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けんいちブログ
羽田国際化問題
2001.07.26
「羽田国際化問題」 ー亀井静香発言は不見識ー
◆党内実力者に対しても言うべきことは言う。筋を通す男・水野賢一が本領発揮の痛快傑作。
◆羽田国際化への私の意見
羽田空港を国際空港として使おうという声がある。この問題をめぐっては東京都と千葉県が対立してきた。東京都が羽田国際化こそ首都圏住民の利便性向上だと推進論を主張すれば、千葉県側は騒音被害は千葉が受けるとして反発を強めている。 この羽田国際化に対しては、私もホームページの本年2月4日の項をはじめ、たびたび意見を述べている。一言でいうならば、羽田国際化慎重論である。なにも私は「羽田からは一便たりとも国際線を飛ばすな」と言っているわけではない。しかし羽田を国際空港として利用する前に、やるべきことがいくつかあると思っている。まず一つは成田への交通アクセスの改善である。成田が「遠くて不便」というなら「近くて便利」なようにアクセスを充実させるべきである。二つ目には羽田を利用する飛行機が千葉県に騒音をもたらさないように飛行ルートを見直すべきである。こうした問題が解決されないまま、ただ羽田国際化という言葉だけが一人歩きする事態には懸念をいだかざるをえない。
◆ 亀井静香発言とは
羽田国際化論の代表者といえば、石原慎太郎都知事や亀井静香前自民党政調会長である。この亀井静香氏がつい先日も成田市内で行われた会合で羽田国際化の必要性に言及した。亀井氏は言う。「私が政調会長だった時に、千葉県の議員たちが羽田国際化反対の申し入れで、党本部の政調会長室にやってきた。そこで私は言ってやった。『あなたたちは羽田が国際化されると千葉県に騒音がくるといって騒いでいるけど、成田の飛行機だって千葉県にきているじゃないか。成田の飛行機はうるさくなくて、羽田の飛行機だけがうるさいとでもいうのか』。そうしたら彼らはギャフンとなってグウの音もでなくなった」 亀井氏はこの発言をテレビを始め、各地で行なっている。つまりお得意の論法なのである。しかしこれは根本的に認識が間違っている。詭弁ですらある。
◆ 亀井論法のおかしさ
確かに亀井氏が言う通り成田空港を利用する飛行機は千葉県上空を通過する。成田が内陸にある以上、千葉県上空を通らない限り離着陸できないのだからやむをえない。だがこれは騒音という空港の負の部分を千葉県が引き受けていることに他ならない。
問題は羽田空港を発着する飛行機である。当然のことだが羽田空港は東京都にある。では羽田を利用する飛行機は東京の上空を飛んでいるのだろうか。答えはNoである。 ではどこを飛んでいるのかといえば、千葉県の上空なのである。例えば羽田から北に向かって離陸した航空機はすぐに右に旋回して千葉県の浦安・市川の上空を目指して進む。
わざわざ東京上空を避けた飛行ルートを設定しているためだ。もちろん都民に騒音がふりかからないためである。東京都は空港の利便性だけは享受して、負の部分は外に押しつけているともいえる。 この事実はあまり知られていないが重要な問題である。 大都市と地方の関係を考える点でも興味深い。ちょうど東京で排出された産業廃棄物が地方に持ち込まれていることと相通じるものがあるような気もする。
亀井氏の論法は「千葉県は成田の騒音を引き受けている」→「だから羽田の騒音も引き受けろ」というふうにしか聞こえない。しかしこんな馬鹿な話があるだろうか。「千葉県は成田の騒音を引き受けている」→「だからせめて羽田の騒音は東京都が引き受けよう」という考え方のほうがよっぽど自然ではないだろうか。
◆飛行ルートの見直しを
現状においても羽田を利用する飛行機はこうしたルートで飛行している。国際便になれば機体はさらに大型化し、騒音はますます大きくなる。それでもまだ騒音は千葉県が甘受しなければならないのだろうか。私はこれを機に飛行ルートを見直すべきだと考えている。はっきり言えば東京都上空も飛行すべきである。現に世界の大都市では上空を飛行機が通過する例はいくらでもある。東京都の姿勢こそ世界の非常識だといえる。 空港問題とは騒音問題である。「都民を騒音から守る」と言えば聞こえは良い。しかしその結果、騒音を他県に輸出しているのである。空港の負の側面である騒音は引き受けないで、利便性だけは享受しようというのは東京のエゴである。もし千葉県が東京都のような姿勢をとっていたならば、成田空港は存在しなかっただろうし、首都圏の空港機能は麻痺してしまったはずである。今こそ東京都には美濃部知事以来のこうしたエゴは捨ててもらわなければならない。
◆子供騙しの現行制度
実をいうと、こうした至極当然の批判を受けて、昨年7月からは羽田を離陸して東京上空を飛ぶ飛行経路も運用されるようになった。しかしこの飛行経路は一日5便だけである。羽田を発着する飛行機は現在、一日に702便もある。702便中のわずかに5便にすぎない。さらにこの5便はすべて中小型機に限られている。ジャンボ機は今なお千葉県上空を飛び続けているのだ。これでは不十分極まりない。子供騙しと言われても仕方がないだろう。
いま求められているのは、子供騙しではない抜本的な飛行ルートの見直しである。「羽田空港から国際便を」という場合には、騒音問題から目を背けてはならない。千葉県にのみ騒音を押しつけている現状を改善する必要がある。あらためて言おう。「飛行ルートの見直しなくして羽田国際化なし」なのである。
各党公開討論会(環境問題)での発言
2001.07.14
「各党公開討論会(環境問題)での発言」
◆5党の環境政策担当が揃いぶみ。水野賢一の大胆な政策提言が随所に。
6月30日に大学生が主催した各政党間の公開討論会に出席しました。テーマは「政党が『環境』をどう考えるか」で、東京都の小金井市公会堂で行われました。
出席者は、
自由民主党 水野賢一 (衆議院議員、党環境副部会長)
民主党 佐藤謙一郎(衆議院議員、党環境農林水産ネクスト大臣)
自由党 武山百合子(衆議院議員、党環境部会長)
日本共産党 岩佐恵美 (参議院議員、環境委員会理事)
社会民主党 原陽子 (衆議院議員、環境委員会委員)
コーディネーター小出五郎(NHK解説委員)
この時の私の発言内容を以下に採録しました。
全参加者の発言を載せれば、各党の比較もしやすいのですが、膨大な文量になってしまうこと、他の出席者の了承を得ていないことなどから司会者と私自身の発言のみを掲載しました。 討論は、まず始めに各党が政策を3分ずつ述べ、そのあと会場の聴衆から回収したアンケート用紙の中で多かった質問に対して、各議員が答えるという形式でした。
