して全額を道路に使うという議員立法を行ないました。その時代は戦後復興期ですからこうした法律を作ったこともまあ理解できますが、それから50年以上たった今では制度改革が必要です。ようやく今年から与党も税の一部を道路以外にも使うことを認めましたが、こうした改革をもっと推進していくべきです(注)。
(注) 税収の全額を道路整備に使うことを定めた道路整備費財源特例法という法律は平成20年に改正される。しかし改正後も”道路が優先、余った分は他にも使う”というものであり、より徹底した改革が求められている。

◆暫定税率とは
ガソリン税は揮発油税法などによって128.7円とされている。これを本則税率という。ところが道路整備を推進するため昭和49年以来、5年ごとに租税特別措置法という法律で暫定措置として税率を53.8円に引き上げてきた。これが暫定税率である。たまたま平成20年3月末でこの5年の期限が切れるので、存続するかどうかが大きな議論となる。

◆諸外国に比べて高くない日本の税率
ヨーロッパ諸国は消費税が高いことに加え、ガソリンにかかる税金も高いので1200円を超える国も珍しくない。

◆地球温暖化とガソリン税
ガソリンの税率を下げるということは、ガソリンを使いやすい社会を作ることにつながる。そのため二酸化炭素排出を増やし地球温暖化を加速するという指摘もある。環境省の試算ではガソリン25円・軽油17円の値下げは国内の年間二酸化炭素排出量を2200万トン増加させるとしている。

◆自動車燃料にかかっている税金(平成19年度)
暫定税率による上乗せ分
ガソリン税(153.8円)/31521億円/14698億円
軽油引取税(132.1円)/10360億円/5519億円
石油ガス税(117.5円)/280億円/上乗せはなし
・細かくいうとガソリン税というのは揮発油税(48.6円)と地方道路税(5.2円)の総称だが、いずれもガソリンにかかってくる。
・この他に自動車を取得する時にかかってくる自動車取得税、自動車を保有している時にかかってくる自動車重量税の大半も道路特定財源となっており暫定税率による上乗せ分もある。

犯罪被害者の裁判参加が可能に

2008.01.15

「犯罪被害者の裁判参加が可能に」

殺人など刑事事件の裁判手続きは刑事訴訟法によって定められています。07年6月この刑事訴訟法が改正され犯罪被害者が裁判に参加できるという新制度が導入されることになりました。これまで被害者が裁判の時にできることといえば傍聴席に座ることくらいでした(一応被害者意見陳述という制度はありましたが)。しかし裁判は公開が原則である以上、傍聴というのは誰であっても可能です。つまり誰でもできる程度のことしか被害者の権利としては認められていなかったのです。

そうした中、これではあまりにも被害者を軽視しているのではないかとの声が高まってきました。「加害者の権利が声高に語られることはあっても被害者の権利があまりにもないがしろにされている」「裁判では被害者が蚊帳の外に置かれている」という批判です。そこで今回の法改正で被害者が希望すれば、被告人に対して質問をしたり「被告人を懲役15年にしてください」というような求刑に類する最終意見も述べられるようになりました。対象犯罪は殺人、傷害、危険運転致死傷、業務上過失致死傷罪などですから窃盗や詐欺などは対象外ですが、被害者の権利拡充という点では大きく前進したといえます。改正された刑事訴訟法は08年の秋頃に施行される予定ですが、今後も被害者と共に泣くことができる血の通った司法の確立に向けて力を尽くしていきたいと考えています。

● 1980年に犯罪被害者給付金支給法が成立し、通り魔殺人など故意の犯罪行為の被害者に対しては公費で一時金が支給されるようになりました。遺族の場合、受け取りの最高額は1573万円となっています。

● 犯罪被害者への相談窓口の充実などを図るために2004年に総合法律支援法が成立しました。同法に基づいて06年に日本司法支援センター(愛称:法テラス)が設立され、コールセンター(0570-079714)で犯罪被害者への情報提供などを行なっています。

