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けんいちブログ

野田首相の答弁ぶり

2011.11.05

野田首相の答弁ぶり
     ~ちょっと政府に甘すぎる感想?~

 野田佳彦首相の答弁が安全運転すぎるという批判がある。低姿勢には違いないが、答弁書を棒読みするだけで情熱も覚悟も伝わってこないという指摘である。

 今週は衆参両院の本会議で代表質問が行なわれた。私も参議院の代表質問をずっと聞いていたが、確かにその指摘には頷ける点も多い(なお参議院では女性議員が2名登壇したが、その時だけはアドリブが入ったような感じもしたが、気のせいだろうか?)。政治理念やTPPなど多くの質問者が取り上げるテーマには判で押したように同じ答弁が繰り返された。

 もっともそれも分からないでもない。同じテーマについてある人に答えたことと別の人に答えたことが違えば、それはそれで問題になりかねない。ある人にはそっけなく簡略に答弁して、他の人には詳細かつ丁寧に答えれば、簡略に答弁された方は怒るだろう。「面白みがない」と言われようと模範解答を繰り返すのは仕方のない面もある。

 本会議での質問というのは一問一答ではない。数十分質問して、だいたい同時間政府側が答弁するという一方通行のやりとりである。例えば今週の代表質問の場合、みんなの党からは福島県出身の小熊慎司議員が登壇し、原発事故問題を中心に取り上げたが質問枠は20分だった。自民党の枠は85分だったので3人で割って40分、25分、20分としていた。民主党の持ち時間は60分で、25分、20分、15分に三分割した。公明党は一人が30分の範囲で質問した。

 これだけの時間があれば、当然質問も数十問はある。それだけにすべてを覚えて、即興で的確に答弁するというのは無理な話である。だから前日までには質問の全文を通告し、その通り質問をする慣例になっている。形式的と言えば形式的だが仕方がない面もある(各委員会は一問一答なので、大まかな通告はするが全文通告でその通り読むというわけではない)。

 また質問した事項を一つでも飛ばして答えれば野党もすぐに「答弁漏れだ」と言い立てる。これも棒読みを助長することになる。
 小泉純一郎首相などはアドリブ答弁が比較的多い方だったが、それでも郵政や構造改革の話の時に限られていた。それまで淡々と答弁書を読み上げるだけだったのが、郵政の話になると突如として身振り手振りを交えて熱弁をふるったものだった。だがその話題が終わるとまた普通に答弁書を読み上げていた。

 「メモを見ずに自分の言葉で語れ」というのは口で言うのは簡単だが、実際にはそう簡単ではない。現に質問者も原稿を読んでいる。しかも質問側は十分に練習を積んできた上で、本会議場に臨むのだから答弁側にだけ即興でメモも見ないで答えろというのはちょっと酷であろう。

 それにしても総理大臣というのは大変だと思う。総理だからと言って森羅万象に通じているわけでもない。またその必要もない。そのために各大臣や官僚がいるのである。しかし聞く方は何でも総理に聞きたがる。しかも質問者は入れ替わり、立ち替わりで、多種多様な問題を提起するのである。そういう点では、総理というのは大変な仕事だなあと敵方(私は野党なので)ながら思う。週明けから衆参で予算委員会が始まれば、ますます心労も増えるだろうといささか同情の思いもある。

 今日は随分と政権側の都合に理解を示すことを書いたように思う。野党議員としては政府に対し寛容すぎたかもしれない。ただあらためて思うのは総理大臣を評価する時に大切なのは答弁の巧拙よりも政策の良し悪しである。そして実際に何を実行するかである。
その政策の部分で野田内閣にはかなりの懸念を持っている。特に増税一直線の路線にはみんなの党は断固反対である。今後、この点は大いに路線論争をしていきたい。

 なお本日未明、西岡武夫参議院議長が逝去された。心からお悔やみ申し上げたい。一週間余り前にお電話をいただいたのが私にとっては最後になってしまった。議長の逝去については項をあらためてまた触れたい。

日曜討論に出演

2011.11.04

水野賢一事務所です。
今度の11月6日(日)のNHK「日曜討論」(午前9時より生放送)
参議院国対委員長として水野けんいちが出演いたします。
(番組上の肩書きはみんなの党幹事長代理が使われるかもしれませんが。)
今回は各党の国対委員長クラスでの討論になりますので、
ぜひ、ご覧ください!