【討論会の発言】
〇小出五郎: みなさん、こんにちは。小出でございます。今日はコーディネーターというふうにご紹介いただきましたが、私自身のボランティアの一環といたしまして、こうしたNGOの皆さんが頑張っているのを応援したいと思いましてお引き受けいたしました。今コーディネーターということだったのですが、コーディネーターというのは大体自分の意見をかなり述べつつ、独断と偏見に基づいて進めるのがコーディネーターというものの役割でございますけれども、先ほどから結構いろいろ厳しいルールがございまして、それに従ってやらなければいけないという、ある意味ではコーディネーターというよりは今回の進行役ということで、機械的に仕切るという役割で今日は進めたいというように思っております。
昨日国会が閉会いたしまして、7月29日に参議院選挙があり、事実上スタートしたという段階になっているわけですけれども、そのなかで環境政策が大きな焦点のひとつになっていると思うんですね。世の中ほどほど豊かになったというところはいいわけですけれども、そういう中で一層その環境ということが、安全とか安心とかそれから豊かな生活とかそういったことからしますと、大変重要になってきております。そこで各党それぞれ政策を持っているわけですけれども、どれを選ぶのかというのが私たちの一票ということになるわけですよね。今日はその環境問題、いろんな論点があるわけですけれども、できるだけたくさんの論点を選びまして各党の違いが何であるか、あるいは皆さんが一票を投じるとき、判断をするとき自分の考え方にあったのはどの党か、あるいは21世紀の環境をですね、安全とか安心とか豊かな生活とかそういう面から期待できるのはどの党か、そういったことをチェックポイントにして、各党の皆さんの話を聞いていただきたいというふうに思います。先ほど話がございましたが、進め方につきましては会場の皆さんのアンケートを後ほど回収いたしまして、それに従って進めたいと思いますがその前にですね、それぞれ各党の方からご自分の党の環境政策の基本方針ということについて述べていただきます。基本方針全体を述べていただくとこれは60分とか90分とかかかるわけですけれども、今日は3分ぐらいに俳句のように凝縮をいたしまして述べていただくということをまず最初にやっていきたいと思います。そのあとに若干休憩時間があってアンケートを回収いたしますので、お話を聞きながらご自分の一番関心のあるのはこの点だということを会場の方々にぜひ記入していただきたいと思います。 まず最初に今申し上げましたけれども環境政策の基本方針、各党がもっとも大切だと考えている原理原則ということについて、それぞれ3分でお話をしていただきたいと思います。先ほどのルールに従いまして私のお隣といいますか、一番こちらの方からお願いいたします
〇水野賢一(自由民主党): 自由民主党の環境部会副部会長をつとめさせていただいております水野賢一でございます。自民党というのは多種多様な意見がある政党で、それこそ郵政民営化ひとつをとっても賛成の人から反対の人までいろいろあるので、それだけに党の意見というのを代表してというのもなかなか難しいんですが、環境部会副部会長としての水野賢一の意見ということで申し上げたいと思います。 最近の環境問題というのはたとえば30年ぐらい前の公害問題とはちょっと様相を異にしているのではないかと思うところがございます。かつての公害問題ということになると、いま原さんがおっしゃった水俣病の場合は特定の企業、チッソという企業が出した排水が原因でした。もしくはほかの公害の場合も、ある工場が出した排水とか排煙によって住民が被害を受けていた。そういう意味では加害者は明らかにそういう汚染物質を出した企業であり、被害者は住民ということだったんですが、最近の特に地球環境問題といわれるような環境問題というのは、我々自身のライフスタイルによって、たとえば二酸化炭素を出している。つまり我々自身が被害者であるけれども同時に加害者だという側面を強く持っている。それが最近の環境問題の特徴ではないかと思うわけです。 地球温暖化問題というのはその典型なんですが、やや似た問題としてはフロンによるオゾン層の破壊という問題、これも地球環境問題のひとつのシンボリックな問題だと思います。今国会でですね、「フロン回収破壊法」というのが成立しました。自由民主党もこの問題についてずーっと議論してきて、これは党内だけで議論したのではなくて、NGOの方々なども全部含めながら一緒に議論をしてきてこの法律の制定に力を尽くしたということは我々の誇りにすべきことかなと思います。フロンというのはですね、オゾン層を破壊するということでかつて生産が禁止されているんですけれども、生産禁止の前にすでに生産されたものが今でも使われているんですね。これが、大気中に放出されてしまったりすると最終的にはオゾン層を破壊してしまう。こういうようなことで生産禁止に加えて、すでに作られてしまったものも回収破壊をしなければいけない、こういう法律が今国会で成立したわけです。これは各党の名誉のためにも言いますと、全会一致で可決したわけですけれども、自由民主党も制定にあたって大きく寄与してきたということは、とかく自民党は環境問題に対して不熱心だといわれる中で、我ながらよく頑張ったと思うわけです。もちろんそういう地球環境問題以外にも地域のいろいろな公害問題、大気汚染をはじめとする問題なども積極的に取り組んでいきたいと、そういうふうに考えております。
〇小出五郎: お話を伺って各党似ているところもあれば違うところもあるという印象だったと思います。大きな、言ってみれば総論ということについてはそんなに大きな違いというのはないような気もいたしますが。ここで休憩をいただきまして、アンケートを回収いたしまして、休憩後再開からは各論についてお話を伺っていきたいと思います。
[休憩]
〇小出五郎: たくさんのアンケートご協力ありがとうございました。今一番多かったのは、やはり焦点の京都議定書の問題ですね。これに関心を持っている方が一番多い。日本の京都で1997年に一応合意に達した京都議定書ですね。二酸化炭素削減の問題についてですが、アメリカが離脱を表明した。で、日本が非常に世界の注目の的といいますか、日本次第でこの議定書が発効するかどうか分かれ目にきているということです。いま小泉首相がアメリカに行っておりますが、その問題も今日の議論の間に、出てくるという話も聞いておりますけれども、京都議定書について日本はどういう態度を取るべきだろうか。アメリカ抜きで発効するのか、あるいはアメリカをあくまでも説得するのか、あるいはほかの道を取るべきなのか。これはいろいろ各党違いが出てくると思います。その点について意見を述べていただきたいと思うんですけれども、先ほどは原さんからだったんですが、今度は水野さんから始まりまして原さんで終わると、そういう順序で、まず一回目の発言をお願いしたいと思います。