年金制度について

2007.12.01

「年金制度について」
〜民主党が明確にすべきこと〜

年金への信頼を揺るがす出来事がこの数年続いてきました。未納問題、宙に浮いた年金、保険料の着服などいずれも国民の不信を招くことばかりでした。中でも国民の年金不信の大きな原因になっているのは年金制度はこのままでよいのかという疑問です。少子高齢化が進む中で現在の年金制度は破綻するのではないかという不安ともいえます。

年金の制度について大別すれば政府与党は現行の社会保険方式を維持しつつ直すべき点は直すことを主張し、民主党は基礎年金への税方式の導入を唱えています。ただ最近は自民党内にも税方式を頭から否定すべきではないという声も広がりつつあり、私自身もこうした勉強会に参加しています。

確かに社会保険方式のままでは未納問題が出てきます。例えば二十代の若者に対し40年後に年金を貰うために毎月1万4千円以上の国民年金保険料を払えといってもその気にならないのは無理からぬところです。だから基礎年金は誰もが払わざるをえない消費税を充てるのは一理あると考えます。しかし税方式をとる場合どうしても解決しなければならない点があります。消費税で年金を賄えば当然、消費税率は高くなります(いろいろな試算はありますが普通に考えれば現行よりも6%高い11%くらいにはなるでしょう)。しかもこれまで真面目に保険料を払い続けてきた人もこの高い消費税を払わなくてはなりません。これでは新たな不公平を生み出してしまいます。税方式を唱える民主党もこの不公平をどうするかについてまったく明確にはしていません。この部分への具体的解決策があるならば速やかに提示してもらいたいものです。そうであればより良い年金制度に向けて与野党を超えて協議していくことが可能だと考えます。

総裁選では麻生太郎氏に投票

2007.09.23

「総裁選では麻生太郎氏に投票」

自民党総裁選挙が行なわれ福田康夫氏が330票を獲得し、197票の麻生太郎氏を破って第22代総裁に就任することになった。ただ票数を見ると麻生氏の善戦という印象が強い。8派閥が雪崩を打って福田支持を打ち出した中で、麻生氏がこれだけの票を獲得したことは旧来の派閥政治への一撃となった点で喜ばしい。

さて私自身は今回の総裁選では麻生太郎氏に一票を投じた。私は無派閥議員なので派閥の締めつけなどとは無関係であり、自分の意思で決定した。麻生氏に投票した大きな理由は福田氏の政策のいくつかに違和感を覚えたためである。もちろん同じ自民党所属の議員なので共通する政策があるのも当然だが、それでも例えば対北朝鮮外交などの福田氏の姿勢には疑問を感じることが少なからずあった。端的に言えば北朝鮮に圧力をかけることに躊躇するような態度は疑問である。

また総裁選開始直後に党本部で行なわれた立会演説会での福田氏の演説もいただけなかった。高邁な理念・哲学を語るわけでもなく、かといって具体的な施策を述べるわけでもなかった。打ち出した具体的政策が「二百年住宅」だけだったというのは一国の総理を目指す人としては余りにも寂しいものだった。

こう書くと消去法で麻生氏に決めたように聞こえるかもしれないが、それだけではない。麻生氏の識見能力が総理総裁としてふさわしいと思った上で一票を投じたのも当然のことである。 とはいえ新総裁は決定した。大切なのは、今後自民党が国民の信頼を取り戻すことである。そして野党の主張のうち傾聴すべきことには謙虚に耳は傾けつつも無責任な政策は徹底して論破していくことである。私自身もそのために全力を尽くしていくことをお誓いしたい。

温暖化防止の具体策を提言

2007.09.01

「温暖化防止の具体策を提言」
〜早急なフロン規制が必要〜

地球温暖化をどう防ぐかが大きな課題になっています。今年の夏は国内で史上最高の40.9℃を記録するなど温暖化の進行はいよいよ明らかになってきました。このままでは海面上昇はもちろんのこと、台風被害、マラリアなど感染症の増加、食糧危機の到来などが懸念されています。ではこれを食い止めるために何が必要でしょうか。省エネ機器の普及や自然エネルギーの活用など様々な施策が求められていますが、これらに加えた具体策として私はフロンの規制を提言しています。