原発事故調査の協議会が初会合

2011.11.03

原発事故調査の協議会が初会合
       ~調査委員の人選に着手~

 東京電力福島第一原発事故についての事故調査委員会が国会に設置される。そのための衆参両院議院運営委員会の合同協議会が昨日初会合を開いた。

 この協議会は衆参両院から15名ずつの合計30名で構成される。そして協議会には幹事会を設けて、運営の詳細を議論することになった。幹事会のメンバーは以下の通りである。
 合同協議会会長   小平忠正(民主・衆)
 合同協議会会長代理 鶴保庸介(自民・参)
   幹事      松野頼久(民主・衆)
   幹事      山井和則(民主・衆)
   幹事      笠浩史 (民主・衆)
   幹事      川内博史(民主・衆)
   幹事      小川敏夫(民主・参)
   幹事      松井孝治(民主・参)
   幹事      川崎稔 (民主・参)
   幹事      塩崎恭久(自民・衆)
   幹事      佐藤勉 (自民・衆)
   幹事      松山政司(自民・参)
   幹事      義家弘介(自民・参)
   幹事      遠藤乙彦(公明・衆)
   幹事      長沢広明(公明・参)
   幹事      水野賢一(みんな・参)

 この幹事会の当面の最大の仕事は事故調査委員の人選である。事故調査に当たるのは民間有識者10名となっている。この選任をしなければならない。

 昨日の幹事会では各党割り当てという方式はとらないことを決めた。つまり10名のうち例えば民主枠が4人、自民枠が3人・・として各党に割り振り、政党が推薦してきた人をそのまま任命するというやり方はしない。そうしたやり方だと公正中立な事故調査というよりも政争の具にされる可能性も出てきかねない。そして何より推薦される有識者も○○党系の人などと色眼鏡で見られるのは迷惑だろう。
 そこで各党割り当てではなく、全党がだいたい合意できるようなしっかりした人物を幹事会全体で推挙していこうということになった。

 そうはいっても人選はなかなか難しい。まず原子力についてのある程度の専門性は必要である。かといって「原子力村」と揶揄されるような集団から選ぶわけにもいかない。東京電力やプラントメーカーの利害関係者も困る。また安全神話をふりまいてきたいわゆる「御用学者」も避けたい。かといって妙なイデオロギー的な脱原発論者(例えば反原子力と言いながら北朝鮮の核開発は許容・賛美するような人)も願い下げである。すでに政府も事故調査・検証委員会を発足させているので、委員が重複したのでは国会に新設する意味がない。

 「難しい、難しい」と言っているだけでは進まないので、そうした中でも英知を出しながら、よい人選を進め、しっかりとした事故調査が行なわれるために力を尽くしたい。

 cf.なお国会に原発事故調査委員会を設置することについては10月31日のブログでも触れている。

「電力使用量のデータを隠すな(その3)」

2011.11.02

   電力使用量のデータを隠すな(その3)
   ~隠蔽事業所501のリスト~

 エネルギーを多量に使う事業所はその使用量を経済産業省に定期報告することになっている。この定期報告制度が導入されたのは1993年の省エネ法改正によってである。

 報告する使用量は原油、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、A重油、B・C重油、石油アスファルト、石油コークス、LPG、LNG、原料炭、一般炭、無煙炭、石炭コークス、コールタールなど様々である。そして電気の使用量ももちろん対象である。
 cf.実際の報告書は単なる電気使用量だけでなく一般電気事業者からの昼間買電、一般電気事業者からの夜間買電、自家発電といった内訳も記入させる形になっている。