〇水野賢一: 京都議定書の問題ですけれども、まずですね、日本の取るべき方針というのは、まず最初にはアメリカを京都議定書の枠組みに戻すために全力を尽くす、いわば説得をするということだと思います。その理由のひとつはアメリカはいま全世界のCO2の排出量の約4分の1を占めている。このアメリカが抜けてしまっては京都議定書の実効性が欠けてしまうということです。もうひとつは途上国の問題です。今後は途上国のCO2削減というのもいずれは大きい課題になってくるでしょうけど、そのときにアメリカが入っていないことを理由に彼らが参加しないということが、ありえるからです。 ただおそらく今の質問は日本が説得をしてもアメリカが方針を変更しない場合、説得に応じない場合どうするかというご質問だと思うんですけれども、それに関して言えばアメリカ抜きでも日本は批准をして京都議定書の発効を目指すべきだと考えています。というのは、これはもうここで発効しなければですね、10年前に逆戻りだということだと思いますし、日本で結んだ京都議定書だというその責任があるからです。さらに言えばここで極めて大切なのはアメリカを説得するためにもですね日本が自らの約束、つまり6パーセント削減ということに対して日本自身も国内対策をきちんとしなければいけない。どうも今はこれさえ実現できそうにないといわれていますけれども、日本がまず国内対策をきちんとやるんだというその姿勢を示すということを前提として今の話があるのだということをご理解いただきたいと思います。
〇小出五郎: 今のは自民党の見解として理解してよろしいですか?
〇水野賢一: 自民党の中にはいろんな意見があります。実は細かいことになりますけど、一昨日小泉総理のところに自民党の何名かの議員と公明党の田端さんなどが行って、この問題での申し入れをしています。その人たちの中でもアメリカ抜きでも批准すべきだという人と最後までアメリカの説得に力を尽くすことに重点をおくべきだという意見に分かれています。
(佐藤謙一郎(民主党):[略] 、岩佐恵美(共産党) :[略] 、武山百合子(自由党):[略] 、原陽子(社民党) :[略])
〇小出五郎: 水野さんの自民党は内部にいろいろな意見があるということでありました。ほかの四党の方は今批准すべきだというふうに考えていると、イエスかノーかみたいな分けかたをしますとそういうことになろうかと思うんですね。それで会場の方でアンケートに質問を書いていただいた方からの質問がひとつありましてね、これを皆さんにも答えていただきたいなと思うんですが、現在の時点で温暖化防止と経済成長、これはやはりトレードオフというんでしょうか、経済成長すると温暖化防止は後回し、温暖化防止を優先すると経済成長が少し遅れると、そういう関係であると考えられていたけれどもそれをどのようにクリアするのか、その問題をどのように考えていったらいいのか、ということですね。温暖化対策には早くやらなければいけない、そういう時間的な問題があるということを考慮した上で政策の考え方を教えていただきたいという、そういう質問なんですが、これについてまた一言ずつ述べていただきたいと思います。
(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略] 、原陽子(社民党) :[略])
〇水野賢一: 環境と経済の話というと、環境面に配慮すると経済発展が阻害されるんではないかという声が確かに経済界を中心にあるんですけれども、私は環境面に配慮してなおかつ経済面にも発展をさせていくというそういう道は模索できるし、模索していかなければならないと思っています。現にヨーロッパ諸国なんかでは、確か小出さんがNHKスペシャルでかなにかで(注:正しくは教育テレビ「サイエンスアイ」)レポートしていたのにもありましたが、デンマークではですね、この10年の間に25パーセント経済成長しているけれども、CO2の排出量はほとんど増やしていない。そういう例があるわけですね。ですからそういうことを日本も研究していく必要がある。じゃあ具体的にどうやるのかというと、やはり私は石油に依存している現在のエネルギー政策というものが大きく転換する時代がきていると思います。まあ、エネルギーシフトという言葉を使えばそういうことだと思います。じゃあ具体的にどういうことかといいますと将来的には僕はやっぱり水素エネルギーのような、燃料電池をはじめとする水素エネルギーの社会が来るでしょうけれども、過渡期においては、これに対しては賛否両論ありますけれども原子力発電、さらには天然ガスの使用ということを大いに考えていかなければいけないと考えています。
〇小出五郎: 温暖化の問題、今度の京都議定書の話をいたしますとね、どうしてもどういうエネルギーをもとにする経済社会にしていくのか、というところに話がいってしまうわけなんですが、ちょっとさっきの問題に戻りますと、これから大きく情勢がいろいろ変わっていくわけで、特に16日からですか、ちょうど参議院選挙をやっている真っ最中になりますが、ドイツのボンでですね、COP6という温暖化防止条約に加盟している国々の会議が開かれまして、そこで先ほどのアメリカの離脱の問題も含めてですね、今後京都議定書をどうするかということが議論の焦点になっていくわけですけれども、その中で日本がどうするかという選択が厳しく問われるわけでアメリカ抜きでもやっていくのか、あるいは日本とアメリカは共同歩調を取っていくのか、それか一部議定書を変えながらですねアメリカも入ってくれるようなものにしていくのか、あるいはもうご破算にしてですね、それぞれの国々が勝手にやるのか、まあ四つぐらいの方向がその中で見えてくるだろうと思いますね。それがやはり選挙戦の中でも各党がそれについてどういう反応をするか、どのような対策をそこで打ち出していくかということが、皆さんを注視していると見えてくるんではなかろうかなと思いますので、そのへんをひとつのチェックポイントとしてですね、見ていっていただけたらいいんじゃないかなあという気がします。 先ほどアンケートを回収いたしましたらですね、議定書に関する議論をしてくれというのが一番多かったんですが、それに関連してくるんですけれども、環境税など環境対策に経済的手法を取り入れることの是非、あるいはその条件というのは何なのかこのことについて議論してくれという方がですね、三番目に多かったんです。二番目に多かったのが環境問題の解決にはライフスタイルの変更が必要とされるけれども、ライフスタイルを変えるために必要な政策はなんだろうと、それが二番目に多かったです。でも二番目、三番目ほとんど同じぐらいの方でございまして、議論の展開から行きますとちょっと先に、環境政策のために経済的手法を取り入れる、まあ環境税などということですけれども、そのことについて少し見解を表明していただきたい。環境政策のために経済的手法を取り入れることの是非、あるいはどういう条件のもとに取り入れていったらいいだろうかという点についてお話をしていただきたいと思います。
(岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])
〇水野賢一: 自民党の中では環境税の問題というのはかなり前向きに議論されてまして、環境部会副部会長としての私個人としての意見でいえば賛成です。というのは、この環境の問題でいろいろ規制をしていくための手法としては直接的に規制をかけるということもあるでしょうけど、もうひとつは経済的に誘導をしていくという方法があって、この環境税という環境に負荷のかかるものに対しては税金が重いという税制は、その誘導に私は大きな影響を与えると思うからです。具体的な例でいうとたとえば今ディーゼル車の排ガスが問題になっていますけれども、このディーゼル車が最近普及してきてしまったという大きい原因としては軽油引取税がガソリン税に比べてかなり安いということがあるわけです。それによって軽油、それを使うディーゼル車が普及したという例があります。これは悪い例だと私は思っていますけれどもね。ですから経済的な手法というものが非常に人々の行動というもの、ライフスタイルというものにも大きな影響を与えると考えれば、環境税というのは非常に重要であるし、導入する必要があると考えます。
(佐藤謙一郎(民主党):[略])
〇小出五郎: 今まで意見をいろいろと伺ってきているのですが、いささか意見を次々と述べていただいているだけで欲求不満になるところがありましてですね、ほかの党の方の意見について何か言いたいという方もいらっしゃるのではないかと思うんですが、特にここで発言したいという方がありませんでしょうか。
(武山百合子(自由党):[略])
〇小出五郎: 確かにここで今日お話を伺っておりますと、各党ほとんど差がないという印象と私も思っております。ところが普段現実の問題になると結構これが差があって、私も以前ちょっと中央環境審議会などで手伝わせてもらったことがあるんですけれども、政策をたとえばアセスメント法の時などにも関わったんですけれども、法律を作る段階になりますとですね、まあ議論百出、立場が違うとこんなにも違うのかと。それが今日ご意見を伺っているとほとんど同じなんで、むしろ世の中はこんなに変わったんだとびっくり仰天しているくらいの感じなんですね。しかしそうは言いながらきわめて具体的な話になってくるとなかなかうまく話が進まないということになってくる。その代表としてですね、やはり公共事業のことが絡んでくると、どうも話がすんなりいかなくなる点があると思うんですね。今回のアンケートの資料ということで二番目に置いといたんですけれども、環境政策として非常に、環境政策の例として交通渋滞とか大気汚染とかこれは非常に重要な問題になっているんですけれども、今道路特定財源がですね、そのことに絡んで環境対策にも使ったほうがいいんじゃないかとかいう議論もあるわけなんですけれども、これになりますと意見が非常に分かれるところがあると思うんですね。総論としては交通渋滞をなくそうとか、大気汚染を防ぐためにいろんなことをやろうとか誰もみな賛成するわけなんですけれども、いったん財源をどうするかということになってくるとこれはもう議論百出で本当にこう変わってきてしまうわけなんですね。ですからここでこういった環境税みたいな話が出てきたんだけれども、環境対策、エネルギー問題なども大きく絡んでくるわけですけれども、どういう財源を考えていったらいいのか。新たに税金が重くなるというのは誰だっていやなわけですけれども、こういうことだったら使っていいんじゃないかと思っている有権者も結構いるわけですよね。どういう財源をもとにして、どういう環境政策を優先的に進めていくか、ということについて少し考えたいと思うんですけれども。特に大気汚染とか交通渋滞など東京の深刻な問題について、ご意見を表明していただけないかと思うんですけれども。
(武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])
〇水野賢一: 東京都の大気汚染ということですけれども、昔は大気汚染というとその原因は工場からの排煙だったわけですね。かつての四大公害のうちのひとつの四日市の喘息なんかは、石油化学コンビナートの排煙だったわけです。けれども今は自動車排ガスが非常に大きい原因になってきている。ではどうすればいいのかということになると、さまざまな規制は実は行なわれているんですね。昔に比べると、たとえば問題のディーゼル車の排ガスなんかもPM規制は平成6年から始まっていますけれども、規制が始まる前よりも4分の1ぐらいにまでPMの量が減っているように一台一台はかなり規制はされている。それなのになぜ、今でも大気汚染はよくならないのかというと、車の台数とか交通量が増えているからですね。だから私は、低公害車は別として車の生産そのものを規制するぐらいのことをしないと、だめなんじゃないかと思っています。かつて日本は自動車貿易摩擦のときに海外輸出を減らすために輸出台数を制限したわけですけれども、同じような発想で自動車生産を規制するというようなことが必要です。貿易摩擦の解消も大切なことかもしれないけれど健康の確保というのはもっと大切なんですから、そういうことをやるべきだと思います。ちなみにこれは私のかなり個人的な意見でございまして、党内では少数意見になりますけれども。ですから、各党の対比をあえて求めるならばですね、自民党の中のバリバリの経済産業部会の人間とか、建設部会とかの人を呼んだら対比がかなりはっきりしたんじゃないかと思うんですが・・・。
(佐藤謙一郎(民主党):[略] 、岩佐恵美(共産党) :[略])