フロンガスは20年ほど前、オゾン層を破壊するとして問題になりました。そこでオゾン層を破壊するタイプのものはすでに生産が規制されています。しかしオゾン層は壊さないが温暖化を引き起こす新タイプのフロン(HFCと呼ばれる)の生産には何の規制もなく年々増産されているのです。地球温暖化を引き起こすガスとしては二酸化炭素やメタンが有名ですが、HFCの温室効果は二酸化炭素の120〜15000倍と極めて強力なものです。しかもフロンが他のガスと決定的に違うのは自然界に存在しない人工物質だという点です。つまりこれだけ地球温暖化の危機が叫ばれ、多くの人が省エネ努力などをしている時に、フロンメーカーはわざわざ強力な温室効果ガスを人為的に製造販売して利益を上げているわけです。こうしたことは倫理的にも看過できません。

地球温暖化問題は病気と同じで早め早めの対策が必要です。遅くなってから対策をとっても手遅れになる危険性があります。そのためにもフロンについては生産を禁止するか重税を課して価格競争力を失わせるなどの手法を早急にとる必要があると思います。

地球温暖化防止のために

2007.05.01

「地球温暖化防止のために」

地球温暖化という危機が深刻化しています。このまま放置しておけば今世紀末には最大6.4℃の上昇が見込まれています。1℃上昇すると水不足で苦しむ人が5000万人が増え、マラリアによる死者が30万人増加するという試算もあります。また経済面でも温暖化の進行は世界のGDPを5~20%も押し下げると危惧されています(注)。 温暖化の主原因は大気中の二酸化炭素濃度の上昇です。二酸化炭素は石油・石炭など化石燃料を燃やした時に排出されます。人類が化石燃料をほとんど利用しなかった産業革命以前(つまり1750年以前)の二酸化炭素はだいたい280ppmでしたが、年々上昇して現在は380ppmとなっています。

これを食い止めるためには二酸化炭素の排出を削減することが必要です。そこで安倍首相は2050年までに排出量を半減することを提唱しました。これまで政府がこうした長期目標を掲げてこなかったことに比べて大きな前進といえます。また国際社会への働きかけも重要です。ただ各国に訴えかけるといっても日本自身がしっかりと削減を成し遂げていなければ説得力に欠けてしまいます。とりわけ京都議定書で日本が国際約束した90年比6%削減の達成は喫緊の課題ですが、残念ながら現実の国内排出量は削減どころか7.8%も増えてしまっています。まずはこれを何とかしなければなりません。もちろん国民一人一人の省エネ努力も大切です。同時に二酸化炭素の排出割合を企業:家庭でみると79:21で企業が多いことを考えると、大口発生源である産業界により積極的な取り組みを求めていくことが必要と考えます。

注)数字についてはIPCC第4次評価報告書や英政府が委託研究した結果の「スターン・レビュー」などを引用
その他、グラフとして
大気の成分
窒素    78.09%
酸素    21.95%
アルゴン   0.93%
二酸化炭素  0.04%
0.04%とは400ppmのこと
 
 
 

拉致問題を風化させるな

2007.05.01

「拉致問題を風化させるな」

「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化なし」というのが安倍内閣の方針です。国交正常化というのは北朝鮮への多額の経済協力を意味します。1965年に韓国と国交樹立をした時には有償2億ドル、無償3億ドル、合計5億ドルの経済支援をしています。貨幣価値の変化などを勘案すれば、北朝鮮側が日本円で1兆円を超える援助を期待していることは間違いないところです。拉致問題が解決しないまま莫大な経済協力だけを進めるわけにはいきません。ましてその支援が日本に向けた核開発やミサイル開発につながりかねないのですからなおさらです。