 省エネ法はエネルギー多量使用者を次のように定めている。
  第一種エネルギー管理指定工場
・・年間のエネルギー使用量が原油換算で3000kl以上
  第二種エネルギー管理指定工場
・・年間のエネルギー使用量が原油換算で1500kl以上

 この第一種と第二種のいずれにも定期報告を出す義務がかかっている。ちなみに報告を出すのは企業単位ではなく事業所単位である。つまり新日鉄という企業単位で1500klを超えると報告するのではなく、君津製鉄所や名古屋製鉄所といった事業所単位で1500kl以上ならば報告することになる。

 昨日のブログに「7804事業所から報告があり、そのうち501事業所分が非公開だ」と書いたが、これは第一種エネルギー管理指定工場のことである。以下、その501の隠蔽事業所名を記す。経済産業省はこの501事業所のエネルギー消費量は非公開にしているが、事業所名は公開しているので、それを記す。

           501事業所名はここをクリック
 なお第二種エネルギー管理指定工場も全国に約7000あり、その情報公開も十分には行なわれていないことも申し添えておく。
 この連載の次回“その4”では最高裁判決を非開示の口実にするのは間違っていることについて述べる。

「電力使用量のデータを隠すな(その2)」

2011.11.01

  電力使用量のデータを隠すな(その2)
       ~隠蔽事業所数は501~

 10月30日のブログに書いた通り、エネルギーを一定以上使った事業所はその使用量を経済産業省に報告することになっている。この報告の対象となっている事業所の数は全国に7804。このうち501事業所分のデータを経済産業省は非公開にしている。

 この隠蔽事業所501のリストは明日のブログに掲載しようと思う。なお形式上は情報を隠蔽しているのは企業ではなく経済産業省である。ただ実際にはこれらの会社が同省に「公開しないでください」と頼んでいるので、「隠蔽事業所」と呼んでも的外れではない。
cf.エネルギーというのは電気だけではなく、重油、石炭、LNGなど熱エネルギーもある。そのためこの7804事業所が全国の電気使用量の多い方から上位7804事業所だとは限らない。

 「データは全面公開されるべきだ」「電力使用量のデータがないと十分な法案審議ができないではないか」という私の主張については前回触れた。

 8月25日の国会質疑では海江田万里経済産業大臣(当時)は公開に前向きな姿勢を示している。それから2か月経ったので「あれはどうなった」ということで10月27日の参議院環境委員会で私が質問をした。

 国会では“その場しのぎの前向き答弁”というのに時折出くわす。追及された政府側が「よく検討させてください」「おっしゃることはよく分かるので、関係省庁と連絡を取り合いながら結論を出していきます」みたいな答弁で、その場だけは追及をかわす手法である。
 答弁だけは前向きで、実際には何も進まないというのでは困る。それだけに海江田大臣の答弁が実行に移されたかどうかを検証しようと思ったのである


 以下、10月27日の参議院環境委員会でのやりとりである。

〔水野賢一〕
(前略)経済産業省はそのデータ持っているんですよ。なぜならば、省エネ法という法律に基づいて、一定以上の電気を使っている企業は自分たちがどれだけ電気使ったということの報告を定期報告で経済産業省に上げていますから。で、質問しますけれども、この海江田さんの答弁の後新たに開示されたデータはあるんでしょうか。
〔経済産業省の新原浩朗・省エネルギー・新エネルギー部長〕
お答え申し上げます。その後開示したデータというのはございません。(後略)

〔水野賢一〕
大臣が公開するというように答弁して、その後新たに開示を何もしてこないというのはおかしいでしょう。じゃ、ちょっと聞きますけれども、今現在、幾つの事業所分のデータが公開されていないんですか。
〔経済産業省の新原浩朗・省エネルギー・新エネルギー部長〕