〇小出五郎: 皆さん大変、紳士淑女というか、環境問題についてはあまり際立った違いというのがあまり感じられないんですけれども今日会場にきていらっしゃる方の期待はですね、実はここがよそとは違うんだっていうことをもうちょっと際立たせていただきたいなあ、際立たせて違いを知りたいなあという、そういう期待というのが結構あるように思うんですね。さっき水野さんが環境に非常に関心の深い人ばかりを集めたからこうなるんだというお話でしたが、確かにそのとおりかもしれないんですけれども。 しかしその場合、環境についてはほとんどここにいらっしゃる方は同じ意見だということになってしまうんですが、本当にそれでいいのかなと、私は人事ながら少し心配をしている点があります。それからその中で出てきた問題については、ひとつは環境に関することに関心を持っている方たちは各党を超えて同じようなことを考えているんだけれども、実はなんかここで引っかかってしまう問題がある。さっき原さんは立法と行政というか、むしろ官僚ということなんでしょうか、官僚の方に問題があるとお話をしてくれましたがこれもひとつ問題がある。それからあの公共事業に、地方がそれに依存していないと地方経済が成り立たないということ、そういう構造になっちゃっているんでそれが問題だと。まあいろいろ何点か出てきたんですが、どういう点をですね、より同じ環境についてよくしようという同じ立場で考えられるとしたらですね、我が党は特にここのところを変えることによって自分達の考える環境政策を実現したいんだと、そのポイントをですね、もうちょっと他の党とは違うよという自己主張を強くして、ちょっとお話いただけないかと。何とかその違いをですね、はっきりとしていかないといけないと思うんですね。そうしないとなかなか一票を投ずる気にならないということもあると思うんで。そういう点について。この問題を我が党は一番のターゲットとしているという点を上げていただけないでしょうか。
(原陽子(社民党):[略])
〇水野賢一: 我が党は一言でまとめるのが非常に難しい政党でございまして、田中真紀子さんと鈴木宗男さんが同じ政党にいるくらいですから、なかなか一言でまとめにくい。他の党との違いというよりは、党内の違いのほうが大きいかもしれないという気がするぐらいなんですが・・・。また環境部会副部会長たる水野賢一としての立場で言わせていただければ、これからの環境問題というのはかなりメーカーの責任というのを問うていかなくてはいけないのではないかと思うんです。自動車の排ガスの場合で言えば最近低公害車への買い替えということがよく言われていますが、これは良いことなんだけれども、メーカーからすれば新しい需要ができるわけですからこれはうれしい話なわけですね。しかしそれと同時に痛みの伴う、メーカーにとっても痛みの伴う生産規制とかですね、そういうようなことにも踏み込んでいかなければならないでしょう。そういうことを言うと党内では自動車メーカーの敵のように思われるかもしれませんが・・・。しかしたとえばさっきのフロンの話でも、フロンという自然界には存在しない有害物質を20世紀になって人類がはじめて作った。日本でいうと5~6社が作っていたんですけれども、そういうメーカーの責任というのはフロン法のように全党一致したものでさえ十分には問われてなかったんじゃないかと私は思っています。そういうことを含めて今後研究をしていかなくてはいけないし、党内を説得していかなければいけないなと思っています。
(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略])
〇小出五郎: 環境問題で確かに利害がすごく一致しているということになると、野党は与党の応援団だということですが、水野さんどうですか。
〇水野賢一: ありがたい話でございまして、選挙もそういうふうに応援してもらえるとありがたいんですけれども、なかなかそうはいかないんでしょうけれど、お互い頑張りましょう。
(岩佐恵美(共産党):[NGOの役割について発言])
〇小出五郎: そういうグローバルなことはNGOが頑張っていますよね。国同士が国境を越えてNGOが世界中をつないでいるような時代にもなっていると思います。今のことにも少しつながっていくんですけれども、今の延長にもなるのかな、さっきのアンケートでも、やっぱりこの辺のことについて議論してほしいと希望する方が大変多かったということなんですが、環境問題の解決にはやはりライフスタイルを変えていくということが必要なんです。これは本人の意識の問題という面もありますが、やっぱりライフスタイルを変えるような政策が非常に重要ではないかと思うんですけれども、そういう点ですけれども、これについてまたご意見を述べていただきたいと思います。
〇水野賢一: 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在の環境問題というのは昔の公害問題に比べて、昔の公害問題が全部解決したといっているわけではないんですけれども、どちらかというと今の環境問題というのは、我々自身が加害者であり我々自身が被害者だという面があるわけですね。たとえばCO2なんかは我々の生活の中で排出していて、その温暖化によって人類が被害を被るという点で。そういう点で我々自身の生活を変えていかなければならないのは当然だと思います。じゃあどういうふうに変えるかということになりますと、これはたとえば教育とかいろいろな啓発活動というのもあると思いますけれど、やはり環境にやさしいことをした人間のほうが得をする、そうじゃない相反するようなことをした人間が損をするという、利益誘導というとちょっと言葉が悪いですけれども、経済的に誘導をするためにはさっきの環境税、炭素税、そういうものを考慮する必要はあると思います。 私の選挙区は千葉県の成田空港よりちょっと東京に近いあたりなんですが、そこに印旛沼という沼があります。これは日本で二番目に汚い沼なんですけれども、その汚れの約半分は生活排水なんですね。工業排水ではなくて生活排水が最大の汚染原因なわけです。こういうものに対しては啓発をする必要もあるけれども一方で、ある意味で下水道の整備とか浄化槽の整備だとか、合併浄化槽を導入するとかそこに補助をつけるとかそういうようなことをやる必要はあると思います。
〇小出五郎: これまで一人1分半でやっていましたが、時間が短いのでもう少し長くしましょう。2分半くらいがいいと思います。水野さんの前からやればよかったのですが失礼しました。ここからそうするとして、水野さんは他の方が終わった後で、1分くらい追加して話してください。
(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党):[略])