政府は拉致問題の解決として①すべての生存者の帰国、②真相の究明、③容疑者の引渡し、の3点を掲げています。まず①の生存者の帰国は当然のことです。ごく普通の生活をしていた人たちが突然さらわれて海のかなたに連れて行かれたのですから「返せ」というのは当然すぎるほど当然の要求です。②の真相究明も現状ではまったく進んでいません。北朝鮮が出してきた「遺骨」と称するものをDNA鑑定したら偽物だと判明したことなどは何をかいわんやです。そして拉致に携わった工作員・辛(シン)光(ガン)洙(ス)が北朝鮮国内で英雄として扱われている現状も容認することはできません。③の引渡しも強く求める必要があります。

拉致問題は日本にとっての重大な主権の侵害であると同時に極めて深刻な人権の侵害です。この問題を風化させずに一歩でも解決に近づけるよう今後も全力を尽くしていきたいと思っています。

温暖化防止情報開示訴訟について

2007.02.01

「温暖化防止情報開示訴訟について」

◆国の敗訴
1月30日、「温暖化防止情報開示訴訟」で大阪地裁は国の全面敗訴の判決を言い渡した。日本で初めての地球温暖化防止訴訟に司法の判断が下されたことになる。 判決に不服がある時は14日以内に上訴できる。つまり国が控訴するとなればその期限は2月13日となる。 国が関係する訴訟は法務省が一元的に扱う。法務省にはそのための機関・訟務部門がある。そして現在、私自身、法務省の副大臣という立場にある。私はこの件に関して控訴すべきではないと考えている。敗訴は敗訴としてきちんと認め、地球温暖化対策に真摯に取り組んでいく契機とすべきである。

◆温暖化防止情報開示訴訟とは
理由について述べる前に何が争われていたのかを簡潔に述べてみたい。経緯は温暖化防止に取り組むNPO「気候ネットワーク」が04年に経済産業省に対して情報開示を求めたことに始まる。省エネ法という法律によって一定規模以上の事業所はどのエネルギーをどれだけ使用したかを経済産業省に毎年報告することになっている。つまり○○発電所や△△製鉄所がどれだけの重油や石炭を消費したかという資料を経済産業省は保有している。本来、政府が持っている情報は国家機密や個人情報を除けば情報公開法によって請求があれば原則公開されることになっている。 そこで気候ネットワークは経済産業省の持っているこのデータの公表を求めた。エネルギーの使用量は温暖化の主原因である二酸化炭素の排出量に密接に関わるからである。温暖化対策を効果的に進めるためにもどのようなエネルギーがどこでどのくらい使われているかの現状を把握するのは重要である。ところが経済産業省は85%の企業(4280事業所)については数値を開示したが、残り15%分(753事業所)は不開示とした。

つまり黒塗りにして出してきた。これらの企業が「うちの数値は企業秘密であり公開されては困る」と言ったためである。これを不服とした気候ネットワークは開示を求めて国を相手に行政訴訟を起こした。そうなると先に述べた通り法務省が受けて立つ形になる。そして今回、大阪地裁は経済産業省の判断を不当として開示を求める判決を出したわけである。

◆私の関わり
私が控訴すべきでないと考えている背景には自分自身が法務副大臣就任以前からこの問題に関係し、一通りの経緯を知っていることがある。その中でどう考えても経済産業省の主張が正しいとは思えない。実は私も02年に経済産業省に対して同様の情報開示請求を行なったことがある。気候ネットワークが請求する2年前である。この時も同省は一部企業のデータは不開示にした。開示部分を解析した結果は05年の温暖化対策推進法の改正につながったと考えているが、すべ てが開示されていればより良かったとの思いはぬぐえない。私自身は裁判という選択肢はとらなかった。 だが経済産業省に対しデータを全面開示すべきだという思いを強く持ったのも正直なところである(私の情報公開請求の経緯は本ホームページに掲載した『経済産業省への挑戦状〔上〕〔中〕〔下〕〔完結編〕』『解説・温暖化対策推進法の改正について』をご参照いただきたい)。