お答え申し上げます。省エネ法に基づき提出された定期報告書のうち直近の平成20年度の場合、エネルギー種類別の使用量等の報告の全部又は一部、一部だけでも不開示にしたものという事業者数というのは501か所でございます。ちなみに、第一種エネルギー管理指定工場が平成20年度の場合7804か所でございますから、7804のうち501か所が一部なりとも不開示になっているということでございます。

 つまり答弁から2か月経って、公開はまったく進んでいないのである。このやりとりの中で、経済産業省側は新たな論法を持ち出してきた。「最高裁の判決があるから公開できない」というロジックである。同じ日の質疑でも松下忠洋経済産業副大臣はこう述べている。
〔水野賢一〕

これ、何か電気の使用量を新たに調査しろと言っているわけじゃないんですよ。つまり、持っているんですよ、経済産業省は。その持っているものを公開しますというふうに大臣も言っていながら、その501、公開していないのが現状なわけですね。(中略)これは副大臣、すぐ公開してください。

〔経済産業省の松下忠洋副大臣〕
海江田前経済産業大臣との間でやり取りがあったことは承知しておりまして、水野委員の質問の趣旨もよく分かります。その後、今事務方から答弁させましたけれども、最高裁判所の一つの判断が出てきておりますので、それによりまして、各工場における各種エネルギーの種別ごとの使用量を示す情報は、情報公開法第五条の不開示情報に当たると判断しており、各工場における電気の使用量自体はこれに該当しているため、そのデータ自体を公開することは最高裁の判決と矛盾することになるということで今答弁したことになると、そういうふうに言っているわけですね。

 最高裁判決というのは10月14日の判決のことである。これについて少し説明しよう。エネルギー使用量のデータを公開しろと言っているのは私だけではない。同じような主張をしている人たちに環境NPO「気候ネットワーク」がある。この気候ネットワークが2004年にデータを公開するように求めた。政府の持っている情報は原則、情報公開法で公開することになっているため、それに則って公開請求したわけである。

 ところが経済産業省は公開しなかった。そこでNPO側が開示を求める訴訟を起こした。一審、二審の判決は合計6回。うちNPOの勝訴(つまり開示しろという判決)が5回、国の勝訴(つまり非開示で構わないという判決)が1回だった。

 上告の結果、裁判は最高裁にまでもつれ込み10月にその判決が出たわけである。最高裁は国に軍配を上げた。非開示で構わないということである。そこで松下副大臣も「公開することは最高裁の判決と矛盾することになる」と発言することになる。

 そう聞くと、一見「最高裁がそう決めたんだからしょうがないじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれない。しかし実際にはそうではない。最高裁が何と言おうと経済産業省がこの情報を開示することは何の問題もない。もちろん違法でもなんでもない。

 明日は隠蔽事業所のリストを公開する連載“その3”を掲載する。最高裁判決を口実にすべきでないことは“その4”で報告をする予定でいる。
 cf.本稿で7804事業所、501事業所という数字を使ったが、これは第一種エネルギー管理指定工場の中での話であり、第二種エネルギー管理指定工場を含んでいない。そのため厳密に言うと隠蔽事業所数はもっと多い。

「原発の事故調査委員会の動き」

2011.10.31

原発の事故調査委員会の動き
     ~みんなの党も幹事会メンバーに~

 東京電力福島第一原発の事故調査委員会を国会に置くことを定めた法律が昨日(10月30日)施行された。近々、事故調査委員会が発足することになる。

 本日もその準備のための各党協議会が開催された。事故調査委員会は国会の中でも衆参の議院運営委員会の合同協議会の下に置かれる形になるので、私も参議院の議運理事としてこの各党協議会に参加した。

 国会に置かれるといっても国会議員が調査委員になるわけではない。国会が民間有識者10名を委員として選ぶ。基本的にはその人たちが関係者から聞き取りをしたり、資料を提出させたりして事故原因や政府の事故対応などを調査・検証することになる。