〇水野賢一: 1分の追加ですね。さっきちょっと申し上げたのはですね、私が申し上げたいのは昔の環境問題というのは、たとえばイタイイタイ病であればカドミウムを出していた三井金属鉱山とかそういうところを取り締まれば汚染は収まったんでしょうけど、今の場合はですね、そういうわけではなくて私の選挙区内の印旛沼が典型なように、生活排水が汚染の原因になっている。じゃあどうするかというと教育も必要だと思います。よく市役所なんかは味噌汁をそのまま台所に流さないようにとか、牛乳を流さないようにとかやっています。けれどもそういう啓発活動だけじゃなくてやっぱりですね、そういうところにこそ公共事業が必要なんじゃないかなと。たとえば下水道の整備ということなんかも、まだまだ遅れている地域があります。東京なんかは完璧であっても千葉県などはまだまだ遅れている。下水道が非効率的なところであれば合併浄化槽を導入するとか、これは非常にお金もかかるけれどもそういうところにこそ重点的に投資をしていくことが必要なんじゃないかなと。教育、啓発活動とあわせてそういう部分への公共事業費の投入というのが必要だと思います。
〇小出五郎: そういうことを通じてライフスタイルを変えていくことができるだろうというお話でした。まあ、今日は環境、地球環境問題ということから話が始まったわけですけれども、アンケートの中でその他自由記入というのがあって、自由に記入していただいたものの中に、やっぱり結構大きな話なんですけれども代表的な質問がありましてちょっとそれについてお答えいただきたいなと思います。これはやはり環境問題はグローバル化していると、特に日本と外国との関係なんですが、ひとつは日本と途上国との関係、途上国の環境支援ということについて、どう考えているか、そしてもうひとつは日本が環境外交ということで、世界をリードしていってほしいなあという期待があるわけですが、どういうふうにですね、日本が環境外交を進めていったらいいだろうか、かなり大きな問題、まさに国政の場にある意味でふさわしい話だと思うんですが、そのことについて意見を表明していただきたいなあと思います。
(佐藤謙一郎(民主党):[略]、岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党):[略])
〇水野賢一: 今の地球環境の問題というのは、やはり先進国に大きい責任がある。だからこそ京都議定書も、CO2の排出に縛りがかかっているのは先進国だけなんですね。そういう意味において先進国が大きな役割を果たしていかなければならないというのは当然ですけれども、じゃあ途上国に対して甘いことを言うのが我々の立場なのかというと、途上国に対してもやはり言うべきことは言う。たとえば温暖化問題のことでもアメリカに対しても言うべきことは言う必要があるだろうけれども、途上国に対してもただ単に甘やかすだけじゃなくて、ちゃんと言うべきことは言うということが必要だと思います。先進国の責任というのは今まで我々がやってきたような20世紀型のエネルギー多消費型の社会じゃなくても、発展できるんだよということを、身をもって示していく必要が途上国に対してあるんじゃないかなと、思うわけです。 あと、技術移転というのは確かに大切だと思います。いま原さんがおっしゃったフロンの場合ですね、日本で一年間に廃車される自動車というのが約500万台ある。その500万台のうちの約100万台が中古車輸出で主に途上国中心に回っているわけですね。で、自動車のカーエアコンというので大体一台あたり、ばらつきがありますが700グラムぐらいフロンが入ってて、それがそのまま車をつぶしちゃうとフロンが空気中に抜けちゃうわけですから、最後に廃車するときに回収する必要があるんだけれども、そのときの回収・破壊コストに大体一台あたり3000円ぐらいかかるということです。そういうようなものにたいして日本国内ではちゃんと回収・破壊するシステムができたけれども、途上国ではおそらくしないわけですね。金がかかるわけですから。一台約3000円ぐらい。こういうことに対してやはり費用面だとか、もしくは技術開発だとかいろんなことを途上国に対しても移転する必要があるだろうし、そういうことをやってこそ日本も国際社会の中で本当の意味で名誉ある地位を占めることができるんじゃないでしょうか
〇小出五郎: 今それぞれの方からご発言いただいたわけですが、どなたか他の党の方にご質問ありますか?
〇水野賢一: 原議員にお伺いしたいと思いますけれども、さきほどらい「脱原発」とおっしゃっていますが、私も原発に対してはいくつかの疑問点は持っています。理由は事故が起きるということだけではなくて、安全に操業していても高レベルの放射性廃棄物が出てきてしまい、そして捨て場も決まっていない、そういう問題があることは十分認識しています。しかし一方、現在発電量のうちの3割強から4割ぐらい、原発が占めているという現実もあるわけです。その中で非常に素朴な疑問ですが、脱原発をした場合のエネルギー源はどのようにお考えですか。
〇原陽子(要約): 生活を変えて私たち自身も省エネに向かっていくべきだと思います。これから省エネということをしっかりやっていけば原発を増やすほど電力を必要とするでしょうか。太陽光発電などの自然エネルギー発電の普及を進めていくべき。そうすれば原発はなくていいと思うし、今は東京で使うための電気を田舎で発電して送ってきているが、それもエネルギーの無駄だと思います。そんなに安全だというのならば東京にも原発を建てていいのでは。
〇小出五郎: この問題は環境よりも原発の話をしたほうが今日は沸いたんじゃないかと思うほどの大テーマでして、エネルギー問題で次やったらいいんじゃないかと思いますけれども、簡単に結論が出る話じゃなくて、まさにこれは意見を表明するよりもディスカッションをして意見の違いをもっと際立たせていって、それで何を選ぶのかっていうことを考えるという方向でやらなければならない、日本の将来に関わる本当に大きなテーマだというふうに思うんです。そろそろおしまいに近づいてきたわけですけれども、今までのことも踏まえて、さらに今まで触れなかったことも踏まえて総括的に最後のまとめの一言というのを皆様に一言お願いいたします。選挙も近いことですから、それも意識をしながらお話いただければと思います。
(岩佐恵美(共産党) :[略]、武山百合子(自由党):[略]、原陽子(社民党) :[略])
