原発の事故調査委員会の動き
~みんなの党も幹事会メンバーに~
東京電力福島第一原発の事故調査委員会を国会に置くことを定めた法律が昨日(10月30日)施行された。近々、事故調査委員会が発足することになる。
本日もその準備のための各党協議会が開催された。事故調査委員会は国会の中でも衆参の議院運営委員会の合同協議会の下に置かれる形になるので、私も参議院の議運理事としてこの各党協議会に参加した。
国会に置かれるといっても国会議員が調査委員になるわけではない。国会が民間有識者10名を委員として選ぶ。基本的にはその人たちが関係者から聞き取りをしたり、資料を提出させたりして事故原因や政府の事故対応などを調査・検証することになる。
実は政府の事故調査・検証委員会というのがすでに設置されており、6月から活動を始めている。「失敗学」を提唱している畑村洋太郎・東大名誉教授を委員長として、これまでに338人からヒアリングを実施したという。
今回、それに加えて国会にも事故調査委員会を設置したことになる。だからといって屋上屋を架すことにはならないと思う。両者にはいくつかの違いがある。例えば政府の事故調査・検証委員会は原則非公開だが、今度国会に設置される事故調査委員会は公開が原則となっている。
そうした違いもあるが、国会に設置する最大の意味は中立性・信頼度の問題だといえる。いま政府の事故対応が問われているのである。そうした中、政府に設置され、政府が人選を行なった委員会では「本当にきちんとした調査ができるのか」という疑念が拭いきれない。
もちろん政府の委員会も一生懸命に取り組んでいるのだろう。年末には中間報告をまとめるというが、有意義な報告書を出してくるのかもしれない。しかし中立性に疑念を持たれるだけでその報告書の価値は下がってしまう。まして今回の事故は国際社会も注視している。それだけに中立性・信頼性への疑念はできるだけ払拭しておきたい。しかもこれだけの大事故である。政府が自ら検証することを否定はしないが、違った眼で多角的に分析することも大切だと思う。
さて“国会に設置する”といっても、先に述べた通り調査を実施するのは10名の民間有識者である。では国会の役割は何なのか。費用負担はもちろんである。かかる経費は衆参両院が分担する。それ以外にも大きく分ければ二つある。
一つは委員の人選である。政府の委員会の場合、委員は政府が人選したが、こちらは国会が10名の民間有識者を選任する。衆参の議院運営委員会の合同協議会が、委員長と9名の委員を推薦して両院本会議の了承を得て任命される。それだけに一党一派に偏った人選は考えにくくなる。
もう一つは資料提出を拒む者がいた時など、何らかの強制力を発動しなければならない時である。その時は調査会は上部機関である衆参の議院運営委員会合同協議会に国政調査権を発動してくれと要請することになる。そうするとこの合同協議会が強制権をもって資料の提出を求めることができる。いわゆる国政調査権の発動である。ちょうど国会が強制力をもって証人喚問できるのと同じことである。ちなみに政府の事故調査・検証委員会にはその権限はない。
本日の各党協議会では合同協議会の構成などを決めた。衆参15名ずつの合計30名で、各党の割り当ては以下のように決まった。
衆議院 参議院
民主 9 8
自民 3 5
公明 1 1
みんな 0 1
共産 1 0
社民 1 0
合計 15 15
なお合同協議会の会長には衆議院議院運営委員長(現在、民主党)が、会長代理には参議院議院運営委員長(現在、自民党)がつく。
さらに30名全員で合同協議会の運営を決めるのは難しいので、その中に幹事会を設けることにして、構成を次のようにすることも決めた。
衆議院 参議院
民主 4 3
自民 2 2
公明 1 1
みんな 0 1
合計 7 7
cf.幹事会にはこの衆参7名ずつ以外に会長と会長代理が加わることになる。
cf.なお合同協議会も幹事会も正規の委員や幹事以外のオブザーバー参加の余地も残している。
今後、大きな焦点になるのが事故調査委員の人選である。こうした点でもみんなの党の意見を反映させられるように努めていきたい。
とりわけ事故調査委員会はベントの遅れなど直接的な事故対応を調査するだけでなく事故の遠因になった原子力村の馴れ合い体質などにもメスを入れると考えられる。こうした部分にも鋭く切り込めるような適任者を選んでいくことがまず第一である。