 実は政府の事故調査・検証委員会というのがすでに設置されており、6月から活動を始めている。「失敗学」を提唱している畑村洋太郎・東大名誉教授を委員長として、これまでに338人からヒアリングを実施したという。
 今回、それに加えて国会にも事故調査委員会を設置したことになる。だからといって屋上屋を架すことにはならないと思う。両者にはいくつかの違いがある。例えば政府の事故調査・検証委員会は原則非公開だが、今度国会に設置される事故調査委員会は公開が原則となっている。

 そうした違いもあるが、国会に設置する最大の意味は中立性・信頼度の問題だといえる。いま政府の事故対応が問われているのである。そうした中、政府に設置され、政府が人選を行なった委員会では「本当にきちんとした調査ができるのか」という疑念が拭いきれない。
 もちろん政府の委員会も一生懸命に取り組んでいるのだろう。年末には中間報告をまとめるというが、有意義な報告書を出してくるのかもしれない。しかし中立性に疑念を持たれるだけでその報告書の価値は下がってしまう。まして今回の事故は国際社会も注視している。それだけに中立性・信頼性への疑念はできるだけ払拭しておきたい。しかもこれだけの大事故である。政府が自ら検証することを否定はしないが、違った眼で多角的に分析することも大切だと思う。

 さて“国会に設置する”といっても、先に述べた通り調査を実施するのは10名の民間有識者である。では国会の役割は何なのか。費用負担はもちろんである。かかる経費は衆参両院が分担する。それ以外にも大きく分ければ二つある。

 一つは委員の人選である。政府の委員会の場合、委員は政府が人選したが、こちらは国会が10名の民間有識者を選任する。衆参の議院運営委員会の合同協議会が、委員長と9名の委員を推薦して両院本会議の了承を得て任命される。それだけに一党一派に偏った人選は考えにくくなる。

 もう一つは資料提出を拒む者がいた時など、何らかの強制力を発動しなければならない時である。その時は調査会は上部機関である衆参の議院運営委員会合同協議会に国政調査権を発動してくれと要請することになる。そうするとこの合同協議会が強制権をもって資料の提出を求めることができる。いわゆる国政調査権の発動である。ちょうど国会が強制力をもって証人喚問できるのと同じことである。ちなみに政府の事故調査・検証委員会にはその権限はない。

 本日の各党協議会では合同協議会の構成などを決めた。衆参15名ずつの合計30名で、各党の割り当ては以下のように決まった。
      衆議院  参議院
  民主   9    8
  自民   3    5
  公明   1    1
  みんな  0    1
  共産   1    0
  社民   1    0
  合計  15   15

 なお合同協議会の会長には衆議院議院運営委員長(現在、民主党)が、会長代理には参議院議院運営委員長(現在、自民党)がつく。
 さらに30名全員で合同協議会の運営を決めるのは難しいので、その中に幹事会を設けることにして、構成を次のようにすることも決めた。
      衆議院  参議院
  民主   4    3
  自民   2    2
  公明   1    1
  みんな  0    1
  合計   7    7

 cf.幹事会にはこの衆参7名ずつ以外に会長と会長代理が加わることになる。

 cf.なお合同協議会も幹事会も正規の委員や幹事以外のオブザーバー参加の余地も残している。

 今後、大きな焦点になるのが事故調査委員の人選である。こうした点でもみんなの党の意見を反映させられるように努めていきたい。
 とりわけ事故調査委員会はベントの遅れなど直接的な事故対応を調査するだけでなく事故の遠因になった原子力村の馴れ合い体質などにもメスを入れると考えられる。こうした部分にも鋭く切り込めるような適任者を選んでいくことがまず第一である。