〇水野賢一: 私も昭和41年の生まれですので、国会の中では比較的若いつもりでいたのですが、今日は原さんとかですね、さらに会場の若い皆さん方と会うことができて非常に楽しい時間を過ごすことができました。人間にとって生活に欠かすことのできない大気とか水というものが今非常に汚染されてしまっているという実態があるわけですね。水は日本では「湯水のごとく使う」という言い回しがあるように、あたりまえのように使う感じもあったんですが、非常に今貴重なものになっている。それでも水の場合はペットボトルみたいに飲料水を自分で選ぶことがまだできるかもしれないけれども、大気の場合は人間は選ぶことができないわけですね。人は自分が住んでいるところの空気を吸わざるをえない、その大気が汚染されてしまっているという実態があるわけです。個々人の努力では自衛できないわけですから、そうである以上、国、行政というものが、地方自治体というのも含めてきちっときれいな空気を守っていく必要があると思います。そのためには先ほど申し上げたように昔の大気汚染は工場排煙が原因だったかもしれないけれど、今は自動車排ガスが大きな原因になっている。そういう点で自動車に対しても一台一台の自動車を規制することも必要かもしれないけれども、あわせて総量を規制する、そして生産も規制していくことも必要なんじゃないかと思っているわけです。 そういうことを言うと私も党内で異端児になってしまうかもしれないけれど、しかし必要なことは必要だと主張していきたいと思います。党内でいろんなディスカッションしていける点も自由民主党のいい点でありまして、どこの党とは申しませんが画一的にみんな同じことを言うよりは、党内で右もあれば左もあるというのが自民党のいい点だと思っています。
(佐藤謙一郎(民主党):[略])
〇小出五郎: だいぶ長時間にわたってさまざまなところから発言をしていただきました。今後、今日のここで出ましたことを参考にして皆さんにそれぞれ考えていただきたいと思います。京都議定書問題、途上国の問題、道路特定財源など財源をどういうふうに環境に振り向けていくのかということ、さらに自然保護とか廃棄物の問題とかいろんなことが次々現れてくると思うんですね。そういうときにいったいどこの党が、あるいは誰が環境に対して熱心な対策を打ち出していくのか、そして抵抗勢力というものは各党それぞれの中にあったり、国会の中にあったり、官僚の世界にあったり、財界にあったりするわけですけれども、そういうものにどういうふうに対応していくだろうか、ということを割とクールに冷めた目で見極めて、投票の時には一票の権利を行使することを考えてみたいと思います。非常に長時間、ありがとうございました。
参議院選挙を前にして
2001.07.08
「参議院選挙を前にして」
◆第19回参議院選挙の意義は何か。自民党はいかに迎えるべきか。珠玉のような短編。
小泉内閣は空前の高支持率を記録しています。来る参議院選挙ではこの小泉人気にあやかろうという自民党候補者がたくさんいます。 自民党にとって久しぶりの追い風の中での選挙といえましょう。 振り返ってみるとここ10年ほどの自民党は慢性的な逆風にさらされていました。そして選挙の度に無党派層の影に怯えていたといっても過言ではありません。私も仕事柄、各種の選挙に関わりますがその時、自民党の選挙関係者から必ず耳にするのが「投票率が上がると危ない」「無党派層の動向が怖い」というぼやきでした。その最たるものが昨年の総選挙での森首相の「寝ててくれれば」発言でしょう。つまり無党派層に積極的に訴えかけることを諦め、彼らが動き出さないように恐る恐る選挙をしていたような感があります。自民党は臆病な政党になってしまっていたのです。
しかし少なくとも日本の第一党たる政党がこうして臆病な態度であっ てよいはずがありません。一人でも多くの方に投票所に足を運んでもらった上で、一票でも多く勝ち獲るという気概が必要なのです。今こそ自民党議員や候補者は自らの所信を正面から国民に訴え、正々堂々と国民の審判を受ける覚悟で参議院選にのぞみたいものです。
千葉県にも広がる大気汚染
2001.07.02
「千葉県にも広がる大気汚染」
◆健康を損なう大気汚染について分かりやすく解説。解決策も明確に打ち 出した大気汚染問題の決定版。
◆空気を守る必要性
空気や水というのは当たり前のものと考えられています。特に日本は水道水をそのまま飲める珍しい国とされ、「日本人は水と安全はタダだと思っている」と評されたこともあります。しかし最近では水に関しては事情が変わってきました。ペットボトル入りのミネラルウォーターが普及するようになりました。つまり金を出してでもきれいで美味しい水を飲みたいという人が多くなってきたのです。しかし空気の場合はそういうわけにはいきません。金を出してきれいな空気を買うということはできないのです。人は住んでいる場所の空気を吸わざるをえません。個々人の努力では自衛できない以上、国や自治体が責任を持ってきれいな空気を守る必要があります。ところが実際の大気汚染はますます深刻になっています。裏を返せば、汚染を防止するために政治の果たすべき役割もますます大きくなっているのです。
◆汚染の主役は自動車排ガスに
大気汚染の歴史の中で最初に問題になったのは石炭から出るススでした。初めての大気汚染立法が昭和三十七年の煤煙規制法だったのはその表れです。その後、汚染の元凶は石炭から石油に変わっていきます。石油化学コンビナートから排出される亜硫酸ガスが引き起こした四日市ぜんそくはその典型でした。工場への規制が厳しくなっていくと、かわって前面に出てきたのが自動車排ガスによる大気汚染です。 そしてこれは今に至るも改善されていません。それどころか汚い排ガス を撒き散らすデイーゼル車の普及と共にさらに被害が甚大になっているくらいです。 自動車の排気ガスには窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの有害物質が含まれています。特にデイーゼル車の排ガスには多く含まれています。これらの物質は肺がん、ぜんそく、気管支炎などの呼吸器系疾患を引き起こすことが知られています。また花粉症の原因にもなると言われています。大昔からスギの木はあるのに、近年になって花粉症が激増している背景には都市部を中心とした大気汚染があると指摘する学者も多いのです。
◆深刻な千葉県の大気汚染
こうした汚染に直面して東京都では石原都知事が先頭に立って「デイーゼル車No作戦」を展開しはじめました。ただ大気汚染はなにも東京都だけの現象ではありません。千葉県の大気の状況も深刻です。国は汚染物質に対して環境基準を定めています。環境基準とは健康を保護するために望ましい基準のことで、SPM(浮遊粒子状物質)の場合は1立方メトールあたり0.1mg以下とされています。最新の調査では全国1529の測定所のうち90.1%ではこの基準を満たしています。しかし私が選挙区としている千葉県九区内の六か所の測定所では、すべて基準を達成していません。さらに衝撃的な報告もあります。国立環境研究所などの研究グループが肺がんの原因を調査した結果です。もちろん一位は喫煙ですが、デイーゼル微粒子も大きな原因であることが分かりました。特に肺がんによる死者のうちデイーゼル微粒子が原因と見られる人の割合は、千葉市が全国でトップだったのです。