◆本当に企業秘密なのか
裁判で争われたのはデータが企業秘密にあたるかどうかである。情報公開法第5条は「当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」の場合には不開示にすることを認めている。 経済産業省はこれに該当する企業秘密なので不開示にしたという。しかし85%の企業は最初から公表してかまわないという姿勢をとっている以上、あまり説得力があるとは思えない。 もちろん業種などによっては本当に秘密にしたいという場合もあるかもしれない。だがその主張は「二回」にわたって判決で退けられている。この点を重く見る必要があるだろう。実は今回の判決は「二回目」なのである。昨年9月に名古屋地裁でもやはり気候ネットワークが経済産業省を相手取った訴訟の判決が下りている。訴えの内容も結果も今回とまったく同様だった。開示されれば当該企業にとって本当に損害があるのかどうかも疑わしい。決定的な企業秘密というほどの ものかも怪しいのである。裁判の進行中に開示に応じた企業が続出したことがそれを裏付けている。裁判中に開示したというのはどういうことなのか。つまり開示請求を受けた当初は「うちのデータを公表されては困りますよ」と経済産業省に言っていた会社が、いざ裁判にまでなってみると「裁判に巻き込まれるくらいなら開示しよう」という姿勢に転じたということである。企業の態度が変われば経済産業省が不開示を続ける理由はない。そこで開示率は92%にまで上昇した。 これ自体は歓迎すべきことである。ただ逆に言えば実はそれほど決定的な企業秘密でもなかったことの証しでもある。「企業秘密なので開示できません」という業界の言い分をそのまま繰り返していた経済産業省の当初の姿勢も問われよう。

開示が嫌だという会社側の気持ちも心情的には分からないではない。政界を例にとれば、政治資金の収支報告書の内容を公表されるというのはあまり気持ちのよいものではないというのが大方の政治家の本音だろう。それでも公開が必要なのは、政治資金の流れを国民の眼で監視してもらうことが政治倫理の向上という公益につながるからである。エネルギー情報も同じである。開示して多くの人の眼に触れることによって各社の省エネ意識もより高まるはずである。せっかく企業にエネルギー使用状況を報告させていても、現状のように経済産業省だけが情報を抱え込んでいるのでは一体何の役に立っているかという疑問の方が先に立つ。

なお仮に企業秘密だったとしても絶対に非公開にしなければならないというわけでもない。情報公開法第7条は公益上特に必要があると認められるときには、そうした場合でも開示できる規定になっていることを付記しておく。

◆結び
いま地球温暖化対策は急務の一つである。先日IPCCの第4次評価報告書がまとまり、今世紀の百年間で地球の平均気温は最悪で6.4℃上昇するとの予測が示された。こうした温暖化を防止するために京都議定書が締結され、日本は6%の温室効果ガスの排出削減を約束した。ところが実際の排出量は削減どころか増加している。このままではいけないと誰もが感じている。だからこそ新たな対策が必要だということで政府は京都議定書目標達成計画の見直しを進めている。 有効な対策をとるためには現状がどのようになっているのかの基礎データが必要である。そのためにも政府が持っているエネルギー使用情報は最大限公開に努めるべきだろう。

経済産業省は控訴を求めている。私は控訴せずに一審で確定させてよいと考えている。現在、国が抱えている訴訟は約1万2千に上る。そして今回の例に見るように国が敗訴することも多くなっている。何も私は国が負けることを喜ぶわけではない。そのような国家性悪説に立つつもりもない。だが中には負けるべくして負けているものもあるだろう。そうした裁判を他省庁から頼まれたからといって法務省が必ず引き受けるというのも妙なことだと思っている。

1万2千の訴訟に対し法務省訟務部門の定員は394名で人手不足が悩みの種である。そのため現在国会で審議中の来年度予算案では7人の純増が盛り込まれた。公務員削減の流れの中で増員が認められたのはそれだけ訟務の体制強化が重要だからである。同時に限られた人手を有効に使う必要性もある。争うに値しない問題は潔く敗北を認めて、争う価値のある問題に有為な人材を回すことも大切ではないだろうか。

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