「袖ヶ浦市長選で党推薦候補が惜敗」

2011.10.31

袖ヶ浦市長選で党推薦候補が惜敗
    ~新人の渡辺薫さん、残念ながら届かず~

 昨日、千葉県袖ヶ浦市長選挙の投開票があり、みんなの党が単独推薦した渡辺薫氏は次点に終わった。開票結果は以下の通りである。
  当  出口清  10067 現 無
      渡辺薫   8937 新 無(みんなの党推薦)
      大森正行  6589  新 無

 渡辺氏が当選すれば千葉県内で初のみんなの党推薦の市長が誕生するところだった。まして他党と相乗りでなく単独で推薦した候補の勝利となると全国でも珍しいことになる。

 連日、袖ヶ浦入りして自ら自転車をこいで選挙応援した佐藤浩・党千葉県議団長をはじめとする党所属県議・市議や党関係者には頭が下がる。

 言うまでもないが、渡辺氏の選挙運動に力を尽くしたのはみんなの党の関係者ばかりではない。地元の浜田靖一衆議院議員(自民党)をはじめとする自民党系市議の方々、党派にかかわらず渡辺氏を応援した心ある袖ヶ浦市民の方々の力は絶大だった。もちろん候補者本人や周りの人たちも必死の努力を積み重ねてきた。

 cf.自民党系議員は大森候補の支持にまわった人たちもいたので、いわゆる保守分裂選挙の形になっていた。なお現職の出口候補は政党推薦は受けていなかったが東電労組出身で民主党系と目されていた。

 残念ながら選挙結果はこうした努力を実らせるものにはならなかったが、渡辺氏に票を投じた方々の思いが、袖ヶ浦市のより良い未来のためにつながっていけばと思う。ともあれ候補者も奥様も本当にお疲れ様でした。

電力使用量のデータを隠すな(その1)

2011.10.30

電力使用量のデータを隠すな(その1)
      ~経済産業省は全面開示せよ~

 10月27日の参議院環境委員会で質疑に立った。ここで追及した大きな柱が「経済産業省は各企業の電力使用量のデータを開示しろ」ということである。実は経済産業省は、どの会社のどの事業所が年間どれだけの電気を使ったかというデータを持っている。省エネ法という法律によって一定以上のエネルギーを使った事業所には、その使用量を報告する義務がかかっているからである。

 問題はそのデータが十分に開示されていないことである。そこで開示せよと迫ったわけである。どのような答弁だったかを記す前に、なぜこのデータを公開すべきなのかについて触れておく。

 今年8月に再生可能エネルギー買取り法が成立した。党内外の退陣圧力で瀬戸際に追い詰められていた菅直人首相が「退陣させたいならこの法案を成立させろ」と条件に挙げていたあの法律である。

 この法律は政府が提出したが、国会審議の中で修正が加えられた。自民党が「この法律が成立すると電気料金が上がる。上がると電気を多量に使う会社は困る。だから多量に使う会社の電気代には配慮すべきだ」と主張したためである。

 そこで「製造業で平均よりも8倍以上電気を使う企業の電気代は大幅に割り引く」ということになった。私は再生可能エネルギーの買取り制度には賛成だが、この修正は法案の改悪だと考えており、このブログでも7月28日に「後ろ向き修正」だと強く批判した。

 cf.この法律については本ブログの7月28日、8月2日、8月30日の項でも触れている。
 電気を多量に使う業界というのは電炉、化学、鋳造といった業界である。私はこうした特定業界を優遇する修正は不要だと考えるが、百歩譲って一定の配慮は必要だとしても「何で8倍なんだ」という疑問は出てくる。5倍でも10倍でもなく、なんで8倍で線を引くのかその根拠がさっぱり分からない。