◆これまでの対策とは
こうした状況に対し、今すぐ有効な対策をとらねばなりません。先に述べた通りにきれいな大気を守ることは国や自治体の責任だからです。実を言うと国もまったく手をこまねいてきたわけではありません。平成四年には自動車NOx法という法律が制定され、今年の通常国会で改正もされました。また平成六年からはデイ-ゼル排ガスに含まれるPM(粒子状物質)の規制が始まりました。 最新のデイーゼル車から出るPMの量は規制が始まる前の3分の1になっています。つまり一台一台の自動車はかなりクリーンになってきています。また政府は天然ガス車などの低公害車普及のため税制をはじめさまざまな助成措置を設けています。しかしそれでも大気の状況が厳しいのが実態なのです。
◆いますぐ抜本対策を
ではどうすれば良いのでしょうか。これまで積み重ねてきた政策をさらに推進することも必要でしょう。例えばPMの規制値は厳しくなったとはいえ、ヨーロッパに比べるとまだ二倍以上も緩いのです。国民の健康を守るために厳しくするのは当然です。低公害車の促進も積極的にやるべきです。小泉首相も三年以内に政府公用車をすべて低公害車に切り替える方針を打ち出しています。
こうした政策に加えて、私は新たに自動車メーカーに生産規制をかけることが必要だと思っています。一台一台の車からの排ガスが以前に比べてクリーンになっているにもかかわらず、それが功を奏さないのは、車の台数が大幅に増えてしまったからです。 この30年で全国の車は四倍以上に増え、近年は特にデイ-ゼル車の増加が目立ちます。これではせっかくの排ガス規制の効果も相殺されてしまいます。だからこそ低公害車以外の自動車生産には一定の規制をかけることが必要なのです。むしろこれなくしては抜本対策とは言えないと思います。現にアメリカ・カリフォルニア州では同様の規制を始めています。
これには自動車メーカーは反対するでしょう。彼らに痛みが伴うからです。しかし痛みを伴っても断行しなければならない政策もあります。自動車会社の利益よりも国民の健康の方が優先されるべきなのですから。
ミサイル防衛について
2001.06.26
「ミサイル防衛について」
外国からミサイルが飛んできたらどうするか。ミサイル防衛について分かりやすく解説。
ミサイル防衛構想が注目を集めている。田中真紀子外相がこれに否定的な発言をしたとの報道が流れたからだ。田中外相は報道内容を否定しているので真偽のほどは分からない。「言った」「言わない」ということはここでは問わない。肝心なのはミサイル防衛構想をどう考えるかということである。
ミサイル防衛とは簡単に言えば、敵国が打ち込んでくる弾道ミサイルを撃墜する技術を開発しようということである。現在の技術ではミサイルを撃ち落とすことは極めて難しい。10年前の湾岸戦争の時にもイラクが発射したミサイルをパトリオット・ミサイルが迎撃したが、十分満足のいく精度とはいえなかった。 ミサイルは北朝鮮が保有している中距離ミサイルでも秒速3キロという高速で飛翔し、米露中などが保有する大陸間弾道弾になれば秒速7~8キロに達する。マッハ2の戦闘機といっても秒速に直せば0,7キロくらいだからいかに速いかが分かる。ましてミサイルは電波を反射する面積が小さいためレーダーにも探知されにくく、その要撃は困難を極める。
しかしこれでは、ひとたび相手国がミサイルを発射してしまえば大変なことになってしまう。ましてそのミサイルが核兵器などを積んでいれば国家の存亡にも関わる。そこでアメリカでは飛来するミサイルを撃墜する技術を開発しようとしている。これがミサイル防衛構想であり、日本もアメリカと共同して研究しはじめている。
私はこの研究は進めるべきだと考えている。現在、世界中で弾道ミサイルを保有している国は41か国もある。30年前には米ソ二か国だけだったのに比べると大変な勢いで拡散している。日本周辺でも中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾、ベトナムなどが保有している。98年に北朝鮮がテポドン・ミサイルを発射し、三陸沖まで到達したことは記憶に新しい。こうした状況下で、日本向けにミサイルを発射する国が絶対にないとは言い切れない。その時に飛んで来るミサイルを手をこまねいて待っているわけにはいかない。撃墜する術を考えるのは当然のことだと思う。ましてこれは他国を攻撃する兵器ではない。防衛専門のシステムである。専守防衛を掲げる日本にこそふさわしいものといえる。ミサイルを矛だとすれば、ミサイル防衛は盾である。矛をもっていない日本が、せめて盾の技術くらいは大いに研究すべきだろう。
もっともこのミサイル防衛の開発には莫大な費用がかかるといわれる。なにしろ難技術である。先に述べたように中距離ミサイルでさえ秒速3キロくらいで飛んで来るのだ。迎えうつ側は、これを撃ち落とすためのミサイルを地上もしくは海上から発射して対抗する。いわば飛んで来る弾丸に向けて、銃を撃って撃ち落とすようなものである。しかもミサイルの速度はライフルの銃弾(秒速0.7キロ)よりもはるかに速い。これほどの技術を開発し、本格的な開発や配備にまで進むとどのくらいの費用が掛かるのかはまだ見えてこない。いかに防衛兵器といっても費用対効果を無視するわけにはいかないとの声があるのも事実である。
しかし、だからといってミサイル防衛の構想そのものを否定するのは早計である。「構想そのものを否定する」ことと「構想は理解するが、費用が掛かるから慎重にのぞむ」ことには雲泥の差がある。どうも田中外相の発言を聞いていると、前者の立場、つまり構想そのものを否定する姿勢が見え隠れする。私はむしろ後者の立場を取りたい。今の段階ではまず研究を推進すればよいと思う。本格的に量産し、実戦配備するとなると確かに費用もかさむ。そこまで踏み込むかどうかは、研究の結果を見て、後に考えていけばよいのである。
それにしても理解に苦しむのは中国の態度である。中国はミサイル防衛に反対の意向を表明している。しかし中国自身は弾道ミサイルを保有しているのだ。96年には台湾近海に撃ち込み緊張を招いてもいる。日本を射程圏に含んだ矛を持っている国が、矛も盾も持たない日本に対して「盾を持つのもけしからん」と言うとは、一体どういう了見なのだろうか。
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