続いて出てくる懸念は「いま平均よりも7倍使っている会社は、わざと電気を浪費して8倍まで使って大幅な軽減の適用を受けようとするのではないか」ということである。一方で国民に節電を呼びかけながら、一方で電力浪費につながる施策を許すわけにはいかない。
 8倍が妥当なのかどうかを議論するためには現状のデータが必要である。例えば平均の7倍使用している会社がたくさんあるならば上の懸念はかなり深刻になる。逆にほとんどないならば杞憂に終わるかもしれない。そこで法案審議の時に私は次のように主張した。「こうした疑問や懸念を払拭するためには、どの企業がどれだけの電気を使っているのかのデータがないと議論できないではないか。少なくとも経済産業省が現在持っている電力使用量のデータは公開すべきではないか」。

 それに対し海江田万里経済産業大臣(当時)は8月25日の委員会で「議論を深めるために資するものであれば、それはできるだけ出すようにということを役所に対して申し上げましたし、そういう姿勢で臨むということは今私から委員に対してお答えを申し上げます」と答弁した。

その言や良しである。ところが驚くことにそれから2か月経った今でも新たな公開はゼロである。これは何も新たに調査するという話ではない。それならばある程度時間がかかっても仕方がないだろう。しかしすでに持っている資料を公開するだけのことである。やろうと思えばすぐにでもできるはずだが、まったく前進がない。

 そこで先日の環境委員会であらためて早期公開を迫った。その追及内容や、現在何社のデータが非公開になっているかなどについては、次回以降のブログで報告させていただきたい。

「横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)」

2011.10.28

横峯良郎議員の航空機クーポン券(その2)
    ~自ら申し出て疑惑解明に協力すべき~

 10月25日のブログで横峯良郎議員(民主党)の航空機クーポン券の問題を取り上げた。実態のない「地方住所」を沖縄県に登録して、クーポン券を過大に貰っていたのではないかという疑惑である。

 そこにも書いたが横峯議員は「月3往復の航空機クーポン券+JR無料パス」を貰っている。疑惑が浮上した後、鈴木政二・参議院議院運営委員長が同議員のクーポン券の使用実態を事務方から提出させた。クーポン券の使用状況は院に資料が残っているので、それを出させたわけである。こうした資料は「政治活動の自由」に関わるとして普通は非公開である。だが疑惑があるということで議運理事会の議論を受けて理事会メンバーには公開することになった。

 私も理事の一人なので、それを目にしたが、横峯議員は平均すると月に8回ほど飛行機に乗っていることが分かった。月3往復ならば普通は6回までのはずである。それが約8回搭乗しているのは、遠距離に地方住所を登録して高額のクーポン券を受領しておいて、実際にはもっと短距離の区間を乗っているからである。

 羽田~那覇で登録しておくと、一か月に貰えるクーポン券は24万5400円分になる。片道40900円で3往復という計算になる(金額は通常期と多客期で多少違うので、ここでは2010年4月の数字を使った)。この金額を近距離便で使えば、かなり使い勝手が良くなるという仕組みである。

 cf.月3往復といってもこのクーポン券は月をまたいで繰り越すことはできる。つまり4月と5月は1往復しかせずに6月は7往復という使い方は可能である(年度をまたぐのは不可)。ただし横峯議員の場合は平均的に月8回(つまり4往復)ほど搭乗している。
 そして届けのあった那覇への飛行はほとんどない。数で言えば平成22年度に横峯議員は95回クーポン券を使っている。そのうち沖縄県に関係した使用は4回である。うち明らかに同一のフライトに2枚のクーポン券を使っているものがあるので便数でいえば3便にすぎない。羽田~那覇という便に限ればわずかに2便である。

 平成23年度に関しては4月から8月19日の飛行まで44回のクーポン券使用が確認されているが、沖縄関係はゼロである。これでは沖縄県が「主たる生活又は活動の本拠地」とはとても言い難い。

 このことは横峯議員も認めている。疑惑が取り沙汰されだした今年の9月26日付けで「地方住所」の所在地を沖縄県から宮崎県に変更している。確かにクーポン券の使用を見ても羽田~宮崎の使用が多いのは事実である。バレたから届けを直したと勘ぐられても仕方ないだろう。

 実態のない沖縄県を登録して多額のクーポン券を支給されていたのが故意なのか過失なのかを断じることは難しい。しかしそれだけに本人の説明が必要である。

 疑惑を受けた政治家は院の政治倫理審査会(政倫審)に自ら申し出て弁明することができることになっている。この政倫審は実は昨年から注目されている。小沢一郎元代表が「政治とカネ」の問題で政倫審(この場合は衆議院の政倫審だが)に出席するかどうかが焦点になったからである。

 みんなの党を含め多くの野党は小沢氏の証人喚問を要求している。証人喚問は公開で実施され、偽証罪もある。一方、政倫審は原則非公開で、偽証罪もない。その点、政倫審の方がハードルが低い。そこで民主党も証人喚問は受け入れなくても、せめて政倫審での弁明には応じるかもしれないとして注目されていた。民主党の姿勢は揺れ動いたが、結局「小沢氏は起訴され司法の手続きの中にあるから」という理由で政倫審への出席さえ拒んでいる。

 横峯氏の場合は、刑事訴追はされていない。だが倫理を問われていることは間違いない。航空機クーポン券だけではない。秘書の勤務状況に関わる疑惑も週刊誌などで取り沙汰されている。“刑事訴追されたら駄目、今も駄目”というなら、いったいいつ政治倫理審査会が活用されるのか。まずは本人自らが政倫審での弁明を申し出て、誰にでも分かるようにしっかりと説明責任を果たすことを期待したい。

「歳費カット法案などを再提出」

2011.10.28

歳費カット法案などを再提出
 みんなの党は本日午前10時、参議院に国会議員歳費カット法案と国家公務員総人件費2割カット法案を提出した。前者の提出者は上野ひろし議員、後者の提出者は小野次郎議員である。

 同様の法案はみんなの党として過去に何度も提出している。国会議員歳費カット法案は5回目の提出、国家公務員総人件費2割カット法案は3回目の提出となる。

 国会は会期制をとっているので、会期内に成立しなかった法案は原則として廃案となる(継続審査という特別な手続きをとると次国会に持ち越されるが・・)。みんなの党は、これまでにもこうした法案を提出してきたのだが、他党が審議入りの意欲を見せないため、会期が終わると審議未了廃案というのを繰り返してきた。廃案になっても次国会が始まれば、同内容のものを再提出することは可能なので、回数が積み上がってきたわけである


以下、これらの法案の提出の記録を掲載する。

*国会議員歳費カット法案
           提出日          提出者
第175回国会 平成22年7月30日  水野賢一
第176回国会 平成22年11月12日 松田公太
第177回国会 平成23年3月11日  上野ひろし
第178回国会 平成23年9月26日  上野ひろし
第179回国会 平成23年10月28日 上野ひろし
 cf.法案の正式な名称は「国会議員の歳費、旅費及び手当等
に関する法律の一部を改正する法律案」

*国家公務員総人件費2割カット法案
           提出日          提出者
第177回国会 平成23年8月5日   小野次郎
第178回国会 平成23年9月27日  小野次郎
第179回国会 平成23年10月28日 小野次郎

 cf.法案の正式な名称は「国家公務員の給与の減額措置等に
よる国家公務員の人件費の総額の削減に関する法律案」
提出→廃案→再提出を繰り返すのは一見無駄な努力のようだが、「雨垂れ石を穿つ」という言葉もある。一歩でも前進すべく何度でも繰り返していきたい。

 まして国会議員の歳費は、今月から事実上、月額50万円アップになっている。国会議員の中にも“身を削る覚悟”を口にする人は多い。しかし実際にはこのように逆行することが起きている。それだけに私たちが「歳費3割、ボーナス5割カット」の法案をあらためて提出した意味はあると思う


 なお今月から50万円アップすることの仕組みについては9月28日のブログに詳しく述べているので、そちらを参照されたい。

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